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これからも
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後ろから聞こえた声に何だろうかと振り返れば、檻の中からこちらを見ている少女が1人。どことなく見覚えがある獣耳がある。
じっとこちらを見てくる視線を辿っていけば……
「……話してみますか?」
「うん」
サウルも興味があるようで驚かせないようそっと近付いていく。
「こんにちは。お名前は?」
「っ!あ、あのっ」
「大丈夫。ゆっくりでいいですよ」
突然話しかけられ怯える少女にゆっくりでいいからと落ち着かせる。
対外の奴隷がそうだが、やはり買われ使われる立場であるためか話しかけても怯えられることが多い。
「あ、あの、あの、わたし……シャーー」
「シャイア!」
少女が勇気を出し名乗ろうとした瞬間、背後から怒ったような声と共に少女が誰かによって手を引かれていった。
「お、おねぇちゃーー」
「妹に何の用?」
少女を守るように前に出てきたのはどうやら少女の姉のようで、こちらを警戒するように睨みつけてくる姿にこれは手強そうだと苦笑いする。
「突然すいません。よければ少しお話しさせてもらえればなと」
「ハッ、お断りよ。人間なんかが私たちと何を話そうってのよ」
これは完全に人間を恨んでいるようだ。
確かに彼らを思えばそれも仕方がないことだろう。
「うーん、そうですね。妹さんがこの子を気にしていたようなので何かあったのかなと」
ね?とサウルを窺えば彼も先程の声をしっかりと聞いていたようで頷き返す。
「何もないって言ってんでしょ。急に人間が現れたから驚いただけよ」
あくまでも話すことはないと言い張るようだ。どうしたものか……
「もういいよ。ほか見に行こう」
どうしたら聞いてもらえるかと悩んでいれば、もういいとばかりにサウルに手を引かれた。
「いいんですか?」
確かに平和に話し合うのは難しそうだが、時間をかければと思っていたのだが……
「うん。あの子は気になるけど………こいつ、アンタのことバカにした」
縁は気にしていなかったが、あまり態度がよくない相手にサウルはご立腹のようだ。
早く行こうと手を引いてくるが、オロオロと姉の背後で困惑している少女がどこか気になった。
「お姉さんの気持ちも分かりますが本当に少しお話ししたいだけです。………ダメですか?」
妹を守りたい姉の気持ちも分かるが今を逃すともう話す機会はないかもと少女を窺う。
「……おねぇちゃん、わたしおはなししたい」
「シャイア!ダメよ、こいつら人間よ。きっとそう言って私たちを嬲りたいだけなのよ。知ってるでしょ?人間なんか信用できないわ。私たちを痛ぶって喜ぶ最低な奴らよ」
姉の方は人間に対してかなり恨みが深いらしい。
「で、でも、このひとおこらなかったよ。わ、わたし、ちゃんとしゃべれなくてもだいじょうぶって、まっててくれた」
「それは……嘘よ!そう言って後で私たちがうるさいとか言って殴るに決まってるわ!」
「そ、そんなことないよ。だ、だってほかのひとたちならもうたたかれてるでしょ?けど、このひとそんなことしなかった」
「……………」
意外にも少女が言葉で勝利したらしい。
黙り込む姉には申し訳ないがおいでと手招きすれば、ゆっくりと近付いてきた少女に微笑む。
「信じてくれてありがとうございます。驚かせてごめんね。まずは私たちから自己紹介しましょうか。私が縁で、この子がサウルです」
「あ、あの、わたしはシャイア、です。こ、こっちが、おねぇちゃんで、イリスっていいます」
話しを聞いていくと、どうやらこの2人は実の姉妹らしく、可愛らしい耳だと思っていたのは狐の耳だったらしい。
懐かしさを感じると思っていたらサッズと同じ狐の獣人のようだ。
「よろしくね。それで……どうしてサウルを見ていたんですか?」
「あ、あの、まえにみせのまえで、みたことがあって。お、おとこのひとにおいかけられてて、その、たたかれてち、ちがでてて……」
サウルを見る。
「ぬすんだのがバレてつかまったときじゃねぇの?」
心当たりはあるらしい。
以前までは日常茶飯事だったようで少女が見たのがいつかは分からないが、殴られ蹴り飛ばされるサウルを覚えていたようだ。
「心配してくれてたんですね。ありがとうございます。今はとても元気にやってますよ」
「そ、そっか。よかった、です」
「「「…………」」」
話すことは終わったとばかりに黙り込んでしまう少女にどうしようかと再びサウルを見る。
「…………なんで?」
「え?」
「なんでオレのことしんぱいなんてしてんだよ。たにんだろ?それにお前、どれいにまでされてなんで人のことしんぱいできんだよ」
自分は毎日生きるので必死で人を気にかける余裕などなかったというサウルも、奴隷という立場ではないが幼いながら1人で生きることを強いられてきたからこそ不思議でしかないのだろう。
「………えっと、その、すごいなって」
「は?」
「わ、わたしいつもこんなで、は、はなすのもにがてで、だ、だからひとをイライラさせることもいっぱいあって。おこられても、い、いいかえすなんてこともできなくて。だから、その……あ、あなたがおとなのひとに、つかまって、たたかれてもないてないのがすごいなって。う、うるさいっていいかえしてたのがすごいなっておもって」
「…………」
