二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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伸ばされた手

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 どれほど眠っていたのだろう。
 出産によって体力を使い果たし眠っていたようだが、時間の感覚が麻痺し今がいつか分からない。

 「アレン」

 試しに名を呼んでみたが返事はなく、みんなを探しに立ち上がろうと足をついた途端ベッドから崩れ落ちた。

 「あれ?」

 「ーー縁っ!?」

 何故か力が入らず倒れた身体は床に叩きつけられてしまい、一体何が起きたのかと首を傾げる。
 その瞬間音を聞き付けたのだろうアレンが部屋に駆け込んできた。

 「あ、アレーー」

 「ケガは!?どこか痛めてないか?」

 軽々と起こされたかと思えば、子どものように腕に抱え上げられた。
 大丈夫なのかと心配そうに頭や肩など触れてきたため大丈夫だと微笑むとコテンと肩に頭を乗せる。

 「かなり寝てしまったみたいですね。私の宝物はどこですか?」

 出産の疲れに血を失ったことへの貧血、痛む頭に身体が休めと言っているのかもしれないがまだ大切な大切なその存在を見ていない。
 お願いだから見せて?と我儘を言えば苦笑いしながらも逞ましいママだと運んでくれた。

 「縁の勝ちだったぞ。けど女の子なのは嬉しいな」

 「………」

 やっと見ることが出来た喜びに自然涙が溢れた。
 何度子を産もうがこの時の喜びにそれまでどれだけ辛かろうが頑張って良かったと心から思える。

 「触ってみるか?」

 スヤスヤと寝てくれているところ起こすのは忍びないが、アレンの手を借り産まれたばかりの我が子に触れた。

 「……無事でよかった」

 「ママより全然元気だぞ。な?」

 双子の時よりは大きいが、繋の時よりは小さいその手に触れればキュッと握り返してくる。 
 こうして無事な姿を見れたことが何よりの喜びだ。

 「ふふっ、立派な護衛ですね」

 まるで守るように赤ん坊を挟み眠る双子の姿に微笑む。

 「ママの代わりにってな」

 流石に2人を抱え上げられるほど力は戻っていなかったが、ありがとうと礼を言うと頭を撫でてやる。

 「私はどれくらい眠ってました?」

 「2日、だな。息はしてるから大丈夫だって分かってたけど怖くて仕方なかった」

 「ごめんなさい。あと約束を守ってくれてありがとうございます」

 不安で仕方なかっただろうに危険だった縁を救い、意識が戻るまでちゃんと赤ん坊を見てくれていた。
 力が入らない腕を必死に持ち上げるとアレンに抱き付く。
 
 「アレンがいたから戻ってくることが出来た。この手にこの子を抱きしめることが出来る。すご嬉しいです」

 「本当に無事で安心した。それと……ありがとな。頑張ってくれて」

 その言葉がどれだけ嬉しいか。
 アレンもこの子の誕生日を喜んでくれているのが伝わってくる。
 愛する人に似た愛する子どもは何よりの宝だ。
 嬉しさに涙を流せば笑っていくつものキスを贈ってくれた。

 「名前も決めてやらないとな。あと繋に起きたのを教えてやらなーー」

 「ママ!」

 「………間に合わなかったか」

 バン!と勢いよく部屋に入ってきた繋だが、勢いよ過ぎて寝ていた子どもたちが目を覚まし泣き出してしまい泣き声の大合唱になってしまうのだった。

 「これはこれはまた元気なことですね」

 泣くのは困るがそれほどの元気があるのは良いことだと開き直ると、騒ぎに駆けつけてきたセインたちの手も借り子どもたちを泣き止ませるのだった。

 「ほらほら、お姉ちゃんたちがいつまでも泣いてたらこの子も泣き止みませんよ?」

 「「「ままぁ」」」

 どれだけの心配をかけたか分からない。
 泣き手を伸ばしてくる子どもたちを振り払うことなど出来るはずもなく、アレンに支えられながらも痛む腕を広げてやれば抱き付いてきた子どもたちを抱きしめ返してやるのだった。

 「待っていてくれてありがとう。みんなのおかげでママもこの子も元気ですよ。だからもう泣き止んで?ママに可愛い笑った顔を見せて下さい」

 涙と鼻水で酷い顔に思わず笑ってしまったが、これだけ自分が必要とされているのだと思うと嬉しくなる。
 1人ずつ優しく顔を拭いてやり、ただいまと抱きしめてやれば漸く泣き止んでくれた子どもたちに、ああここが自分の居場所なのだと微笑んだ。

 「結局ママなんだよな。パパも忘れんじゃねぇぞ?」

 「「パパもすき!」」

 「ならよし!」

 ジークも大概親バカだなと思う。

 「ケイもパパすき~」

 「そ、そうか」

 自分からは聞くことが出来ないセインには心優しい繋が大好きだよと抱きついていた。
 何とも出来た娘である。
 …………ん?自分にはもう1人息子がいたはずだが?

 「ごめん。お昼寝に入っちゃったみたいで……」

 申し訳なさそうに謝ってくるルーの腕にはドラゴンとしてはどうなんだろう?という堂々と腹を見せて眠る翔の姿が。

 「将来大物になりそうですね」

 「もしくは大バカ野郎かもな」

 「「「「…………」」」」

 あれほどの大合唱の中よく眠ていられるものである。
 すごいものだなと感心していれば、即座に突っ込んできたジークに誰も何も言い返せないのだった。

 

 


 
 

 


 
 
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