392 / 475
忘れましょう
しおりを挟む
ダンジョン観光(攻略?)は突如として終わりを告げた。
「ルー、縁を頼む。ロンとエルは俺と前に出るぞ。セイン、アレンは子どもたちを見ながら周りの警戒を頼む。ーー帰るぞ」
力なく垂れ下がる腕にこのままここにいても仕方がないだろうと帰ることに決めた。
それなりに探検も楽しんだため子どもたちもぐずることはせず、ママは大丈夫かと心配している。
「ママなら大丈夫だ。けど早く寝かせてやりたいから急いで帰るぞ」
気絶しているだけなようなのですぐに目を覚ますとは思うが、念には念を入れ急ぐことにすれば、分かったと頷く子どもたちの頭を撫でてやるのだった。
「にしても運が悪かったな。まさかこの階のボスがアレとはな……」
「縁すっごい声だったね」
ルーも苦笑いしながら腕の中の縁をしっかりと抱き抱えていた。
確かにとジークも笑いながら先程聞いたばかりの縁の悲鳴を思い出す。
「っ、ぎゃあああぁぁぁぁーーーーっ!」
ボスがいる部屋の前、警戒しながら足を踏み入れソレを見た途端、縁が今まで聞いたことがないような男らしい(?)悲鳴を上げヤツをたぶんだが魔法で細切れにしていた。
あまりに一瞬の出来事に誰も何も反応できず、何が起こったのかと数分目を瞬かせる。
「………縁?」
いきなり消えた敵の姿に驚きながらも確認しようと後ろを振り返ったが……
「ムリ」
それだけ言い残し崩れ落ちた身体を手を繋いでいた双子が慌てて支えようとしたが、まだ幼く身体が出来上がっていない2人には難しく潰されているのを急いで駆け寄ると助け起こした。
「あー、そういやカエルだめだったな縁」
「小さくともダメならこれも無理に決まってるな」
以前聞いた話しではジークたちの握り拳ほどのものにも怯えていたというのだから、今倒したばかりの自分たちの何倍あるのだろう大きさなど見ただけで問題外だったのだろう。
我に返ったアレンとセインも苦笑いしながら縁を起こすのを手伝ってくれる。
「こりゃ完全に気失ってんな」
ペチペチと軽く頬を叩いてみるが反応はなく、起こすにも目を覚ましてまたこの場所では縁も混乱するだろうと戻ることに決めれば誰も反対することはないのだった。
細切れにしたとはいえ、その破片はそこら中に落ちているのだから。
子どもたちはリルが抱えてくれたためそう時間をかけず地上まで走り抜けることが出来た。
「縁は……まだ起きねぇか」
大丈夫だと分かってはいるが今までのこともあり無事に目を開けるまで安心出来なかった。
しかし外に出てみれば陽も傾き始めていたため一晩野宿し、明け方家に戻ろうと提案したのだがーー
「パパかえろう。ママ寝かせてあげたい」
アズが帰ろうと言ってきた。
「そうだな。ここまで来たならさっさと帰った方が一番だ。俺たちはあまり夜目が効かないから途中からは歩きになってしまうが日が落ちるギリギリまでは頑張ってみる」
まさかのロンまでそう言ってきたことは驚いた。
家まではそれなりに距離がある。
ロンやルーに任せれば勿論早いのだが、彼らも夜に飛ぶのは苦手と知っていたため早朝にしようとジークは言ったのだ。
だがアズもロンも縁のためにかすぐに帰ろうと言う。
「………本当にいいのか?」
「うん」
「ああ」
夜通し歩くも走るもジークたちに問題はないが、まだ幼いアズたちには辛いだろう。
無理せず明日でいいと言うが首を振られた。
「ママ思い出したらまたたおれちゃうかもしれないから。ゆっくり寝かせて上げたいの」
最近思うがアズまで縁に対して過保護になってきているのは気のせいだろうか?
