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四章 夏期講習
09
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鋭い指摘に、ギクリとする。
「もしかして、一人でするときも後ろ使ってる?」
「……っ、それは」
「後ろ弄るの、気持ちよくなっちゃった?抱かれる側にいたいのもその為とか?」
まことはそう言って俺の足を開かせ、自分のものを俺に突っ込んだ。
「っあ!!あ、うあッ!」
「ねえっ、どうなの?」
「アぁッ!」
ごりっ、と一番気持ちいいところを突かれ、自分でもびっくりするくらい高い声が出る。
気持ちよすぎて、涙目になりながら、まことを見上げた。
「そう、だよ! 悪いかよッ……!」
「え、えっ、ほんとに?!」
きらりと目を輝かせたまことに、こくこくと頷く。
「なにそれ最高!」
「ッあ?!」
まことは興奮したように激しく動かし、俺はまた喘ぐ。
「う、アッ、無理、」
耐えきれずに出した白濁色の液が、腹に落ちる。
息を整えて、まことを睨みつけた。
「い、言っとくけど、お前のせいだからな……!」
「えー、知らないなあ?」
ニヤニヤしながら、まことは再び腰を動かし始める。
まだされると思わなくてびっくりして、その動きを止めようとした。
「待っ、俺、イッたばっかで、」
「知らなーい。僕はイッてないもん」
まことは動きながら、萎えたばかりの俺自身を触り、無理矢理勃たせようとする。
「やめっ……う……」
次第にその違和感が、だんだん快感に変わっていく。
そのまままた腰を動かされ、先走りなのか精液なのかわからない液が、だらだらと流れていく。
「ほら、今度は一緒にイこうね?」
「あ…ッ…!」
「はあ……守くん可愛かったぁ……」
「……うるせぇ……っ」
ぐったりしながら、ベッドに横になる。
やばい、調子のって一時間くらいヤッてた……冷静になって思い返すと恥ずかしい。
まことも、俺と向かい合って横になる。
「守くん、最近長く付き合ってくれるよね。嬉しいな」
まこともベッドに寝転び、俺の頬を撫でた。
うるさい。
お前のことが好きだって、気づいちゃったからだよ。
……みたいなことはとても恥ずかしくて言えないから、ドキドキしながら目をそらす。
……あ、そうだ。思い出した。
「あのさ、昨日聞きそびれたんだけど」
「うん? 僕を見たって話?」
「ああ……一ノ瀬と歩いてるの、見たんだけど……」
ドキドキしながらそう聞くと、まことはハッとして俺の肩を掴んだ。
「あっ、そうだ、あの……聖くんに僕たちが付き合ってること言っちゃったんだけど、いい……?」
「……は?!何で?」
予想外の返答に驚くと、まことは気まずそうに頬をかいた。
「なんか、半分くらい見抜かれてて……」
「ま、マジか……」
いつからだ? 流石に距離が近すぎたか……?あいつ、妙に鋭いところあるからな。
「けど、聖くんひいたりはしてないよ。むしろ、何か困ったら相談聞いてくれるって」
「まあ、理解者がいるのはありがたい……か」
このまま二人だけの秘密がよかったとか、そんな、思ってねぇし。
……思ってねぇし。
「それに聖くん喜んでくれたから、大丈夫だよ」
「何に?」
「なんかそういう話、好きなんだって」
まことの言葉に、耳を疑う。
「あいつ腐ってんのか?」
「腐っ……悪口は良くないよ?」
聞き返すと、大真面目に返された。
……え、お前、散々変態を見せつけておいて、二次元側の知識はないのか?
いや、無さそうだけど。普段文学作品読んでるし。
まあ俺もそういうのは、中学で何となく入っていた漫研の入れ知恵だが……うん、黙っておこう。
「気になってたの?僕と聖くんのこと」
「……寄りを戻したのかと思って」
「言ったじゃないか、僕はもう守くんしか好きじゃないって」
まことは微笑んで、俺を抱きしめた。
そのぬくもりに、またドキリとしてしまう。
「聖くんは、小学校六年間ずっと一緒で、気が合って、確かに昔は特別なものを感じていたんだ。けれど、それは友情の延長線みたいなもので……なんていうかな。好きの種類が違うんだよ」
少し考えて、まことは俺に爽やかに微笑んだ。
「そう、守くんのことは、性的な意味で好きなんだ」
「最低だな」
「性癖どストライク」
「最低」
「具体的に上げると首筋とか腕とか声が好き。全体的にそそる」
「お前もう帰れよ」
「そのツンツンして素直じゃない性格大好き。なのに快感に流されちゃうところも最高。たまに見えるデレがおいしい」
「もうやめてくれ……」
呆れと恥ずかしさで、枕に頭を置き目を閉じると、まことは優しく俺の頬に触れた。
「あ……そうだ、今日は何の日か知ってる?」
「…………スーパーの特売日」
「そういうのじゃなくて」
再び目を開けると、まことはいつもの笑顔を浮かべていた。
「僕と守くんが付き合って、一ヶ月」
「……うん」
まことは、俺の手を取った。
「これからも、よろしくしてくれると嬉しいな」
「……俺も」
その手に指を絡め、握り返した。
「あれ?……ねえ、前の電話で言っていた『俺も』ってさ」
服を着替えた後、ふと、まことが気づいたように言った。
その続きの言葉を想像して、頬がかあっと熱くなる。
「もしかして守くんも、僕が大好――」
「腹減った。早く飯行こう」
遮って、鍵と財布をポッケに入れた。
まことは慌てて俺の服の袖を引っ張った。
「待ってよ、ごまかさないで!ねえ、ほんとにそうなら、一体いつ、んっ」
彼のそのよく喋る口を、自分の口で塞いだ。
柔らかい感触が離れて、
「うっせえ。……優等生だろ、自分で考えろ」
照れくさくて、そう吐き捨てる。
俺をぽかんと見上げていたまことは、その言葉にぱあっと顔を輝かせ、抱きしめた。
「うふふ、守くん可愛い。大好き!」
「はいはい」
「今日は、一緒に美味しいもの食べようね」
「……うん」
自然と、笑みが溢れてしまう。
夕焼けの綺麗なオレンジが、窓から差し込んでいた。
≪まこまも 一学期編 おわり≫
「もしかして、一人でするときも後ろ使ってる?」
「……っ、それは」
「後ろ弄るの、気持ちよくなっちゃった?抱かれる側にいたいのもその為とか?」
まことはそう言って俺の足を開かせ、自分のものを俺に突っ込んだ。
「っあ!!あ、うあッ!」
「ねえっ、どうなの?」
「アぁッ!」
ごりっ、と一番気持ちいいところを突かれ、自分でもびっくりするくらい高い声が出る。
気持ちよすぎて、涙目になりながら、まことを見上げた。
「そう、だよ! 悪いかよッ……!」
「え、えっ、ほんとに?!」
きらりと目を輝かせたまことに、こくこくと頷く。
「なにそれ最高!」
「ッあ?!」
まことは興奮したように激しく動かし、俺はまた喘ぐ。
「う、アッ、無理、」
耐えきれずに出した白濁色の液が、腹に落ちる。
息を整えて、まことを睨みつけた。
「い、言っとくけど、お前のせいだからな……!」
「えー、知らないなあ?」
ニヤニヤしながら、まことは再び腰を動かし始める。
まだされると思わなくてびっくりして、その動きを止めようとした。
「待っ、俺、イッたばっかで、」
「知らなーい。僕はイッてないもん」
まことは動きながら、萎えたばかりの俺自身を触り、無理矢理勃たせようとする。
「やめっ……う……」
次第にその違和感が、だんだん快感に変わっていく。
そのまままた腰を動かされ、先走りなのか精液なのかわからない液が、だらだらと流れていく。
「ほら、今度は一緒にイこうね?」
「あ…ッ…!」
「はあ……守くん可愛かったぁ……」
「……うるせぇ……っ」
ぐったりしながら、ベッドに横になる。
やばい、調子のって一時間くらいヤッてた……冷静になって思い返すと恥ずかしい。
