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誰の子
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許さない許さない許さない許さない!
こんなヤツ絶対に許さない!
ママを傷付けた。ママを泣かせた。
パパたちを貶した。
お兄ちゃんを否定した。
自分の大切な家族を傷つけた!!
「ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないーーお前はぜったいにゆるさないっ!!」
身体の中で暴れ回る何かに抑えがきかなかった。
燃えるのではというほど身体中が熱く、怒りに視界が赤く染まる。
周りで何か言っているような気がしたが、そんなことはどうでもよかった。
ただ目の前の男を殺さなければという考えしか浮かばなかったのだ。
「ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない……」
氷の刃を出現させると男の頭に狙いをつける。
そんなもの効かないととばかりに弾かれたが、ならば防げないほど増やすまでだ。
普段なら感じる魔力の喪失感も怒りのせいか感じることはなく、むしろ高まる魔力に気持ちを押されているかのようだった。
何が楽しいのか不気味に笑う男に更に怒りが沸く。
なぜこんな男に家族をバカにされなければいけない?
なぜこんな男にママを傷付けられなければいけない?
なぜーーなぜこんな男が自分の父親なのか。
こんな男の血が自分にも少なからず流れているのかと思うと吐き気がする。
逃げられない血の繋がりは自分の存在を否定する。
「お前はぜったいにゆるさない」
動けないよう足を凍らせると地面に縫い付ける。
狙う氷の刃はより鋭く、更には風魔法でより早く、避けることなど許さないと浮かぶ刃を男に叩き込む。
「面白い使い方だ」
笑う男に怒りが増す。
もっと早く、もっと鋭く、もっと多く。
自分の全てでこの男を倒ーーー
「アズっ!」
「っ」
その声に動きが止まった。
「アズ……おいで」
呼んでいる。
誰より大切なその人の声は決して聞き間違えることなんてない。
「……………マ、マ?」
そんなはずないと思いつつも振り返れば、マーガレットの手を借りながらも立つママの姿があった。
あれほどの怪我だ、立っていることさえ辛いだろうにまるで帰るよと迎えに来たかのように微笑み、自分に向かって手を広げている。
「よく頑張りましたね。おいで」
「マーーっ」
全てを包み込んでくれるようなその微笑みに駆け寄ろうとするが、その瞬間全身から力が抜けその場に倒れ込んでしまった。
「アズっ」
魔力の使い過ぎによる反動だと分かったが、力が入らない身体は徐々に冷え震えが走る。
マズいと思いつつもどうすることも出来ず、意識も朦朧としてきた。
「……大丈夫。大丈夫ですからね。もう大丈夫」
薄れゆく意識の中でそう聞こえたかと思えば、温かい何かに包み込まれた。
「ありがとう。頑張ってくれてありがとう」
「マ…マ……」
覚えてる。
それは前に1度感じたことがあるママの温かい魔力。
優しく温かいその魔力はママの存在そのもので、冷たい手足に徐々に熱が戻ってくる。
「大丈夫。アズは私の子です。私の大事な大事な子ども。他の誰でもない私の子です」
そうだ。
自分の親はもうあの男ではない。
自分の家族はここにいる。
力強く逞ましいパパたち。元気で明るい妹たち。頼りになる兄に何より大切なママ。
微かに動く指を動かせば優しく握り返してくれた。
「アズ……ママ、だいすき」
「ええ。私もアズが大好きですよ。守ってくれてありがとうアズ」
何より認めて欲しかった人の言葉に喜ぶとそのまま意識を失うのだった。
「あと少しのところで邪魔が入るとは」
「言ったでしょう?私の子どもに手を出すのは許さないと」
こんなヤツ絶対に許さない!
ママを傷付けた。ママを泣かせた。
パパたちを貶した。
お兄ちゃんを否定した。
自分の大切な家族を傷つけた!!
「ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないーーお前はぜったいにゆるさないっ!!」
身体の中で暴れ回る何かに抑えがきかなかった。
燃えるのではというほど身体中が熱く、怒りに視界が赤く染まる。
周りで何か言っているような気がしたが、そんなことはどうでもよかった。
ただ目の前の男を殺さなければという考えしか浮かばなかったのだ。
「ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない……」
氷の刃を出現させると男の頭に狙いをつける。
そんなもの効かないととばかりに弾かれたが、ならば防げないほど増やすまでだ。
普段なら感じる魔力の喪失感も怒りのせいか感じることはなく、むしろ高まる魔力に気持ちを押されているかのようだった。
何が楽しいのか不気味に笑う男に更に怒りが沸く。
なぜこんな男に家族をバカにされなければいけない?
なぜこんな男にママを傷付けられなければいけない?
なぜーーなぜこんな男が自分の父親なのか。
こんな男の血が自分にも少なからず流れているのかと思うと吐き気がする。
逃げられない血の繋がりは自分の存在を否定する。
「お前はぜったいにゆるさない」
動けないよう足を凍らせると地面に縫い付ける。
狙う氷の刃はより鋭く、更には風魔法でより早く、避けることなど許さないと浮かぶ刃を男に叩き込む。
「面白い使い方だ」
笑う男に怒りが増す。
もっと早く、もっと鋭く、もっと多く。
自分の全てでこの男を倒ーーー
「アズっ!」
「っ」
その声に動きが止まった。
「アズ……おいで」
呼んでいる。
誰より大切なその人の声は決して聞き間違えることなんてない。
「……………マ、マ?」
そんなはずないと思いつつも振り返れば、マーガレットの手を借りながらも立つママの姿があった。
あれほどの怪我だ、立っていることさえ辛いだろうにまるで帰るよと迎えに来たかのように微笑み、自分に向かって手を広げている。
「よく頑張りましたね。おいで」
「マーーっ」
全てを包み込んでくれるようなその微笑みに駆け寄ろうとするが、その瞬間全身から力が抜けその場に倒れ込んでしまった。
「アズっ」
魔力の使い過ぎによる反動だと分かったが、力が入らない身体は徐々に冷え震えが走る。
マズいと思いつつもどうすることも出来ず、意識も朦朧としてきた。
「……大丈夫。大丈夫ですからね。もう大丈夫」
薄れゆく意識の中でそう聞こえたかと思えば、温かい何かに包み込まれた。
「ありがとう。頑張ってくれてありがとう」
「マ…マ……」
覚えてる。
それは前に1度感じたことがあるママの温かい魔力。
優しく温かいその魔力はママの存在そのもので、冷たい手足に徐々に熱が戻ってくる。
「大丈夫。アズは私の子です。私の大事な大事な子ども。他の誰でもない私の子です」
そうだ。
自分の親はもうあの男ではない。
自分の家族はここにいる。
力強く逞ましいパパたち。元気で明るい妹たち。頼りになる兄に何より大切なママ。
微かに動く指を動かせば優しく握り返してくれた。
「アズ……ママ、だいすき」
「ええ。私もアズが大好きですよ。守ってくれてありがとうアズ」
何より認めて欲しかった人の言葉に喜ぶとそのまま意識を失うのだった。
「あと少しのところで邪魔が入るとは」
「言ったでしょう?私の子どもに手を出すのは許さないと」
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