406 / 475
そうですね
しおりを挟む
「ただいま」
「おかえりなさいアレン」
数匹のウサギや鳥を肩にぶらせながらアレンが帰ってきた。
胸元には抱っこ紐によってスヤスヤ眠る玲の姿がある。
「お疲れ様でした。怪我はないですか?」
「ない」
アレンのことだから大丈夫だとは思っていたが、2人共怪我もないようで安心した。
「悪い。玲もいたからあんまり大物はとれなかった」
普段なら鹿や何だらと大物狙いであるアレンだが、今回は玲を抱えていたこともあり小さな罠だけで頑張ってくれたようだ。
初めは狩りになど行かなくていいと言ったのだが、腹を空かせて待っているだろう子どもたちと縁のために行くと聞かなかったためお願いしたのだ。
ありがとうと礼を言い受け取ろうとしたが、捌いてくると言い外に出て行こうとしたのを止めると頬に軽くキスをした。
「頑張ってくれてありがとうアレン」
「縁のためならいくらでも。そろそろ起きるかもしれないから玲頼めるか?」
「はい」
おかえりなさいと起こさないよう眠る玲の頭を撫でてやる。
アレンが肉を捌いてくれているため、なら自分も魚を捌くかと玲を胸元に括り付けようとしーーー
「サウル」
「なに?」
同じく買ってきた物を片付けていてくれていたサウルを呼ぶと近くに椅子を引きずってくる。
座ってとポンポンと椅子を叩けば、意味分からんと首を傾げながらも大人しく座ってくれる。
「ご飯の準備をしたいのでその間玲をお願いしてもいいですか?」
「は?オレが?」
お願いねと抱えていた玲をサウルに渡す。
「え?ちょっとまって。なんでオレなんだよ」
「イヤですか?」
「イヤじゃねぇけど、オレもごはんのようい……」
イヤじゃないならお願いと笑うと外で駆け回って遊ぶ子どもたちに声をかけお手伝いをお願いする。
ご飯だご飯だと育ち盛りの子どもたちは喜んで駆け寄ってきてくれた。
「今アレンお兄ちゃんがお肉を切ってくれているので味をつけたら少しずつ焼いていってもらえますか?」
「「「おーー!」」」
アレンもいるのでこれで肉の心配はないだろう。
エルほど上手くはないが魚を下ろしていくと味噌汁にぶち込んでいく。
ちらし寿司にしようかとも迷ったが、今から作るには時間がかかるため断念した。
「…………オレなんもしてねぇ」
「そんなことないですよ。玲を見ててくれて私はとっても助かってます」
勿論ベッドなりソファなり寝かせておくことも出来るのだが、あえて彼に預けたのは疲れているだろうに素直に休むことをしないサウルのためだった。
「気になるなら味見をサウルにお願いしてもいいですか?」
普段の味噌汁も美味しいだろうが、今回は魚も入れているためいい出汁が出ているはずだ。
スプーンで掬い口元へ持っていけば、少し照れながらも美味しいと飲んでくれた。
「いつもとちょっとちがう」
「でしょ。色々入ってるのでいっぱい食べて下さいね」
必要な皿などはカイが用意してくれてあり準備万端だ。
「エニシおにぃちゃん!あがったよー」
「おにぃちゃん、ふわふわして~」
風呂から上がり上機嫌で駆けてくる2人を受け止めつつ、お願い通り魔法で髪を乾かしてやる。
はやーいと喜ぶ2人に、それをすぐ横で見ていた少女たちも呼び寄せると順番に乾かしてやった。
「あったまりましたか?」
「は、はい。あ、あのっ、あ、ありがとう、ございま、した」
店で見た時より幾分顔色がいい少女に頷くと頭を撫でてやった。
「イリスさんは髪が長いですから簡単に結んでおきましょうか」
切る機会がなかったせいか腰辺りまで伸びている髪は、食事の邪魔にならないよう可愛らしいリボンで結んでやったのだが、先程から黙りこくってしまっており大人しい。
「じゃあみんなでご飯にしましょう」
ごはんだー!と大喜びの子どもたちと料理を運ぶとーー
「いただきます」
「「「「いただきまーす」」」」
「「………………」」
子どもたちがもりもりと育ち盛りの食欲を見せる中、姉妹2人は何故か俯き動かない。
「どうしました?お腹が空いているでしょう?嫌いなものでもありましたか?」
「「?」」
不思議そうに首を傾げる2人に、もしやと思い食べていいんですよと言えば驚いていた。
セインたちを買った時にも聞いてはいたが、まさか自分たちの分まで用意されていると思ってなかったらしい。
「いっぱい食べなさい。お魚は大丈夫ですか?お肉もありますからね。喉に詰まらせないように水もちゃんと飲んで下さいね。急に食べるとお腹が驚いちゃいますから先にお味噌汁を飲むといいですよ」
固まり動かない2人に、はいとお椀を持たせてやるが食べ始める様子はなく苦笑いする。
きっとまだ現実を受け入れられていないのだろう。
「今は何も考えなくていいんです。ただ目の前のご飯をお腹いっぱい食べて、ぐっすり眠って、明日目が覚めたらまたお話ししましょう?」
なぜ?どうして?と考えても今すぐに答えは出ないだろう。
ならばそれは全て後でいいよと言いスプーンを握らせてやれば、ゆっくりとだが食べ出した2人に微笑むのだった。
「おかえりなさいアレン」
