二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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感動

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 「今日はありがとうございました」

 「いえ、こちらこそ朝早くからお邪魔してすいませんでした。いい勉強になりました」

 夕食も済み、子どもたちを全員風呂に入れると時間も時間のため帰るというフレックを見送る。

 「迷惑でなければよかったです。あとこれ、今日のお礼と隊長さんにお土産に持っていって下さい」

 以前渡したこともある醤油で味付けした瓶詰めの食材たちに加え、今回は味噌で味付けしたものもあり、それらを袋にまとめたものを渡す。

 「何から何まですいません。隊長も喜びます」

 申し訳ないと頭を下げながらも嬉しそうに受け取ってくれた。
 
 「……お兄ちゃんかえっちゃうの?」

 いつの間に来たのか帰り支度をしているフレックに気付き双子が走り寄って来た。

 「ええ。また遊びに来るので一緒に遊んでくれますか?」

 「「いいよ!」」

 寂しいとばかりにしょげる2人に、意外にもフレックは膝をつき目線を合わせると笑ってまた来ますと約束してくれた。
 朝の縁との会話を知らない双子にとってフレックは自分たちと遊んでくれる優しいお兄さんという認識なのだろう。
 そのことに間違いはないし、態々2人を傷付けるだろうことを言う必要もないだろうと縁も話そうとは思わなかった。
 だがーー

 「まだ数日はここにいる予定です。なのでーー子どもたちにとっては近づけないでくれると助かります」

 自分の家族に暴言を吐く男を再び連れてくるのは許さないぞと釘を刺しておいた。
 あくまで縁やアレンが許したのはフレックだけであり、アレンに暴言を吐いた男はその対象ではない。
 連れてくればその機会すら無に還すと忠告すれば、フレックも深く頷き双子に笑顔で手を振って帰っていくのだった。

 「ママいぬさんきらい?」

 「ん?好きですよ」

 先程のフレックへの言葉をどう捉えたのか、ママはもしかしたら犬が嫌いなのでは?と勘違いしたらしい。

 「でも時にはお前なんかキライと噛み付いてくる犬さんもいるんですよ。リルの場合はママの言葉を分かってくれましたけど、そうじゃない犬さんに真と愛依が傷付けられたらママは悲しくて泣いちゃいます」

 「「ダメ!」」

 ママ泣かないでと抱きついてきた2人を抱え上げる。

 「だからそんな犬さんは連れて来ないでねと頼んだだけなので2人は気にしなくていいんです」

 さぁもう寝る時間ですよとベッドまで運んでやればフレックとたくさん遊んだおかけでか2人はぐっすりと眠りにつくのだった。

 「どうでした?」

 子どもたちは寝てしまったが、未だ眠気が来ない大人組は2人の寝顔を横目に椅子に腰を下ろーーそうとしてアレンに腰を掴まれ膝の上に乗せられた。
 まるで小さい子のようだと初めの頃は抵抗していたが、彼らにとってこれは愛情表現の1つなのだと知ってからは大人しく受け入れている。
 実際彼らは我が子たちより縁を膝に乗せる頻度の方が高い。
 そんなアレンに今日1日だけだがフレックを見てどうだったか聞いてみた。

 「まあ……悪いやつじゃあないみたいだけど……」

 まだ信用は出来ないということだろう。
 だがそれでいいと縁は笑う。

 「そんな簡単に人を信じられるわけないんですよ。だからそれでいいんです」

 どの世界にも良い人がいれば、悪いことを考える人がいる。
 パッと見ただけでどちらか判断など出来るはずもなく、一見して優しそうに見えても実際は乱暴な人間かもしれない。
 その逆もまた然り。

 「少しずつ、彼の人柄を見てアレンが判断してくれればいいんです。私が言ったからと無理に納得する必要なんてない。私のはきっかけに過ぎないんですから」

 縁は彼をもう一度しっかり見て欲しいとしか言ってない。
 許してほしいではなく、彼のこれからの自分たちへの接し方を見て上げて欲しいと。
 それを見てアレンがやはり許せないと思うならばそれで構わないのだ。

 「信頼を勝ち取るのはそう簡単じゃありません。それこそ人間同士でさえ難しいんです。それを人間と獣人という敵対していた相手に得るのは大変でしょう。でもだからこそ長い目で見て上げて下さい」

 「………分かった」

 初めから特に忌避感を示さなかったランたちとは違い、それが当たり前だと信じ生きてきたフレックとではかなりの差がある。
 だが話しをし、当たり前だと思っていたはずが本当ではなないと理解したフレックはちゃんと謝ってくれた。
 泣いて誤り、愛依の手をとり、2人ために膝をついてくれた。
 だからこそ時間を上げてほしいと頼んだ。
 愛依たちのようには無理でも、まぁ信じてやってもいいと言ってくれただけで十分た。

 「ありがとう。ありがとうございますアレン」

 頷いてくれたアレンに感謝すると、手を伸ばしその広い背に手を回すのだった。

 






 

 

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