二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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余計な一言

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 「おーおー。こりゃでっかいおねしょだな」

 「それは言葉にしなければいけないことですか?」

 時に人は余計な言葉を吐くが、今が正にそれだと思った。
 俯き縁の足に張り付く真に大丈夫だからと頭を撫でてやる。
 彼もしたくてしたわけではないのだからそれを笑ってしまうのはあまりに可哀想だ。
 洗うのは手間だが、洗ってしまえば綺麗になるのだから落ち込む相手にその一言はまったく余計だ。

 「大丈夫ですよ。すぐ綺麗にしますからね」

 「……………ごめんなさい」

 ダメだ。完全に落ち込んでしまっている。
 真がおねしょしたと知ったのは昨夜遅く。
 ぐっすりと寝ている中揺り起こされ見ればそれがあった。
 ごめんなさいと泣きながら謝る我が子に苛立つはずもなく、大丈夫だよと言うと着替えだけ済ませ眠りについた。
 本音を言えばシーツを交換したかったが、大きなベッドに皆で寝ているため交換するには皆を起こす必要があったのだ。
 だがそんなこと出来るはずもなく、濡れたそこにはタオルを敷くと泣く真を腕に抱え眠った。
 そして案の定朝それに気付いたアレンが冗談めかしてそう言ったのだが、はっきり言って余計だ。余計な一言だ。
 本人もよくないことだと分かっているし、恥ずかしいと思っているのだから追いうちをかけるようなことを言わないでほしい。

 「寝る前に少し飲ませ過ぎましたかね。気付いてあげられなくてごめんね」

 寝る前と分かっていたのだが、喉が渇いたというので飲ませてしまったのは縁だ。
 何もおねしょをしたのは真が初めてではない。
 繋も以前したことがあり、更に言えば愛依だって経験済みだ。
 だがあの2人は黙って俯いている子たちではなく、そんなことを言ったジークとアレンに突撃していくとバンバンとかなりの力で殴りにいっていた。逞ましい。
 そんな姉妹を持ちながらも性格が違う真は落ち込み俯くと何度も謝り続けていた。

 「ごめんなさい」

 「謝らなくていいですよ。みんな一度は経験することです。ママも昔にしたことがあります」

 幼い頃縁も経験したことがあるが、あれは本当に恥ずかしく申し訳なかった。
 どうしていいか分からず戸惑い母に言えば笑って大丈夫だと言うと父にバレないように静かにシーツを交換し着替えさせてくれたものだ。
 だからこそ真の気持ちも分かるし大丈夫だと背を撫でてやる。

 「あー、その……悪かった。別に真をバカにしたわけじゃないからな?」

 「そういうことじゃないんですけどね。嫌われたくなかったら玲には言わないことですよ」

 「わ、分かった。ごめんな真」

 流石にアレンもよくなかったと気付いたのか必死に謝っていた。

 「洗うのお手伝いしてくれますか?愛依と一緒に踏み踏みして下さい」

 「うん」

 このままでは今日一日ずっと落ち込んでしまうだろうと洗濯を手伝ってもらうことにした。
 自分で洗えば多少は気が楽になるかと思ったのだ。
 そして愛依を呼びにいき話しをすれば、案の定怒った愛依がアレンに突撃しに行き真を泣かすなと怒っていた。
 
 「アーパパひどい!シン、ちゃんとごめんなさいしてたもん!ダメなのよ!」

 「悪かったって。真にはちゃんと謝ったぞ」

 そんな2人を横目に桶にたらいに水を張ると石鹸を泡立てる。

 「さっ、真頑張って」

 「うん」

 シーツを浸すと真に裸足で踏んでもらう。
 途中自分もやりたいという愛依も混ざり一緒に踏み踏みしてくれた。
 
 「繋もやる~」

 何故か繋まで参戦し仲良く踏み踏みすると汚れもなくなり綺麗になった。
 
 「いっぱい頑張ってくれたから今日は3人の好きなご飯を作りましょうね」

 「ケイおみそしる!」

 「アイおにく!」

 「…………」

 未だ俯いたままの真に手を伸ばすとそっと顔を上げさせる。

 「真は何が食べたい?頑張ってくれたからママも頑張って真のために美味しいご飯を作りますよ」

 「……………シン…おさかな」

 「じゃあ……丼にしましょうかね。真にはお魚で愛依にはお肉で。美味しく作りたいのでお手伝いしてくれると嬉しいな?」

 「「「するっ」」」

 漸く見せてくれた笑顔に良かったと微笑む。
 それからみんなでご飯を作っていれば匂いにつられてかアズやエルも集まってきて仲良くみんなで作った。

 「優しい優しい真が、アレンのためにと、態々、作ってくれましたよ。良かったですね?」

 「……あ、ありがとな真」

 ハイと渡された丼に頬を引きつらせながら受け取っていた。
 これぐらいで勘弁してあげよう。

 「ママのもとても美味しそうです。ありがとう真」

 縁が作ると言っていたのだが、なんだかんだで人数もいたため材料を揃えると子どもたちが各々好きにご飯の上に盛り付けていた。
 アレンの他に縁の分も真は作ってくれ、自分の好みなのかそれとも縁の胃を思ったのか色々な魚がのせられていた。

 「ママだいすき」

 「ママも真が大好きですよ」

 一緒に笑い合い食べるご飯はとても美味しいのだった。



 

 
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