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翌日、早朝も早朝にコンコンと小さく戸を叩く音に気がつくと顔を出す。
「おはようございます。こんな早くにどうしました?」
まだ日も昇ったばかりという時間帯。
当たり前だが他の子どもたちはまだ眠っており、昨日色々あり疲れているだろう少女にどうしたのかと首を傾げる。
「お、お、おはよう、ございます。あ、あの、あ、あさだから、お、おしごと、しなきゃって」
今までの経験から早朝から働き出すのが当たり前だったのだろう。
「シャイアさんは働き者ですね。うーん、他の子たちもまだ寝ているのでシャイアさんたちも寝ていて構わないんですが……」
「で、でもっ、わ、わたし、きっと、おねぇちゃんみたいに、うまくできない、から」
少しでも早く仕事を覚えたいという彼女のやる気は買うが、縁とて来て早々全ての仕事をこなせと無理難題を言うつもりはない。
時間も時間のため、まだ寝ていてもいいと促してみるがやる気に満ち溢れるている彼女は折れる様子はない。
「イリスさんは起きてますか?」
「え、えっと、あ、あの、お、おねぇちゃんは、その、まだ、で………」
昨日あれほど泣いていたのだ。泣き疲れ眠っていても無理はないが、慌てたように起こしてきますと部屋に戻ろうとする彼女を止めた。
「寝ているならいいですよ。そのまま寝かせておいてあげて下さい。それよりシャイアさんは私と一緒少しお話ししましょうか」
玲を抱え隣りの部屋に移動すると、眠るイリスの近くにシャイアと腰を下ろす。
「2人にお仕事の話しをする前に少し話しておきたいことがあるんです」
「は、はいっ!」
緊張で声が大きくなってしまっているのを大丈夫だからと頭を撫でてやる。
「まず、ここに住む子たちに血の繋がりはありません。両親がおらず、引き取り手もない子たちを私が集めてここで暮らしてもらっています」
各々理由は違うが、今こうしてここにいるのは家族がいない子たちだ。
「奴隷ではありませんでしたが住む家も場所もなく、ただ毎日を一人きりで頑張って生きていた子たちです。勿論2人を買ったサウルもその1人です」
「え?おとうさんじゃ、ない、ですか?」
やはりと言うか、縁たちの会話に誤解していたようだ。
「残念ですが違います。けどとても大切な子です」
我が子ではないが、幸せになって欲しいと願う大切な子だ。
「そして、この子が私の子で玲と言います。可愛いでしょ?」
「え!?み、みみ……あ、ります」
抱えていた玲を包んでいた布を外してやれば、ぴょこんと出てきたアレン譲りの可愛らしい耳に驚いていた。
どうして?と首を傾げる彼女に隠すことなく伝える。
「私は男で人間ですが、獣人の男の人の番になりました。この子は私自身がお腹を痛めて産んだ子です」
「…………」
驚きに目を見張る彼女に気持ち悪いかと聞いたが、いいえと首を振られた。
「私が愛した人は獣人です。私が産んだ子も獣人です。そしてそんな私を見て育ったここにいる子たちは獣人を嫌ってなどいません。ずっと不思議だったでしょ?」
1人ずつ自己紹介する中、今までにない子どもたちの態度に2人が戸惑っているのには気付いていた。
「ここにいる子どもたちは獣人だからとは言いません。この子の耳もかわいいねと笑ってくれました」
「き、きのう、お、おふろでも、いってました」
それは嬉しいことを聞いた。
「奴隷として2人を買いましたが、私たちに2人をこき使う気も、出来ないからと手を上げることもありません。ここにいる子たちと一緒に、他の子たちと変わらず生活していって欲しいと思っているんです」
「で、でも………なんで、ですか?」
何となく理解はしているのだろうが、どうしてそうしてくれるのか納得は出来ないらしい。
「私にとってシャイアさんも、ここに住む子たちも変わらないんですよ。もし2人が何か……そうですね、人を殺したとかの罪を犯していたなら話しは別ですが違うでしょう?」
「わ、わたし、そんなこと、しない、です!」
絶対しないと必死に首を振るのを分かっているからと止めさせた。
「獣人だからと言われながらもお姉さんと一緒に頑張ってきたんですよね。そんな2人だからこそ、1人で生きてきた彼らの苦労も分かってあげられると思うんです。そして一緒に手を取り合って頑張っていけるとも思っています。どうですか?」
「……………で、でも、わたし………わたし、でも、できますか?」
「シャイアさんが頑張りたいと思ってくれるなら」
縁が何を言ったところで結局は本人の頑張り次第なのだ。
獣人だからと、奴隷だからと自分を卑下する必要ない。
「わ、わたしのせいで、おねぇちゃん、もうたたかれない?」
「ええ」
「お、おねぇちゃん、のこと、おこらない?」
「おこりませんよ」
「な、ないても?」
「おこりませんよ。泣きたい時は泣きなさい。いっぱい泣いて、泣いて泣いて泣いて、それでも足りなかったらもっと泣きなさい。ここはもう2人にとっての家なんです。泣いたからって2人を追い出しも叩きもしませんよ」
何より姉を心配する妹を誰が怒るというのか。
だから心配しなくてもいいと言えば、緊張の糸が切れたのか昨日のイリスとよく似た顔で声を上げて彼女も泣くのだった。
「おはようございます。こんな早くにどうしました?」
まだ日も昇ったばかりという時間帯。
当たり前だが他の子どもたちはまだ眠っており、昨日色々あり疲れているだろう少女にどうしたのかと首を傾げる。
「お、お、おはよう、ございます。あ、あの、あ、あさだから、お、おしごと、しなきゃって」
今までの経験から早朝から働き出すのが当たり前だったのだろう。
「シャイアさんは働き者ですね。うーん、他の子たちもまだ寝ているのでシャイアさんたちも寝ていて構わないんですが……」
「で、でもっ、わ、わたし、きっと、おねぇちゃんみたいに、うまくできない、から」
少しでも早く仕事を覚えたいという彼女のやる気は買うが、縁とて来て早々全ての仕事をこなせと無理難題を言うつもりはない。
時間も時間のため、まだ寝ていてもいいと促してみるがやる気に満ち溢れるている彼女は折れる様子はない。
「イリスさんは起きてますか?」
「え、えっと、あ、あの、お、おねぇちゃんは、その、まだ、で………」
昨日あれほど泣いていたのだ。泣き疲れ眠っていても無理はないが、慌てたように起こしてきますと部屋に戻ろうとする彼女を止めた。
「寝ているならいいですよ。そのまま寝かせておいてあげて下さい。それよりシャイアさんは私と一緒少しお話ししましょうか」
玲を抱え隣りの部屋に移動すると、眠るイリスの近くにシャイアと腰を下ろす。
「2人にお仕事の話しをする前に少し話しておきたいことがあるんです」
「は、はいっ!」
緊張で声が大きくなってしまっているのを大丈夫だからと頭を撫でてやる。
「まず、ここに住む子たちに血の繋がりはありません。両親がおらず、引き取り手もない子たちを私が集めてここで暮らしてもらっています」
各々理由は違うが、今こうしてここにいるのは家族がいない子たちだ。
「奴隷ではありませんでしたが住む家も場所もなく、ただ毎日を一人きりで頑張って生きていた子たちです。勿論2人を買ったサウルもその1人です」
「え?おとうさんじゃ、ない、ですか?」
やはりと言うか、縁たちの会話に誤解していたようだ。
「残念ですが違います。けどとても大切な子です」
我が子ではないが、幸せになって欲しいと願う大切な子だ。
「そして、この子が私の子で玲と言います。可愛いでしょ?」
「え!?み、みみ……あ、ります」
抱えていた玲を包んでいた布を外してやれば、ぴょこんと出てきたアレン譲りの可愛らしい耳に驚いていた。
どうして?と首を傾げる彼女に隠すことなく伝える。
「私は男で人間ですが、獣人の男の人の番になりました。この子は私自身がお腹を痛めて産んだ子です」
「…………」
驚きに目を見張る彼女に気持ち悪いかと聞いたが、いいえと首を振られた。
「私が愛した人は獣人です。私が産んだ子も獣人です。そしてそんな私を見て育ったここにいる子たちは獣人を嫌ってなどいません。ずっと不思議だったでしょ?」
1人ずつ自己紹介する中、今までにない子どもたちの態度に2人が戸惑っているのには気付いていた。
「ここにいる子どもたちは獣人だからとは言いません。この子の耳もかわいいねと笑ってくれました」
「き、きのう、お、おふろでも、いってました」
それは嬉しいことを聞いた。
「奴隷として2人を買いましたが、私たちに2人をこき使う気も、出来ないからと手を上げることもありません。ここにいる子たちと一緒に、他の子たちと変わらず生活していって欲しいと思っているんです」
「で、でも………なんで、ですか?」
何となく理解はしているのだろうが、どうしてそうしてくれるのか納得は出来ないらしい。
「私にとってシャイアさんも、ここに住む子たちも変わらないんですよ。もし2人が何か……そうですね、人を殺したとかの罪を犯していたなら話しは別ですが違うでしょう?」
「わ、わたし、そんなこと、しない、です!」
絶対しないと必死に首を振るのを分かっているからと止めさせた。
「獣人だからと言われながらもお姉さんと一緒に頑張ってきたんですよね。そんな2人だからこそ、1人で生きてきた彼らの苦労も分かってあげられると思うんです。そして一緒に手を取り合って頑張っていけるとも思っています。どうですか?」
「……………で、でも、わたし………わたし、でも、できますか?」
「シャイアさんが頑張りたいと思ってくれるなら」
縁が何を言ったところで結局は本人の頑張り次第なのだ。
獣人だからと、奴隷だからと自分を卑下する必要ない。
「わ、わたしのせいで、おねぇちゃん、もうたたかれない?」
「ええ」
「お、おねぇちゃん、のこと、おこらない?」
「おこりませんよ」
「な、ないても?」
「おこりませんよ。泣きたい時は泣きなさい。いっぱい泣いて、泣いて泣いて泣いて、それでも足りなかったらもっと泣きなさい。ここはもう2人にとっての家なんです。泣いたからって2人を追い出しも叩きもしませんよ」
何より姉を心配する妹を誰が怒るというのか。
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