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「ショウユってこれだけ?」
「あー、ククルさんに一瓶渡してしまいましたからね。出来上がるまでまだ時間がかかりそうですし……またもらいに行きますか。今度はみんなで」
というわけで再び訪れたダンジョン。
今回は家族総出で来ているため安心感が半端ない。
スノーは大き過ぎてダンジョン内では身動きがとれなくなるためお留守番してもらっている。
その内小さくなる方法がないかリルに相談してみよう。
「アズ、繋、真、愛依はパパたちから離れちゃダメですよ」
「「「「はーい」」」」
「エニシもね」
「ん?」
いいお返事と頷いていれば横からエルに言われ何故?と振り向く。
「もう忘れたの?また1人水の中に落ちたらどうすんの」
「?、みんなが迎えに来てくれるでしょ?」
きっとすぐ見つけてくれるに決まっている。
「そうだけど……そうじゃなくて…」
エルが何やら言おうとしていたが、結局何も言わず黙り込んでしまったため問題なしと皆でズンズン進んでいく。
ジークたちだけでも強いのだが、オレもやる!と敵に突っ込んでいくエルやリルに負けるのではという考えが全く浮かばない。
アレンたちの勇姿も眺めながら倒したモンスターたちはロンに解体してもらい鞄に詰め込んでいく。
無事醤油も宝箱から手に入れることも出来たため一安心だ。
ならついでにと以前とった魚も獲って行こうと言えばリルがご機嫌で案内してくれた。
道々現れた宝箱も開けていったのだが……
「………なんで鞄なんですかね?」
まさかの鞄が出てきたことに皆が首を傾げた。
肩から下げるには丁度いいが、物を詰めるには少々底が浅い気がする。
既に便利な鞄を持っていたこともあり、子どもたちにでも持たせるかととりあえずしまっておくことにした。
次こそ山葵をと気を取り直して更に宝箱を開けてみるがーー
「………タオル」
ちがう。
肌触りがいいふわふわのタオルは嬉しいが、望んでいたのはこれではないと肩を落とす。
「ハズレだな。まぁ、そんな時もあんだろ」
次に期待すりゃいいとジークは言ってくれたが、確かに今までが幸運過ぎたのかもしれない。
以前フレックも欲しいものが入っているとは限らないと言っていたためこういうことなのだろう。
「だからってタオルとか……粗品みたい」
残念賞みたいだなと落ち込みながらも有り難く鞄にしまうと次に向かうが、結局のところそれ以降縁が当たりと思えるものに出会うことは出来ないのだった。
「またタオルに挙句膝掛けとか私は何を心配されているんでしょう?」
もっと清潔にしろ?身体を冷やすな?もう宝箱が何を考えてこれらを出しているのか分からない。
どれも綺麗で素材としては良いものだというのは分かるが宝箱から出てきてほしいものでは決してない。
今回は運が良くなかったのかもしれないと諦めると魚を獲りに向かうのだった。
次こそ山葵を手に入れてみせる!
「ママ!おさかなさん!」
「そうですね。リルと一緒につかまえておいで」
魚だ魚だと喜ぶ真に、ならばと張り切るリルと捕まえておいでと言えば愛依と一緒にバシャバシャと楽しそうに水の中に入っていくのだった。
「セイン」
「なんだ?」
来い来いと手招くとセインが腰掛けた膝に縁も乗る。
獣人である彼らには問題ないかもしれないが縁には少々地下は寒かった。
セインに温めてもらいつつ、次々魚を捕獲していく真たちを見守る。
「あの魚はどうしましょうねぇ」
「干物はこの間散々作ったからな」
山葵はないが刺身にしてみてもいいだろうか?
子どもたちにしても年齢的にまだ山葵は辛くて食べられないだろう。
お寿司は難しいかもしれないが、ちらし寿司くらいならいけるかもしれない。
色がすごいことになりそうだが。
「フライでもいいですかね。そうなるとタルタルソースか…マヨネーズが欲しくなりますね。まぁ塩でもいいですかね」
「たるたる?まよねーず?」
卵と油で出来ているのは知っているが、分離しないように混ぜるのが大変だと聞いたような覚えがあったため上手く出来るか自信がなかった。
どうしようかと考えながらセインの温かな体温が気持ち良く眠気が襲ってくる。
「眠いか?まだかかりそうだからな、少し寝たらどうだ?」
子どもたちが頑張ってくれているのだからと我慢してはみたが、襲いくる眠気に打ち勝てそうになかった。
ならばと申し訳ないが少し寝かせてもらおうと、子どもたちのためにタオルだけでも出しておこうと鞄を漁る。
いくら体温が高くとも濡れたままでは風邪をひいてしまう。
「ふふ、もしかしてさっきのタオルはこのためのものだったり、し、て………」
「縁?」
変に言葉が途切れた縁にセインがどうしたのかと見てくるがそれに意識がとられ返事が出来なかった。
考え過ぎかもしれないが、もしかしたらと先程宝箱から出てきたばかりの膝掛けも鞄から取り出す。
「セイン、ロンを呼んできてもられますか?」
確認したいことがあると言えば首を捻りながらも縁が言うまま呼びにいってくれるのだった。
「あー、ククルさんに一瓶渡してしまいましたからね。出来上がるまでまだ時間がかかりそうですし……またもらいに行きますか。今度はみんなで」
というわけで再び訪れたダンジョン。
今回は家族総出で来ているため安心感が半端ない。
スノーは大き過ぎてダンジョン内では身動きがとれなくなるためお留守番してもらっている。
その内小さくなる方法がないかリルに相談してみよう。
「アズ、繋、真、愛依はパパたちから離れちゃダメですよ」
「「「「はーい」」」」
「エニシもね」
「ん?」
いいお返事と頷いていれば横からエルに言われ何故?と振り向く。
「もう忘れたの?また1人水の中に落ちたらどうすんの」
「?、みんなが迎えに来てくれるでしょ?」
きっとすぐ見つけてくれるに決まっている。
「そうだけど……そうじゃなくて…」
エルが何やら言おうとしていたが、結局何も言わず黙り込んでしまったため問題なしと皆でズンズン進んでいく。
ジークたちだけでも強いのだが、オレもやる!と敵に突っ込んでいくエルやリルに負けるのではという考えが全く浮かばない。
アレンたちの勇姿も眺めながら倒したモンスターたちはロンに解体してもらい鞄に詰め込んでいく。
無事醤油も宝箱から手に入れることも出来たため一安心だ。
ならついでにと以前とった魚も獲って行こうと言えばリルがご機嫌で案内してくれた。
道々現れた宝箱も開けていったのだが……
「………なんで鞄なんですかね?」
まさかの鞄が出てきたことに皆が首を傾げた。
肩から下げるには丁度いいが、物を詰めるには少々底が浅い気がする。
既に便利な鞄を持っていたこともあり、子どもたちにでも持たせるかととりあえずしまっておくことにした。
次こそ山葵をと気を取り直して更に宝箱を開けてみるがーー
「………タオル」
ちがう。
肌触りがいいふわふわのタオルは嬉しいが、望んでいたのはこれではないと肩を落とす。
「ハズレだな。まぁ、そんな時もあんだろ」
次に期待すりゃいいとジークは言ってくれたが、確かに今までが幸運過ぎたのかもしれない。
以前フレックも欲しいものが入っているとは限らないと言っていたためこういうことなのだろう。
「だからってタオルとか……粗品みたい」
残念賞みたいだなと落ち込みながらも有り難く鞄にしまうと次に向かうが、結局のところそれ以降縁が当たりと思えるものに出会うことは出来ないのだった。
「またタオルに挙句膝掛けとか私は何を心配されているんでしょう?」
もっと清潔にしろ?身体を冷やすな?もう宝箱が何を考えてこれらを出しているのか分からない。
どれも綺麗で素材としては良いものだというのは分かるが宝箱から出てきてほしいものでは決してない。
今回は運が良くなかったのかもしれないと諦めると魚を獲りに向かうのだった。
次こそ山葵を手に入れてみせる!
「ママ!おさかなさん!」
「そうですね。リルと一緒につかまえておいで」
魚だ魚だと喜ぶ真に、ならばと張り切るリルと捕まえておいでと言えば愛依と一緒にバシャバシャと楽しそうに水の中に入っていくのだった。
「セイン」
「なんだ?」
来い来いと手招くとセインが腰掛けた膝に縁も乗る。
獣人である彼らには問題ないかもしれないが縁には少々地下は寒かった。
セインに温めてもらいつつ、次々魚を捕獲していく真たちを見守る。
「あの魚はどうしましょうねぇ」
「干物はこの間散々作ったからな」
山葵はないが刺身にしてみてもいいだろうか?
子どもたちにしても年齢的にまだ山葵は辛くて食べられないだろう。
お寿司は難しいかもしれないが、ちらし寿司くらいならいけるかもしれない。
色がすごいことになりそうだが。
「フライでもいいですかね。そうなるとタルタルソースか…マヨネーズが欲しくなりますね。まぁ塩でもいいですかね」
「たるたる?まよねーず?」
卵と油で出来ているのは知っているが、分離しないように混ぜるのが大変だと聞いたような覚えがあったため上手く出来るか自信がなかった。
どうしようかと考えながらセインの温かな体温が気持ち良く眠気が襲ってくる。
「眠いか?まだかかりそうだからな、少し寝たらどうだ?」
子どもたちが頑張ってくれているのだからと我慢してはみたが、襲いくる眠気に打ち勝てそうになかった。
ならばと申し訳ないが少し寝かせてもらおうと、子どもたちのためにタオルだけでも出しておこうと鞄を漁る。
いくら体温が高くとも濡れたままでは風邪をひいてしまう。
「ふふ、もしかしてさっきのタオルはこのためのものだったり、し、て………」
「縁?」
変に言葉が途切れた縁にセインがどうしたのかと見てくるがそれに意識がとられ返事が出来なかった。
考え過ぎかもしれないが、もしかしたらと先程宝箱から出てきたばかりの膝掛けも鞄から取り出す。
「セイン、ロンを呼んできてもられますか?」
確認したいことがあると言えば首を捻りながらも縁が言うまま呼びにいってくれるのだった。
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