まことも、俺と向かい合って横になる。
「守くん、最近長く付き合ってくれるよね。嬉しいな」
まこともベッドに寝転び、俺の頬を撫でた。
うるさい。
お前のことが好きだって、気づいちゃったからだよ。
……みたいなことはとても恥ずかしくて言えないから、ドキドキしながら目をそらす。
……あ、そうだ。思い出した。
「あのさ、昨日聞きそびれたんだけど」
「うん? 僕を見たって話?」
「ああ……一ノ瀬と歩いてるの、見たんだけど……」
ドキドキしながらそう聞くと、まことはハッとして俺の肩を掴んだ。
「あっ、そうだ、あの……聖くんに僕たちが付き合ってること言っちゃったんだけど、いい……?」
「……は?!何で?」
予想外の返答に驚くと、まことは気まずそうに頬をかいた。
「なんか、半分くらい見抜かれてて……」
「ま、マジか……」
いつからだ? 流石に距離が近すぎたか……?あいつ、妙に鋭いところあるからな。
「けど、聖くんひいたりはしてないよ。むしろ、何か困ったら相談聞いてくれるって」
「まあ、理解者がいるのはありがたい……か」
このまま二人だけの秘密がよかったとか、そんな、思ってねぇし。
……思ってねぇし。
「それに聖くん喜んでくれたから、大丈夫だよ」
「何に?」
「なんかそういう話、好きなんだって」
まことの言葉に、耳を疑う。
「あいつ腐ってんのか?」
「腐っ……悪口は良くないよ?」
聞き返すと、大真面目に返された。
……え、お前、散々変態を見せつけておいて、二次元側の知識はないのか?
いや、無さそうだけど。普段文学作品読んでるし。
まあ俺もそういうのは、中学で何となく入っていた漫研の入れ知恵だが……うん、黙っておこう。
「気になってたの?僕と聖くんのこと」
「……寄りを戻したのかと思って」
「言ったじゃないか、僕はもう守くんしか好きじゃないって」
まことは微笑んで、俺を抱きしめた。
そのぬくもりに、またドキリとしてしまう。
「聖くんは、小学校六年間ずっと一緒で、気が合って、確かに昔は特別なものを感じていたんだ。けれど、それは友情の延長線みたいなもので……なんていうかな。好きの種類が違うんだよ」
少し考えて、まことは俺に爽やかに微笑んだ。
「そう、守くんのことは、性的な意味で好きなんだ」
「最低だな」
「性癖どストライク」
「最低」
「具体的に上げると首筋とか腕とか声が好き。全体的にそそる」
「お前もう帰れよ」
「そのツンツンして素直じゃない性格大好き。なのに快感に流されちゃうところも最高。たまに見えるデレがおいしい」
「もうやめてくれ……」
呆れと恥ずかしさで、枕に頭を置き目を閉じると、まことは優しく俺の頬に触れた。
「あ……そうだ、今日は何の日か知ってる?」
「…………スーパーの特売日」
「そういうのじゃなくて」
再び目を開けると、まことはいつもの笑顔を浮かべていた。
「僕と守くんが付き合って、一ヶ月」
「……うん」
まことは、俺の手を取った。
「これからも、よろしくしてくれると嬉しいな」
「……俺も」
その手に指を絡め、握り返した。
「あれ?……ねえ、前の電話で言っていた『俺も』ってさ」
服を着替えた後、ふと、まことが気づいたように言った。
その続きの言葉を想像して、頬がかあっと熱くなる。
「もしかして守くんも、僕が大好――」
「腹減った。早く飯行こう」
遮って、鍵と財布をポッケに入れた。
まことは慌てて俺の服の袖を引っ張った。
「待ってよ、ごまかさないで!ねえ、ほんとにそうなら、一体いつ、んっ」
彼のそのよく喋る口を、自分の口で塞いだ。
柔らかい感触が離れて、
「うっせえ。……優等生だろ、自分で考えろ」
照れくさくて、そう吐き捨てる。
俺をぽかんと見上げていたまことは、その言葉にぱあっと顔を輝かせ、抱きしめた。
「うふふ、守くん可愛い。大好き!」
「はいはい」
「今日は、一緒に美味しいもの食べようね」
「……うん」
自然と、笑みが溢れてしまう。
夕焼けの綺麗なオレンジが、窓から差し込んでいた。
≪まこまも 一学期編 おわり≫
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