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一章 梅雨明け
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「……え?」
口を離すと、守くんは唖然として僕を見ていた。
……今更、言い繕えないな。
「こういうことなんだよ」
「は?ど、どういう……」
「好きなの、守くんが」
言い切ると、守くんは目を見開く。
構わず、言葉を続ける。
「僕、同性愛者なんだ。守くんのこと、初めて会ったときから、ずっとそういう目で見てた。仲良くなろうとしたのもそれが理由だよ」
自分で言っていて、だんだん悲しくなってきた。
ああ、いやだな、ひかれる……もう元に戻れないんだ。
「だから、僕――」
「いいよ」
もう守くんに近づかない。
そう言おうとしたところで、何故か肯定された。
「……え?何が?」
「え?」
聞き返すと、守くんも困惑した表情を浮かべる。
何となく話が噛み合っていないのを感じた。
守くんは、首をかしげ、
「いや、だから……いいよ、付き合っても」
「…………へ?!」
予想外の言葉に、高い声が出た。
「は?そういう話じゃないの?」
「いや、僕はその、もう友達でいるのやめよう、って話……」
「あ、あー……ごめん勘違いした」
「いや……けど付き合ってくれるなら付き合いたい……すごく……」
「……いいけど」
…………いいの?!
「だって、お前は俺のこと好きなんだろ?」
「うん」
「俺も、お前のこと嫌いな訳じゃないし」
「……え、そんなんでいいの?僕男だよ?」
「だから関係ないって。しつこいな」
呆れたように言う守くん。
信じられなくて、けど嬉しくて、思わず彼に抱きついた。
「……あと、ごめんな。俺、ひどいこと言ったじゃん。男同士がキモいとか」
「ううん、平気」
「あんまり考えてなかった。佐々野のこと、キモいとか思ってないから」
「嬉しい。えへへ、守くん大好き」
「……ありがと」
笑って、髪を撫でられる。
その笑みに、またドキドキした。
守くんの胸に埋まる。
「僕こそごめんね。黙ってて」
「別に。しょうがないだろ」
「守くんっていい匂いするよね」
「……そうか?」
「うん。いつも思い出しながら抜いてた。ごめんね」
「……は?!ぬ、抜い……?」
「あと一緒に電車乗ってるときとか、守くんが寝てるときとか、勝手に写真撮ってごめんね」
「マジか」
「画像100枚くらいある」
「え……キモ…………」
「まって。キモって。まって」
自然な動作で体を離され、ものすごく蔑んだ目で見られた。
興奮した。
「何ニヤニヤしてんの……キモい……」
「うわっまた言われた!ひどい」
「ていうか帰るわ」
「あーっまって僕も一緒にいく!」
慌てて鞄を取りに行き、隣に並ぶ。
守くんは呆れたように、けど楽しそうに、ふっと笑った。
口を離すと、守くんは唖然として僕を見ていた。
……今更、言い繕えないな。
「こういうことなんだよ」
「は?ど、どういう……」
「好きなの、守くんが」
言い切ると、守くんは目を見開く。
構わず、言葉を続ける。
「僕、同性愛者なんだ。守くんのこと、初めて会ったときから、ずっとそういう目で見てた。仲良くなろうとしたのもそれが理由だよ」
自分で言っていて、だんだん悲しくなってきた。
ああ、いやだな、ひかれる……もう元に戻れないんだ。
「だから、僕――」
「いいよ」
もう守くんに近づかない。
そう言おうとしたところで、何故か肯定された。
「……え?何が?」
「え?」
聞き返すと、守くんも困惑した表情を浮かべる。
何となく話が噛み合っていないのを感じた。
守くんは、首をかしげ、
「いや、だから……いいよ、付き合っても」
「…………へ?!」
予想外の言葉に、高い声が出た。
「は?そういう話じゃないの?」
「いや、僕はその、もう友達でいるのやめよう、って話……」
「あ、あー……ごめん勘違いした」
「いや……けど付き合ってくれるなら付き合いたい……すごく……」
「……いいけど」
…………いいの?!
「だって、お前は俺のこと好きなんだろ?」
「うん」
「俺も、お前のこと嫌いな訳じゃないし」
「……え、そんなんでいいの?僕男だよ?」
「だから関係ないって。しつこいな」
呆れたように言う守くん。
信じられなくて、けど嬉しくて、思わず彼に抱きついた。
「……あと、ごめんな。俺、ひどいこと言ったじゃん。男同士がキモいとか」
「ううん、平気」
「あんまり考えてなかった。佐々野のこと、キモいとか思ってないから」
「嬉しい。えへへ、守くん大好き」
「……ありがと」
笑って、髪を撫でられる。
その笑みに、またドキドキした。
守くんの胸に埋まる。
「僕こそごめんね。黙ってて」
「別に。しょうがないだろ」
「守くんっていい匂いするよね」
「……そうか?」
「うん。いつも思い出しながら抜いてた。ごめんね」
「……は?!ぬ、抜い……?」
「あと一緒に電車乗ってるときとか、守くんが寝てるときとか、勝手に写真撮ってごめんね」
「マジか」
「画像100枚くらいある」
「え……キモ…………」
「まって。キモって。まって」
自然な動作で体を離され、ものすごく蔑んだ目で見られた。
興奮した。
「何ニヤニヤしてんの……キモい……」
「うわっまた言われた!ひどい」
「ていうか帰るわ」
「あーっまって僕も一緒にいく!」
慌てて鞄を取りに行き、隣に並ぶ。
守くんは呆れたように、けど楽しそうに、ふっと笑った。
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