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三章 夏休み
03
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それから、一時間くらい経って。
「僕、今日の分終わったよ」
「俺はあともうちょい」
丸つけしてる俺を、まことは暇そうに眺めている。
と、立ち上がり、俺の背後に回って抱きついた。
「まだー?」
「………………」
まことの体温が熱い。
めんどくさくて無視していたら、抱きついたまま、服の上から胸とか腹を触ってきた。
……何してんだよ、セクハラかよ。
けどここで反応したら負けな気がして、スルーしていたら、ふっと、まことは俺の耳に息をかけた。
「うわッ!」
びっくりして思わず声が出る。
まことはそのまま、俺の耳をくわえた。
「なッ、ちょっ、やめろ!」
変な気分になりかけて、慌てて、後ろのまことを引き離した。
「邪魔すんなよ!ほんっっとお前いい加減にしろ!!」
「だって守くん、話してくれないんだもん~」
まことはそう言って、しょんぼりして俺を見つめた。
かわいい。……じゃなくて!!
反論を重ねようとしたそのとき、コンコンと部屋がノックされ、口をつぐんだ。
「おやつ持ってきたけど食べる?」
そう声がして、ドアが開き、そこにはまことの母親がお盆を持って微笑んでいた。
お盆には、麦茶と氷が入ったグラスと、カップケーキ。
たぶん、手作りだ。
「ありがとうございます」
「いいのよ、いつも守くんの家で遊ばせてもらってるみたいだし。……それと、誠、お母さんしばらく出掛けてくるね」
「うん、わかった」
夕方くらいに帰ってくるからね。
そう言って、母親は部屋を出ていく。
少しして、玄関が開く音がして、そして閉じる音がした。
「……というわけで二人っきりだね!」
とびっきりの笑顔でクッションに押し倒してきたまこと。
の、腹をグーで殴る。
「痛いなあ」
「とか言ってちょっと嬉しそうにしてるんじゃねぇよ。変態」
「その変態な同級生の男に触られていつも興奮してる変態は誰かな」
「ッあ!や、やめろっ!」
突然服の上から股をまさぐられ、不意打ちにビクッと体が跳ねる。
まことは片手を動かしたまま、わざとらしくため息をつき、
「ほんと、気持ちいいこと好きだよねえ。将来風俗とか援交とかに走っちゃいそうで心配」
「す……好きじゃない! ばか! 走らねぇよ、誰でもいいわけじゃねぇし」
その言葉に、まことの表情が固まる。
俺も自分の失言に気づいたが、弄るのを止めないまことの手に、既に反論するほど頭が回らなくなっていた。
「え、えっ? なにそれ、僕のこと好きってこと?」
「バカ、んなこと言って、あッ、」
「じゃあ、どういうこと? ねぇ、いいの? 期待しちゃうよ?」
「ッあ! 待っ、て、手ぇ止め……ッ!やめろ!!」
圧されそうになっていた理性を精一杯働かせ、まことを突き飛ばした。
「しゃべるかヤるかどっちかにしろ!!!バカ!!!」
「ごめん。守くんヤってるときの方がよく喋るから」
「殺すぞ」
真顔で答えるまことを、息をつき睨み付ける。
すると彼は悪びれもなく、
「じゃあ先に話そう。守くんは僕のこと好きなの?」
「っえ」
は?そっちが先?
中途半端に煽っといて?
お預け???
けれどまことは真剣な顔をしていたから、諦めて先に話した。
「好きかどうかは、わかんねぇ。……こう言うのもアレだけど、お前の見た目が良いからだと思う」
もし、キモいおっさんに押し倒されでもしたら、俺はとっくに通報している。
けれどまことの顔は、中性寄りでかわいい。体も、華奢だし。
「……前から思ってたけど、守くんって、バイなの?」
「バイ?」
「男も女もどっちもいけるってこと」
「……あー」
……どうなんだろう。
考えてみると、あんまり性別って、気にしてないかもしれない。
だってまこと、俺のこと慕ってくれるし、かわいいし。
いいじゃん、それで。
「そうかもな。わかんね」
「適当だなぁ」
まことは困ったように笑うけど、……とにかく今は、体の中が熱くて、全然頭が回んない。
「僕、今日の分終わったよ」
「俺はあともうちょい」
丸つけしてる俺を、まことは暇そうに眺めている。
と、立ち上がり、俺の背後に回って抱きついた。
「まだー?」
「………………」
まことの体温が熱い。
めんどくさくて無視していたら、抱きついたまま、服の上から胸とか腹を触ってきた。
……何してんだよ、セクハラかよ。
けどここで反応したら負けな気がして、スルーしていたら、ふっと、まことは俺の耳に息をかけた。
「うわッ!」
びっくりして思わず声が出る。
まことはそのまま、俺の耳をくわえた。
「なッ、ちょっ、やめろ!」
変な気分になりかけて、慌てて、後ろのまことを引き離した。
「邪魔すんなよ!ほんっっとお前いい加減にしろ!!」
「だって守くん、話してくれないんだもん~」
まことはそう言って、しょんぼりして俺を見つめた。
かわいい。……じゃなくて!!
反論を重ねようとしたそのとき、コンコンと部屋がノックされ、口をつぐんだ。
「おやつ持ってきたけど食べる?」
そう声がして、ドアが開き、そこにはまことの母親がお盆を持って微笑んでいた。
お盆には、麦茶と氷が入ったグラスと、カップケーキ。
たぶん、手作りだ。
「ありがとうございます」
「いいのよ、いつも守くんの家で遊ばせてもらってるみたいだし。……それと、誠、お母さんしばらく出掛けてくるね」
「うん、わかった」
夕方くらいに帰ってくるからね。
そう言って、母親は部屋を出ていく。
少しして、玄関が開く音がして、そして閉じる音がした。
「……というわけで二人っきりだね!」
とびっきりの笑顔でクッションに押し倒してきたまこと。
の、腹をグーで殴る。
「痛いなあ」
「とか言ってちょっと嬉しそうにしてるんじゃねぇよ。変態」
「その変態な同級生の男に触られていつも興奮してる変態は誰かな」
「ッあ!や、やめろっ!」
突然服の上から股をまさぐられ、不意打ちにビクッと体が跳ねる。
まことは片手を動かしたまま、わざとらしくため息をつき、
「ほんと、気持ちいいこと好きだよねえ。将来風俗とか援交とかに走っちゃいそうで心配」
「す……好きじゃない! ばか! 走らねぇよ、誰でもいいわけじゃねぇし」
その言葉に、まことの表情が固まる。
俺も自分の失言に気づいたが、弄るのを止めないまことの手に、既に反論するほど頭が回らなくなっていた。
「え、えっ? なにそれ、僕のこと好きってこと?」
「バカ、んなこと言って、あッ、」
「じゃあ、どういうこと? ねぇ、いいの? 期待しちゃうよ?」
「ッあ! 待っ、て、手ぇ止め……ッ!やめろ!!」
圧されそうになっていた理性を精一杯働かせ、まことを突き飛ばした。
「しゃべるかヤるかどっちかにしろ!!!バカ!!!」
「ごめん。守くんヤってるときの方がよく喋るから」
「殺すぞ」
真顔で答えるまことを、息をつき睨み付ける。
すると彼は悪びれもなく、
「じゃあ先に話そう。守くんは僕のこと好きなの?」
「っえ」
は?そっちが先?
中途半端に煽っといて?
お預け???
けれどまことは真剣な顔をしていたから、諦めて先に話した。
「好きかどうかは、わかんねぇ。……こう言うのもアレだけど、お前の見た目が良いからだと思う」
もし、キモいおっさんに押し倒されでもしたら、俺はとっくに通報している。
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「……前から思ってたけど、守くんって、バイなの?」
「バイ?」
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「……あー」
……どうなんだろう。
考えてみると、あんまり性別って、気にしてないかもしれない。
だってまこと、俺のこと慕ってくれるし、かわいいし。
いいじゃん、それで。
「そうかもな。わかんね」
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