だがジークも縁を休ませてやりたい気持ちは変わらないため有り難く提案に乗ることにした。
「分かった。なら悪いがロン頼んだ。ヤバそうになったら無理せず言え。繋たちは俺たちが抱えていく」
子どもたちを抱えて走るなど自分たちにとって何も問題はない。
アレンたちも賛成してくれドラゴンの姿に戻ったロンの背に乗せてもらうと自宅まで急いで帰るのだった。
それから無事に家に着いたのだが、一向に起きる気配のない縁に心配していれば……
「いや、これ寝てんじゃないの?昨日は見張りでずっと起きてたから。朝もあくびしてたし」
「「「「「…………だな」」」」」
エルの一言に納得すると自分たちも身体を癒すため一緒に眠りにつくのであった。
お騒がせな番には困ったものである。
「ルー、縁を頼む。ロンとエルは俺と前に出るぞ。セイン、アレンは子どもたちを見ながら周りの警戒を頼む。ーー帰るぞ」
力なく垂れ下がる腕にこのままここにいても仕方がないだろうと帰ることに決めた。
それなりに探検も楽しんだため子どもたちもぐずることはせず、ママは大丈夫かと心配している。
「ママなら大丈夫だ。けど早く寝かせてやりたいから急いで帰るぞ」
気絶しているだけなようなのですぐに目を覚ますとは思うが、念には念を入れ急ぐことにすれば、分かったと頷く子どもたちの頭を撫でてやるのだった。
「にしても運が悪かったな。まさかこの階のボスがアレとはな……」
「縁すっごい声だったね」
ルーも苦笑いしながら腕の中の縁をしっかりと抱き抱えていた。
確かにとジークも笑いながら先程聞いたばかりの縁の悲鳴を思い出す。
「っ、ぎゃあああぁぁぁぁーーーーっ!」
ボスがいる部屋の前、警戒しながら足を踏み入れソレを見た途端、縁が今まで聞いたことがないような男らしい(?)悲鳴を上げヤツをたぶんだが魔法で細切れにしていた。
あまりに一瞬の出来事に誰も何も反応できず、何が起こったのかと数分目を瞬かせる。
「………縁?」
いきなり消えた敵の姿に驚きながらも確認しようと後ろを振り返ったが……
「ムリ」
それだけ言い残し崩れ落ちた身体を手を繋いでいた双子が慌てて支えようとしたが、まだ幼く身体が出来上がっていない2人には難しく潰されているのを急いで駆け寄ると助け起こした。
「あー、そういやカエルだめだったな縁」
「小さくともダメならこれも無理に決まってるな」
以前聞いた話しではジークたちの握り拳ほどのものにも怯えていたというのだから、今倒したばかりの自分たちの何倍あるのだろう大きさなど見ただけで問題外だったのだろう。
我に返ったアレンとセインも苦笑いしながら縁を起こすのを手伝ってくれる。
「こりゃ完全に気失ってんな」
ペチペチと軽く頬を叩いてみるが反応はなく、起こすにも目を覚ましてまたこの場所では縁も混乱するだろうと戻ることに決めれば誰も反対することはないのだった。
細切れにしたとはいえ、その破片はそこら中に落ちているのだから。
子どもたちはリルが抱えてくれたためそう時間をかけず地上まで走り抜けることが出来た。
「縁は……まだ起きねぇか」
大丈夫だと分かってはいるが今までのこともあり無事に目を開けるまで安心出来なかった。
しかし外に出てみれば陽も傾き始めていたため一晩野宿し、明け方家に戻ろうと提案したのだがーー
「パパかえろう。ママ寝かせてあげたい」
アズが帰ろうと言ってきた。
「そうだな。ここまで来たならさっさと帰った方が一番だ。俺たちはあまり夜目が効かないから途中からは歩きになってしまうが日が落ちるギリギリまでは頑張ってみる」
まさかのロンまでそう言ってきたことは驚いた。
家まではそれなりに距離がある。
ロンやルーに任せれば勿論早いのだが、彼らも夜に飛ぶのは苦手と知っていたため早朝にしようとジークは言ったのだ。
だがアズもロンも縁のためにかすぐに帰ろうと言う。
「………本当にいいのか?」
「うん」
「ああ」
夜通し歩くも走るもジークたちに問題はないが、まだ幼いアズたちには辛いだろう。
無理せず明日でいいと言うが首を振られた。
「ママ思い出したらまたたおれちゃうかもしれないから。ゆっくり寝かせて上げたいの」
最近思うがアズまで縁に対して過保護になってきているのは気のせいだろうか?
だがジークも縁を休ませてやりたい気持ちは変わらないため有り難く提案に乗ることにした。
「分かった。なら悪いがロン頼んだ。ヤバそうになったら無理せず言え。繋たちは俺たちが抱えていく」
子どもたちを抱えて走るなど自分たちにとって何も問題はない。
アレンたちも賛成してくれドラゴンの姿に戻ったロンの背に乗せてもらうと自宅まで急いで帰るのだった。
それから無事に家に着いたのだが、一向に起きる気配のない縁に心配していれば……
「いや、これ寝てんじゃないの?昨日は見張りでずっと起きてたから。朝もあくびしてたし」
「「「「「…………だな」」」」」
エルの一言に納得すると自分たちも身体を癒すため一緒に眠りにつくのであった。
お騒がせな番には困ったものである。
11
お気に入りに追加
3,705
あなたにおすすめの小説
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる