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心配
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翔が生まれてからというもの縁の心臓はかなりの痛みを訴えていた。
ある日は目を離した隙に双子と木登りをし、下りようとして飛んだはいいが上手く飛べずかなりの高さから落ちそうになっていた。
またある日にはルーが飛び方を教えたいと背中に乗せ飛び立ったところ足を滑らせ上空から落ちてきた。
いくらドラゴンだからと分かっていても落ちてくる我が子の姿に何度心臓が止まりそうになったか分からない。
「………大丈夫か?」
心配そうに様子を窺ってくるロンに頷きながらも顔を上げることが出来ず子どものようだと分かってはいてもジークに抱きつき離れられないでいた。
「悪いが暫く翔を頼む。ちょっと縁と出てくる」
そう言い縁を抱き上げたジークにより家を離れ森の中を散策するのであった。
「少し休憩な。ここ好きだっただろ」
以前何度も連れてきてもらった花畑。
何度も来てはいるが来るのは決まってジークとであり、他には誰もいないと分かり全身から力が抜けた。
「……………ジーク」
「ん?」
「……ジーク………ジーク」
「どうした?」
自分でも何故彼の名を呼んでいるのか分からなかったが、他に何も言わない縁にジークは怒ることもなく優しく抱き寄せ背を撫でてくれる。
自分はいつからこうも弱くなってしまったのだろうか。
繋を産む以前にもこうしてジークに甘え泣いたがあれから少しは強くなったと思っていたのだが。
「ごめんなさい」
「何がだ?今のこの状況を言ってんなら俺には得でしかないぞ」
弱い自分も、そのせいでジークに気を使わせたのも申し訳なく謝るがそんなことないと優しく包み込んでくれる。
「前にも言ったが俺は、俺たちは番なんだ。甘えてくれていいし、そんなことで謝る必要なんてねぇ」
ジークの言葉が嬉しい。
「子育てって難しいよな。ルーは立派だって言ってたが俺だって上手く出来てんのかなんて今でも分かんねえよ。それを男で人間の縁が獣人とドラゴンなんて育て方知ってる方がおかしいんだよ。上手く出来てんのか、上手く出来ねぇって悩んだって当たり前だろ」
「……………」
当たり前、か。
確かに上手く出来ているかなんて縁にも分からない。
繋や真たちはいい子に育ってくれていると思うが、それも縁から見ただけのものであり皆が皆そう思うかは分からない。
繋たちを上手く育てられているのかも分からず、ドラゴンの育て方も知らず育てるのはかなり厳しいものがある。
だが産んだからには精一杯育てたいとも思う。
立派に育てたいという思いと、けれど上手く出来ないという苦しさ、少しでも怪我をしてほしくないという親心。
何もかもが上手く出来ない自分に腹が立つ。
「翔はな………下手に動けるだけ無茶するよな」
卵の中で育ち出てきた翔は、ぎこちないながらも産まれてすぐに歩けも飛べもした。
だからこそ楽でもあるし難しくもある。
まだ人型もとれないため言葉を発せず意思疎通をとることも難しい。
繋たちには出来たことが翔には難しく、だからと閉じ込めておくことも出来ない。
ドラゴンは丈夫だからと何度言われても落ちてくる我が子に手を伸ばさずにはいられず、恐怖で心臓が痛くなる。
「ルーに我が子を信じなさいと言いながら私自身が信じられてないんです」
「そりゃ母親なんだから当たり前だろ。それにそれは信じてないんじゃなくて心配してるだけだ。親として子を心配すんなんて当たり前だ」
そうだろうか?
ルーやロンたちのようにドラゴンなのだから大丈夫だと見守るのが正しいのではないか?
手を出すのは翔の成長を妨げるものではないか?