数匹のウサギや鳥を肩にぶらせながらアレンが帰ってきた。
胸元には抱っこ紐によってスヤスヤ眠る玲の姿がある。
「お疲れ様でした。怪我はないですか?」
「ない」
アレンのことだから大丈夫だとは思っていたが、2人共怪我もないようで安心した。
「悪い。玲もいたからあんまり大物はとれなかった」
普段なら鹿や何だらと大物狙いであるアレンだが、今回は玲を抱えていたこともあり小さな罠だけで頑張ってくれたようだ。
初めは狩りになど行かなくていいと言ったのだが、腹を空かせて待っているだろう子どもたちと縁のために行くと聞かなかったためお願いしたのだ。
ありがとうと礼を言い受け取ろうとしたが、捌いてくると言い外に出て行こうとしたのを止めると頬に軽くキスをした。
「頑張ってくれてありがとうアレン」
「縁のためならいくらでも。そろそろ起きるかもしれないから玲頼めるか?」
「はい」
おかえりなさいと起こさないよう眠る玲の頭を撫でてやる。
アレンが肉を捌いてくれているため、なら自分も魚を捌くかと玲を胸元に括り付けようとしーーー
「サウル」
「なに?」
同じく買ってきた物を片付けていてくれていたサウルを呼ぶと近くに椅子を引きずってくる。
座ってとポンポンと椅子を叩けば、意味分からんと首を傾げながらも大人しく座ってくれる。
「ご飯の準備をしたいのでその間玲をお願いしてもいいですか?」
「は?オレが?」
お願いねと抱えていた玲をサウルに渡す。
「え?ちょっとまって。なんでオレなんだよ」
「イヤですか?」
「イヤじゃねぇけど、オレもごはんのようい……」
イヤじゃないならお願いと笑うと外で駆け回って遊ぶ子どもたちに声をかけお手伝いをお願いする。
ご飯だご飯だと育ち盛りの子どもたちは喜んで駆け寄ってきてくれた。
「今アレンお兄ちゃんがお肉を切ってくれているので味をつけたら少しずつ焼いていってもらえますか?」
「「「おーー!」」」
アレンもいるのでこれで肉の心配はないだろう。
エルほど上手くはないが魚を下ろしていくと味噌汁にぶち込んでいく。
ちらし寿司にしようかとも迷ったが、今から作るには時間がかかるため断念した。
「…………オレなんもしてねぇ」
「そんなことないですよ。玲を見ててくれて私はとっても助かってます」
勿論ベッドなりソファなり寝かせておくことも出来るのだが、あえて彼に預けたのは疲れているだろうに素直に休むことをしないサウルのためだった。
「気になるなら味見をサウルにお願いしてもいいですか?」
普段の味噌汁も美味しいだろうが、今回は魚も入れているためいい出汁が出ているはずだ。
スプーンで掬い口元へ持っていけば、少し照れながらも美味しいと飲んでくれた。
「いつもとちょっとちがう」
「でしょ。色々入ってるのでいっぱい食べて下さいね」
必要な皿などはカイが用意してくれてあり準備万端だ。
「エニシおにぃちゃん!あがったよー」
「おにぃちゃん、ふわふわして~」
風呂から上がり上機嫌で駆けてくる2人を受け止めつつ、お願い通り魔法で髪を乾かしてやる。
はやーいと喜ぶ2人に、それをすぐ横で見ていた少女たちも呼び寄せると順番に乾かしてやった。
「あったまりましたか?」
「は、はい。あ、あのっ、あ、ありがとう、ございま、した」
店で見た時より幾分顔色がいい少女に頷くと頭を撫でてやった。
「イリスさんは髪が長いですから簡単に結んでおきましょうか」
切る機会がなかったせいか腰辺りまで伸びている髪は、食事の邪魔にならないよう可愛らしいリボンで結んでやったのだが、先程から黙りこくってしまっており大人しい。
「じゃあみんなでご飯にしましょう」
ごはんだー!と大喜びの子どもたちと料理を運ぶとーー
「いただきます」
「「「「いただきまーす」」」」
「「………………」」
子どもたちがもりもりと育ち盛りの食欲を見せる中、姉妹2人は何故か俯き動かない。
「どうしました?お腹が空いているでしょう?嫌いなものでもありましたか?」
「「?」」
不思議そうに首を傾げる2人に、もしやと思い食べていいんですよと言えば驚いていた。
セインたちを買った時にも聞いてはいたが、まさか自分たちの分まで用意されていると思ってなかったらしい。
「いっぱい食べなさい。お魚は大丈夫ですか?お肉もありますからね。喉に詰まらせないように水もちゃんと飲んで下さいね。急に食べるとお腹が驚いちゃいますから先にお味噌汁を飲むといいですよ」
固まり動かない2人に、はいとお椀を持たせてやるが食べ始める様子はなく苦笑いする。
きっとまだ現実を受け入れられていないのだろう。
「今は何も考えなくていいんです。ただ目の前のご飯をお腹いっぱい食べて、ぐっすり眠って、明日目が覚めたらまたお話ししましょう?」
なぜ?どうして?と考えても今すぐに答えは出ないだろう。
ならばそれは全て後でいいよと言いスプーンを握らせてやれば、ゆっくりとだが食べ出した2人に微笑むのだった。
11
お気に入りに追加
3,705
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる