349 / 475
感動
しおりを挟む
「今日はありがとうございました」
「いえ、こちらこそ朝早くからお邪魔してすいませんでした。いい勉強になりました」
夕食も済み、子どもたちを全員風呂に入れると時間も時間のため帰るというフレックを見送る。
「迷惑でなければよかったです。あとこれ、今日のお礼と隊長さんにお土産に持っていって下さい」
以前渡したこともある醤油で味付けした瓶詰めの食材たちに加え、今回は味噌で味付けしたものもあり、それらを袋にまとめたものを渡す。
「何から何まですいません。隊長も喜びます」
申し訳ないと頭を下げながらも嬉しそうに受け取ってくれた。
「……お兄ちゃんかえっちゃうの?」
いつの間に来たのか帰り支度をしているフレックに気付き双子が走り寄って来た。
「ええ。また遊びに来るので一緒に遊んでくれますか?」
「「いいよ!」」
寂しいとばかりにしょげる2人に、意外にもフレックは膝をつき目線を合わせると笑ってまた来ますと約束してくれた。
朝の縁との会話を知らない双子にとってフレックは自分たちと遊んでくれる優しいお兄さんという認識なのだろう。
そのことに間違いはないし、態々2人を傷付けるだろうことを言う必要もないだろうと縁も話そうとは思わなかった。
だがーー
「まだ数日はここにいる予定です。なのでーー子どもたちにとって危ない犬は近づけないでくれると助かります」
自分の家族に暴言を吐く男を再び連れてくるのは許さないぞと釘を刺しておいた。
あくまで縁やアレンが許したのはフレックだけであり、アレンに暴言を吐いた男はその対象ではない。
連れてくればその機会すら無に還すと忠告すれば、フレックも深く頷き双子に笑顔で手を振って帰っていくのだった。
「ママいぬさんきらい?」
「ん?好きですよ」
先程のフレックへの言葉をどう捉えたのか、ママはもしかしたら犬が嫌いなのでは?と勘違いしたらしい。
「でも時にはお前なんかキライと噛み付いてくる犬さんもいるんですよ。リルの場合はママの言葉を分かってくれましたけど、そうじゃない犬さんに真と愛依が傷付けられたらママは悲しくて泣いちゃいます」
「「ダメ!」」
ママ泣かないでと抱きついてきた2人を抱え上げる。
「だからそんな犬さんは連れて来ないでねと頼んだだけなので2人は気にしなくていいんです」
さぁもう寝る時間ですよとベッドまで運んでやればフレックとたくさん遊んだおかけでか2人はぐっすりと眠りにつくのだった。
「どうでした?」
子どもたちは寝てしまったが、未だ眠気が来ない大人組は2人の寝顔を横目に椅子に腰を下ろーーそうとしてアレンに腰を掴まれ膝の上に乗せられた。
まるで小さい子のようだと初めの頃は抵抗していたが、彼らにとってこれは愛情表現の1つなのだと知ってからは大人しく受け入れている。
実際彼らは我が子たちより縁を膝に乗せる頻度の方が高い。
そんなアレンに今日1日だけだがフレックを見てどうだったか聞いてみた。
「まあ……悪いやつじゃあないみたいだけど……」
まだ信用は出来ないということだろう。
だがそれでいいと縁は笑う。
「そんな簡単に人を信じられるわけないんですよ。だからそれでいいんです」
どの世界にも良い人がいれば、悪いことを考える人がいる。
パッと見ただけでどちらか判断など出来るはずもなく、一見して優しそうに見えても実際は乱暴な人間かもしれない。
その逆もまた然り。
「少しずつ、彼の人柄を見てアレンが判断してくれればいいんです。私が言ったからと無理に納得する必要なんてない。私のはきっかけに過ぎないんですから」
縁は彼をもう一度しっかり見て欲しいとしか言ってない。
許してほしいではなく、彼のこれからの自分たちへの接し方を見て上げて欲しいと。
それを見てアレンがやはり許せないと思うならばそれで構わないのだ。
「信頼を勝ち取るのはそう簡単じゃありません。それこそ人間同士でさえ難しいんです。それを人間と獣人という敵対していた相手に得るのは大変でしょう。でもだからこそ長い目で見て上げて下さい」
「………分かった」
初めから特に忌避感を示さなかったランたちとは違い、それが当たり前だと信じ生きてきたフレックとではかなりの差がある。
だが話しをし、当たり前だと思っていたはずが本当ではなないと理解したフレックはちゃんと謝ってくれた。
泣いて誤り、愛依の手をとり、2人ために膝をついてくれた。
だからこそ時間を上げてほしいと頼んだ。
愛依たちのようには無理でも、まぁ信じてやってもいいと言ってくれただけで十分た。
「ありがとう。ありがとうございますアレン」
頷いてくれたアレンに感謝すると、手を伸ばしその広い背に手を回すのだった。
「いえ、こちらこそ朝早くからお邪魔してすいませんでした。いい勉強になりました」
夕食も済み、子どもたちを全員風呂に入れると時間も時間のため帰るというフレックを見送る。
「迷惑でなければよかったです。あとこれ、今日のお礼と隊長さんにお土産に持っていって下さい」
以前渡したこともある醤油で味付けした瓶詰めの食材たちに加え、今回は味噌で味付けしたものもあり、それらを袋にまとめたものを渡す。
「何から何まですいません。隊長も喜びます」
申し訳ないと頭を下げながらも嬉しそうに受け取ってくれた。
「……お兄ちゃんかえっちゃうの?」
いつの間に来たのか帰り支度をしているフレックに気付き双子が走り寄って来た。
「ええ。また遊びに来るので一緒に遊んでくれますか?」
「「いいよ!」」
寂しいとばかりにしょげる2人に、意外にもフレックは膝をつき目線を合わせると笑ってまた来ますと約束してくれた。
朝の縁との会話を知らない双子にとってフレックは自分たちと遊んでくれる優しいお兄さんという認識なのだろう。
そのことに間違いはないし、態々2人を傷付けるだろうことを言う必要もないだろうと縁も話そうとは思わなかった。
だがーー
「まだ数日はここにいる予定です。なのでーー子どもたちにとって危ない犬は近づけないでくれると助かります」
自分の家族に暴言を吐く男を再び連れてくるのは許さないぞと釘を刺しておいた。
あくまで縁やアレンが許したのはフレックだけであり、アレンに暴言を吐いた男はその対象ではない。
連れてくればその機会すら無に還すと忠告すれば、フレックも深く頷き双子に笑顔で手を振って帰っていくのだった。
「ママいぬさんきらい?」
「ん?好きですよ」
先程のフレックへの言葉をどう捉えたのか、ママはもしかしたら犬が嫌いなのでは?と勘違いしたらしい。
「でも時にはお前なんかキライと噛み付いてくる犬さんもいるんですよ。リルの場合はママの言葉を分かってくれましたけど、そうじゃない犬さんに真と愛依が傷付けられたらママは悲しくて泣いちゃいます」
「「ダメ!」」
ママ泣かないでと抱きついてきた2人を抱え上げる。
「だからそんな犬さんは連れて来ないでねと頼んだだけなので2人は気にしなくていいんです」
さぁもう寝る時間ですよとベッドまで運んでやればフレックとたくさん遊んだおかけでか2人はぐっすりと眠りにつくのだった。
「どうでした?」
子どもたちは寝てしまったが、未だ眠気が来ない大人組は2人の寝顔を横目に椅子に腰を下ろーーそうとしてアレンに腰を掴まれ膝の上に乗せられた。
まるで小さい子のようだと初めの頃は抵抗していたが、彼らにとってこれは愛情表現の1つなのだと知ってからは大人しく受け入れている。
実際彼らは我が子たちより縁を膝に乗せる頻度の方が高い。
そんなアレンに今日1日だけだがフレックを見てどうだったか聞いてみた。
「まあ……悪いやつじゃあないみたいだけど……」
まだ信用は出来ないということだろう。
だがそれでいいと縁は笑う。
「そんな簡単に人を信じられるわけないんですよ。だからそれでいいんです」
どの世界にも良い人がいれば、悪いことを考える人がいる。
パッと見ただけでどちらか判断など出来るはずもなく、一見して優しそうに見えても実際は乱暴な人間かもしれない。
その逆もまた然り。
「少しずつ、彼の人柄を見てアレンが判断してくれればいいんです。私が言ったからと無理に納得する必要なんてない。私のはきっかけに過ぎないんですから」
縁は彼をもう一度しっかり見て欲しいとしか言ってない。
許してほしいではなく、彼のこれからの自分たちへの接し方を見て上げて欲しいと。
それを見てアレンがやはり許せないと思うならばそれで構わないのだ。
「信頼を勝ち取るのはそう簡単じゃありません。それこそ人間同士でさえ難しいんです。それを人間と獣人という敵対していた相手に得るのは大変でしょう。でもだからこそ長い目で見て上げて下さい」
「………分かった」
初めから特に忌避感を示さなかったランたちとは違い、それが当たり前だと信じ生きてきたフレックとではかなりの差がある。
だが話しをし、当たり前だと思っていたはずが本当ではなないと理解したフレックはちゃんと謝ってくれた。
泣いて誤り、愛依の手をとり、2人ために膝をついてくれた。
だからこそ時間を上げてほしいと頼んだ。
愛依たちのようには無理でも、まぁ信じてやってもいいと言ってくれただけで十分た。
「ありがとう。ありがとうございますアレン」
頷いてくれたアレンに感謝すると、手を伸ばしその広い背に手を回すのだった。
21