疑問は尽きず、日々どうすることが正しいのかと不安にしかならない。
「縁だって俺たちが誰かと戦おうとしたら怪我しないか心配してくれんだろ?それと一緒だ」
目の前で怪我をするかもしれない我が子を放っておく方がおかしいとジークは言う。
「……私は…」
「不安があるなら言えって言っただろ。縁が何も言わないで落ち込んでる方が俺たちは怖いんだ」
あの強く頼り甲斐があるジークが怖いという。
驚き顔を上げればどこか寂しそうな目をしたジークが縁を見下ろしていた。
「………ごめんなさい」
こんな表情をさせているのはきっと自分だ。
「番は自分の半身なんだよ。それこそなくなりゃ生きていけねぇってくらいにな。だから言ってくれ。どんな下らないことでも、楽しいことでも。真たちも大事だが俺には縁が何より大事なんだ」
1人で考え完結するのはもはや癖のようなものだった。
分からないことは分からないと素直に聞くことは出来るし、出来ないことは出来る人の手を借りられるが、感情を抑え込み1人納得する癖は中々治らない。
セインにもアレンにも言われた。
更にはジークにまで言われ自分は何と駄目人間だろうと泣きたくなる。
「ごめんなさい。悲しませてごめんなさい」
「謝らなくていい。けど頼むから俺たちのことを忘れるな。俺は、俺たちは縁の半身なんだ。楽しいことも辛いことも分かち合っていきたいんだよ」
「………はい。ごめんなさい。ありがとう。私を愛してくれてありがとうジーク。私もジークを愛してます」
心からの感謝と愛を自身の半身に贈るのだった。
ある日は目を離した隙に双子と木登りをし、下りようとして飛んだはいいが上手く飛べずかなりの高さから落ちそうになっていた。
またある日にはルーが飛び方を教えたいと背中に乗せ飛び立ったところ足を滑らせ上空から落ちてきた。
いくらドラゴンだからと分かっていても落ちてくる我が子の姿に何度心臓が止まりそうになったか分からない。
「………大丈夫か?」
心配そうに様子を窺ってくるロンに頷きながらも顔を上げることが出来ず子どものようだと分かってはいてもジークに抱きつき離れられないでいた。
「悪いが暫く翔を頼む。ちょっと縁と出てくる」
そう言い縁を抱き上げたジークにより家を離れ森の中を散策するのであった。
「少し休憩な。ここ好きだっただろ」
以前何度も連れてきてもらった花畑。
何度も来てはいるが来るのは決まってジークとであり、他には誰もいないと分かり全身から力が抜けた。
「……………ジーク」
「ん?」
「……ジーク………ジーク」
「どうした?」
自分でも何故彼の名を呼んでいるのか分からなかったが、他に何も言わない縁にジークは怒ることもなく優しく抱き寄せ背を撫でてくれる。
自分はいつからこうも弱くなってしまったのだろうか。
繋を産む以前にもこうしてジークに甘え泣いたがあれから少しは強くなったと思っていたのだが。
「ごめんなさい」
「何がだ?今のこの状況を言ってんなら俺には得でしかないぞ」
弱い自分も、そのせいでジークに気を使わせたのも申し訳なく謝るがそんなことないと優しく包み込んでくれる。
「前にも言ったが俺は、俺たちは番なんだ。甘えてくれていいし、そんなことで謝る必要なんてねぇ」
ジークの言葉が嬉しい。
「子育てって難しいよな。ルーは立派だって言ってたが俺だって上手く出来てんのかなんて今でも分かんねえよ。それを男で人間の縁が獣人とドラゴンなんて育て方知ってる方がおかしいんだよ。上手く出来てんのか、上手く出来ねぇって悩んだって当たり前だろ」
「……………」
当たり前、か。
確かに上手く出来ているかなんて縁にも分からない。
繋や真たちはいい子に育ってくれていると思うが、それも縁から見ただけのものであり皆が皆そう思うかは分からない。
繋たちを上手く育てられているのかも分からず、ドラゴンの育て方も知らず育てるのはかなり厳しいものがある。
だが産んだからには精一杯育てたいとも思う。
立派に育てたいという思いと、けれど上手く出来ないという苦しさ、少しでも怪我をしてほしくないという親心。
何もかもが上手く出来ない自分に腹が立つ。
「翔はな………下手に動けるだけ無茶するよな」
卵の中で育ち出てきた翔は、ぎこちないながらも産まれてすぐに歩けも飛べもした。
だからこそ楽でもあるし難しくもある。
まだ人型もとれないため言葉を発せず意思疎通をとることも難しい。
繋たちには出来たことが翔には難しく、だからと閉じ込めておくことも出来ない。
ドラゴンは丈夫だからと何度言われても落ちてくる我が子に手を伸ばさずにはいられず、恐怖で心臓が痛くなる。
「ルーに我が子を信じなさいと言いながら私自身が信じられてないんです」
「そりゃ母親なんだから当たり前だろ。それにそれは信じてないんじゃなくて心配してるだけだ。親として子を心配すんなんて当たり前だ」
そうだろうか?
ルーやロンたちのようにドラゴンなのだから大丈夫だと見守るのが正しいのではないか?
手を出すのは翔の成長を妨げるものではないか?
疑問は尽きず、日々どうすることが正しいのかと不安にしかならない。
「縁だって俺たちが誰かと戦おうとしたら怪我しないか心配してくれんだろ?それと一緒だ」
目の前で怪我をするかもしれない我が子を放っておく方がおかしいとジークは言う。
「……私は…」
「不安があるなら言えって言っただろ。縁が何も言わないで落ち込んでる方が俺たちは怖いんだ」
あの強く頼り甲斐があるジークが怖いという。
驚き顔を上げればどこか寂しそうな目をしたジークが縁を見下ろしていた。
「………ごめんなさい」
こんな表情をさせているのはきっと自分だ。
「番は自分の半身なんだよ。それこそなくなりゃ生きていけねぇってくらいにな。だから言ってくれ。どんな下らないことでも、楽しいことでも。真たちも大事だが俺には縁が何より大事なんだ」
1人で考え完結するのはもはや癖のようなものだった。
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セインにもアレンにも言われた。
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「ごめんなさい。悲しませてごめんなさい」
「謝らなくていい。けど頼むから俺たちのことを忘れるな。俺は、俺たちは縁の半身なんだ。楽しいことも辛いことも分かち合っていきたいんだよ」
「………はい。ごめんなさい。ありがとう。私を愛してくれてありがとうジーク。私もジークを愛してます」
心からの感謝と愛を自身の半身に贈るのだった。
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