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二章 一学期最終日
06
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side:まこと
ピコン。
通知音にスマホを開くと、ラインが来ていた。
『今日は楽しかったぜ!また三人で遊ぼうな!』
「木下くんからだ」
「ああ、俺も来た」
隣に座っている守くんは、自分のスマホを見て言う。
ご飯を食べ終わったあと、僕ら三人は隣町に遊びにいった。
ゲームセンターに行ったり、カラオケに行ったり……。
そして今、オレンジ色の夕日の中で、守くんと一緒に帰りの電車で揺れている。
『僕も楽しかったよ!また遊ぼう٩(*˙︶˙*)۶』
そんなメッセージを、守くんと木下くんと僕、三人で作ったラインのグループに送る。
『俺も』
守くんはそう一言だけ書いていた。
けど、横顔が、少し嬉しそう。
「……でも、ちょっと嫉妬するよ」
「何が?」
「守くん、木下くんといる方が楽しそうだもん」
半分ウソ、半分は本当。
二席構成の車両で、誰も見ていないのを良いことに、守くんの肩に寄りかかる。
ちょっとからかいたかっただけだったけれど、守くんはそのまま黙り込んでしまった。
がたん、ごとん。
寄りかかって、景色を見ていると、守くんは呟いた。
「はるは、みんなと仲が良いから」
「え?」
「俺は、その中の一人。はるには一ノ瀬とか、もっと仲の良い友達がいる」
守くんは、窓を見つめたまま、言葉を続けた。
「ほら、好きなバンドがマイナーだから。俺の他にいく人がいなくて、たまにライブに誘われるくらいで……。いつもそうなんだ。中学の時も……はるの他にも仲良いヤツとかいたけど、その二人は幼馴染みだったから、俺は二人に比べると、おまけだった。……だから最初、『何で?』って思ったんだよ」
そこまで言って、守くんは振り返り、僕にふっと笑いかけた。
「まこと、いつもはイイコぶってるくせに、ほんとヘンタイだし、呆れるときもあるけど……理由はどうであれ、やっぱり俺と一緒に居てくれて、その……」
恥ずかしくなったのか、そこで言葉を切り、目を反らされる。
愛しくて、その手をぎゅっと握った。
「僕も、すごく嬉しいよ。……僕がおかしいって分かってても、守くんが一緒に居てくれるの」
「おかしくない」
おかしい、が何をさしているのか、守くんはすぐにわかったみたいだった。
「まあ、色々言ったけど……俺だって、髪を赤に染めてるの、おかしいだろ。けどそれでいいんだよ。俺は俺だし。……まことも、まことだろ」
「…………うん」
少しうるっときてしまい、慌てて守くんの肩に顔を埋める。
夕日が、僕らを温かく照らしていた。
「……けど、首にキスマークつけるのはやめろ」
「はい」
ピコン。
通知音にスマホを開くと、ラインが来ていた。
『今日は楽しかったぜ!また三人で遊ぼうな!』
「木下くんからだ」
「ああ、俺も来た」
隣に座っている守くんは、自分のスマホを見て言う。
ご飯を食べ終わったあと、僕ら三人は隣町に遊びにいった。
ゲームセンターに行ったり、カラオケに行ったり……。
そして今、オレンジ色の夕日の中で、守くんと一緒に帰りの電車で揺れている。
『僕も楽しかったよ!また遊ぼう٩(*˙︶˙*)۶』
そんなメッセージを、守くんと木下くんと僕、三人で作ったラインのグループに送る。
『俺も』
守くんはそう一言だけ書いていた。
けど、横顔が、少し嬉しそう。
「……でも、ちょっと嫉妬するよ」
「何が?」
「守くん、木下くんといる方が楽しそうだもん」
半分ウソ、半分は本当。
二席構成の車両で、誰も見ていないのを良いことに、守くんの肩に寄りかかる。
ちょっとからかいたかっただけだったけれど、守くんはそのまま黙り込んでしまった。
がたん、ごとん。
寄りかかって、景色を見ていると、守くんは呟いた。
「はるは、みんなと仲が良いから」
「え?」
「俺は、その中の一人。はるには一ノ瀬とか、もっと仲の良い友達がいる」
守くんは、窓を見つめたまま、言葉を続けた。
「ほら、好きなバンドがマイナーだから。俺の他にいく人がいなくて、たまにライブに誘われるくらいで……。いつもそうなんだ。中学の時も……はるの他にも仲良いヤツとかいたけど、その二人は幼馴染みだったから、俺は二人に比べると、おまけだった。……だから最初、『何で?』って思ったんだよ」
そこまで言って、守くんは振り返り、僕にふっと笑いかけた。
「まこと、いつもはイイコぶってるくせに、ほんとヘンタイだし、呆れるときもあるけど……理由はどうであれ、やっぱり俺と一緒に居てくれて、その……」
恥ずかしくなったのか、そこで言葉を切り、目を反らされる。
愛しくて、その手をぎゅっと握った。
「僕も、すごく嬉しいよ。……僕がおかしいって分かってても、守くんが一緒に居てくれるの」
「おかしくない」
おかしい、が何をさしているのか、守くんはすぐにわかったみたいだった。
「まあ、色々言ったけど……俺だって、髪を赤に染めてるの、おかしいだろ。けどそれでいいんだよ。俺は俺だし。……まことも、まことだろ」
「…………うん」
少しうるっときてしまい、慌てて守くんの肩に顔を埋める。
夕日が、僕らを温かく照らしていた。
「……けど、首にキスマークつけるのはやめろ」
「はい」
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