縁もサウルに出会った時に思ったものだが、1人逞しく生きる彼に少女も何かを感じたのだろう。
この出会いが何かいいきっかけになればいいなと2人を見守るのだった。
じっとこちらを見てくる視線を辿っていけば……
「……話してみますか?」
「うん」
サウルも興味があるようで驚かせないようそっと近付いていく。
「こんにちは。お名前は?」
「っ!あ、あのっ」
「大丈夫。ゆっくりでいいですよ」
突然話しかけられ怯える少女にゆっくりでいいからと落ち着かせる。
対外の奴隷がそうだが、やはり買われ使われる立場であるためか話しかけても怯えられることが多い。
「あ、あの、あの、わたし……シャーー」
「シャイア!」
少女が勇気を出し名乗ろうとした瞬間、背後から怒ったような声と共に少女が誰かによって手を引かれていった。
「お、おねぇちゃーー」
「妹に何の用?」
少女を守るように前に出てきたのはどうやら少女の姉のようで、こちらを警戒するように睨みつけてくる姿にこれは手強そうだと苦笑いする。
「突然すいません。よければ少しお話しさせてもらえればなと」
「ハッ、お断りよ。人間なんかが私たちと何を話そうってのよ」
これは完全に人間を恨んでいるようだ。
確かに彼らを思えばそれも仕方がないことだろう。
「うーん、そうですね。妹さんがこの子を気にしていたようなので何かあったのかなと」
ね?とサウルを窺えば彼も先程の声をしっかりと聞いていたようで頷き返す。
「何もないって言ってんでしょ。急に人間が現れたから驚いただけよ」
あくまでも話すことはないと言い張るようだ。どうしたものか……
「もういいよ。ほか見に行こう」
どうしたら聞いてもらえるかと悩んでいれば、もういいとばかりにサウルに手を引かれた。
「いいんですか?」
確かに平和に話し合うのは難しそうだが、時間をかければと思っていたのだが……
「うん。あの子は気になるけど………こいつ、アンタのことバカにした」
縁は気にしていなかったが、あまり態度がよくない相手にサウルはご立腹のようだ。
早く行こうと手を引いてくるが、オロオロと姉の背後で困惑している少女がどこか気になった。
「お姉さんの気持ちも分かりますが本当に少しお話ししたいだけです。………ダメですか?」
妹を守りたい姉の気持ちも分かるが今を逃すともう話す機会はないかもと少女を窺う。
「……おねぇちゃん、わたしおはなししたい」
「シャイア!ダメよ、こいつら人間よ。きっとそう言って私たちを嬲りたいだけなのよ。知ってるでしょ?人間なんか信用できないわ。私たちを痛ぶって喜ぶ最低な奴らよ」
姉の方は人間に対してかなり恨みが深いらしい。
「で、でも、このひとおこらなかったよ。わ、わたし、ちゃんとしゃべれなくてもだいじょうぶって、まっててくれた」
「それは……嘘よ!そう言って後で私たちがうるさいとか言って殴るに決まってるわ!」
「そ、そんなことないよ。だ、だってほかのひとたちならもうたたかれてるでしょ?けど、このひとそんなことしなかった」
「……………」
意外にも少女が言葉で勝利したらしい。
黙り込む姉には申し訳ないがおいでと手招きすれば、ゆっくりと近付いてきた少女に微笑む。
「信じてくれてありがとうございます。驚かせてごめんね。まずは私たちから自己紹介しましょうか。私が縁で、この子がサウルです」
「あ、あの、わたしはシャイア、です。こ、こっちが、おねぇちゃんで、イリスっていいます」
話しを聞いていくと、どうやらこの2人は実の姉妹らしく、可愛らしい耳だと思っていたのは狐の耳だったらしい。
懐かしさを感じると思っていたらサッズと同じ狐の獣人のようだ。
「よろしくね。それで……どうしてサウルを見ていたんですか?」
「あ、あの、まえにみせのまえで、みたことがあって。お、おとこのひとにおいかけられてて、その、たたかれてち、ちがでてて……」
サウルを見る。
「ぬすんだのがバレてつかまったときじゃねぇの?」
心当たりはあるらしい。
以前までは日常茶飯事だったようで少女が見たのがいつかは分からないが、殴られ蹴り飛ばされるサウルを覚えていたようだ。
「心配してくれてたんですね。ありがとうございます。今はとても元気にやってますよ」
「そ、そっか。よかった、です」
「「「…………」」」
話すことは終わったとばかりに黙り込んでしまう少女にどうしようかと再びサウルを見る。
「…………なんで?」
「え?」
「なんでオレのことしんぱいなんてしてんだよ。たにんだろ?それにお前、どれいにまでされてなんで人のことしんぱいできんだよ」
自分は毎日生きるので必死で人を気にかける余裕などなかったというサウルも、奴隷という立場ではないが幼いながら1人で生きることを強いられてきたからこそ不思議でしかないのだろう。
「………えっと、その、すごいなって」
「は?」
「わ、わたしいつもこんなで、は、はなすのもにがてで、だ、だからひとをイライラさせることもいっぱいあって。おこられても、い、いいかえすなんてこともできなくて。だから、その……あ、あなたがおとなのひとに、つかまって、たたかれてもないてないのがすごいなって。う、うるさいっていいかえしてたのがすごいなっておもって」
「…………」
縁もサウルに出会った時に思ったものだが、1人逞しく生きる彼に少女も何かを感じたのだろう。
この出会いが何かいいきっかけになればいいなと2人を見守るのだった。
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