二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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もうやめろ

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 「……………縁」

 「はい?」

 よしあともう少しとパンパンと手を叩きながら振り返れば、何とも言えない微妙な顔をしたアレンがいた。

 「それは………いや、なん……いや………もういい」

 「?、そうですか?ならあとちょっとなので手伝ってくれます?」

 エルがいれば確実に何やってんの!?と叫ぶだろうが、大人のアレンはそれを飲み込むことにしたのだった。
 すごいすごいと子どもたちが目を輝かせる中、地道に頑張って(勿論魔法で)運んできたリンゴの木を庭に植える。
 これでまた1つ食料問題が改善されたと笑顔で頷く縁の隣り、呆れたようにそれを眺めるアレンと意味が分からんと呆けるサウルとイリス。

 「え?は?な………な、は?」
 
 「す、すごいね。これで、また、りんごたべ、られるね」

 「そういう問題なの?」

 シャイアは純粋に感心していたが、イリスは頭が追いついていかないようだ。

 「さぁ、今日もみんなで頑張りましょうか」

 「「「「おお!」」」」
 「「「「…………」」」」

 元気よく声を上げる子どもたちとは違い、大人組は黙り込んでしまっていた。
 朝から散歩ついでにリンゴの木を運んできた縁は少し休憩を挟んだ後、洗濯物に取りかかる。
 途中我に返ったイリスも慌てて駆け寄ってくると手伝ってくれた。

 「もっと人が増えるようになったら山羊とか飼ってもいいかもしれませんね」

 「あ、あん…あなた、は、一体何を目指して、るの?」

 呆れたようなイリスの言葉の意味はよく分からなかったが、彼らが少しでも快適に過ごせるようにしていきたいとは思っている。
 目標は山羊や牛、更に馬なども飼うことが出来るようになれれば嬉しい。

 「そういえば言うのを忘れてましたが、明日私たちは一度家に帰ろうと思います」

 「え……」

 驚き顔を上げたかと思えば不安そうな表情をするイリスに苦笑いする。
 縁も出来れば彼女たちが慣れるまでは側にいてあげたくはあるのだが、縁も縁で今か今かと帰りを待ってくれている子どもたちがいるため長居は出来ない。

 「不安、ですよね。ごめんなさい。家で待ってくれている子たちもきっと寂しがっているのでそれが落ち着いたらまた来ますね」

 「……………はい」

 明らかに気落ちしてしまっているイリスにどうしたらいいものかと考える。
 新しい環境、慣れない環境で不安にならないはずがない。
 たとえそれが悪くないものだとしても不安が消えることはないだろう。

 「そうですね……今度遊びに来たら、新しいお菓子の作り方を教えますね。だから楽しみに待っていて下さい」

 「っ。わ、分かっ……分かりました」

 少しだが元気になってくれたようで良かったと微笑む。

 「あと話し方ですが前みたいに話してくれて構いませんよ?私は元々がこの話し方なので今更直すのは無理ですけど、私は貴族でもなければ貴方たちの主人でもありませんし。まぁサウルもそんなこと望んではいないと思いますけど」

 「けど………」

 躊躇うかのように黙り込むイリスにまだ早いかなとも思ったが、後々直すぐらいならば早い方がいいだろう。

 「私はね、あの気の強いイリスさんだからこそ子どもたちを任せられると思ったんです。流石に殺すとか物騒な言葉はあまり使ってほしくありませんけど、何かあった時はっきりとものを言ってくれることが子どもたちの成長にも繋がります」

 サウルはあまり気に入らなかったようだが、それもあくまで態度であり言葉遣いではない。
 
 「私のことも縁でも、呼びづらければ縁さんでもいいです」

 呼び捨てが不安であればと思いそう言えば、少し躊躇った後小さな声でエニシさんと呼ばれた。
 サウルも以前はもう少し口が悪かったが、今では多少甘えが見えてきて嬉しい限りだ。

 「本当に気にしなくてもいいんですよ。ここは学校でも、教会でも、ましてやお城でもないんですから。家族や友人と話すのにそう畏まる必要はないでしょ?時には気を使いながら、でも笑って何でも言い合えるそんな風になれれば嬉しいです」

 これが将来を期待される貴族などはそうもいかないのだろうが、その心配も予定もないのに無理に頑張る必要はない。
 
 「勿論他の子たちみたいにお兄ちゃんと呼んでもらっても構いませんよ?イリスさんみたいな可愛い妹なら私も大歓迎ですし」

 「なっ、何言ってんの!?」

 真っ赤な顔で照れるイリスは年相応な可愛らしい女の子だった。
 
 「じゃあお爺ちゃんでもいいーー」

 「なんでよ」

 淡い期待で言おうとし、速攻拒否されるのであった。
 
 
 
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