お気に入りに追加
3,705
あなたにおすすめの小説
【完結】ブスと呼ばれるひっつめ髪の眼鏡令嬢は婚約破棄を望みます。
はゆりか
恋愛
幼き頃から決まった婚約者に言われた事を素直に従い、ひっつめ髪に顔が半分隠れた瓶底丸眼鏡を常に着けたアリーネ。
周りからは「ブス」と言われ、外見を笑われ、美しい婚約者とは並んで歩くのも忌わしいと言われていた。
婚約者のバロックはそれはもう見目の美しい青年。
ただ、美しいのはその見た目だけ。
心の汚い婚約者様にこの世の厳しさを教えてあげましょう。
本来の私の姿で……
前編、中編、後編の短編です。
てめぇの所為だよ
章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。
かつて私のお母様に婚約破棄を突き付けた国王陛下が倅と婚約して後ろ盾になれと脅してきました
お好み焼き
恋愛
私のお母様は学生時代に婚約破棄されました。当時王太子だった現国王陛下にです。その国王陛下が「リザベリーナ嬢。余の倅と婚約して後ろ盾になれ。これは王命である」と私に圧をかけてきました。
バッドエンドの異世界に悪役転生した僕は、全力でハッピーエンドを目指します!
あ
BL
16才の初川終(はつかわ しゅう)は先天性の心臓の病気だった。一縷の望みで、成功率が低い手術に挑む終だったが……。
僕は気付くと両親の泣いている風景を空から眺めていた。それから、遠くで光り輝くなにかにすごい力で引き寄せられて。
目覚めれば、そこは子どもの頃に毎日読んでいた大好きなファンタジー小説の世界だったんだ。でも、僕は呪いの悪役の10才の公爵三男エディに転生しちゃったみたい!
しかも、この世界ってバッドエンドじゃなかったっけ?
バッドエンドをハッピーエンドにする為に、僕は頑張る!
でも、本の世界と少しずつ変わってきた異世界は……ひみつが多くて?
嫌われ悪役の子どもが、愛されに変わる物語。ほのぼの日常が多いです。
◎体格差、年の差カップル
※てんぱる様の表紙をお借りしました。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
愛する義兄に憎まれています
ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。
義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。
許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。
2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。
ふわっと設定でサクっと終わります。
他サイトにも投稿。
【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢
美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」
かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。
誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。
そこで彼女はある1人の人物と出会う。
彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。
ーー蜂蜜みたい。
これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。
私が一番嫌いな言葉。それは、番です!
水無月あん
恋愛
獣人と人が住む国で、ララベルが一番嫌う言葉、それは番。というのも、大好きな親戚のミナリア姉様が結婚相手の王子に、「番が現れた」という理由で結婚をとりやめられたから。それからというのも、番という言葉が一番嫌いになったララベル。そんなララベルを大切に囲い込むのが幼馴染のルーファス。ルーファスは竜の獣人だけれど、番は現れるのか……?
色々鈍いヒロインと、溺愛する幼馴染のお話です。
猛暑でへろへろのため、とにかく、気分転換したくて書きました。とはいえ、涼しさが得られるお話ではありません💦 暑さがおさまるころに終わる予定のお話です。(すみません、予定がのびてます)
いつもながらご都合主義で、ゆるい設定です。お気軽に読んでくださったら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる