二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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出発!

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 「では言ってきますね。明後日には帰ってきますのでそれまで4人のことお願いします」

 「「「ゔぇーーーん、やだー」」」

 セインたちに抱えられた繋たちがママと離れるのは嫌だと暴れまくっている。
 唯一アズだけが我慢するように俯き黙ってジークの足に抱きついている。

 「すぐ帰ってきますよ。寂しくなったらアズお兄ちゃんに頼めばお話しも出来ますから。ね?アズ?」

 「…………うん」

 そろそろいいだろうと先日アズにも通信出来る魔道具を買い渡してある。
 エルも一緒に行くので連絡はアズが頼りだ。

 「帰ってきたらまたみんなで海にでも遊びに行きましょうか。この前言っていた貝の取り方私にも教えて下さいね」

 「うん。アズ待ってる」

 約束だと言えば漸く笑ってくれた。

 「繋のためにも味噌に合うだろうものを探してきますね」

 「やだー。ママがいいー」

 あれま。繋の大好きな味噌で釣ってみたのだがダメだったらしい。
 ぐでんと背を反らし泣く繋にセインも苦笑いしかない。

 「大好きな繋のために美味しいお鍋の材料採ってきますから。繋に美味しいって喜んでほしいんです。繋のことが大好きだから」

 だから待っていてとお願いすれば泣きながらも何とか頷いてくれるのだった。

 「真と愛依は……うーん、そうですね……リルの世話をお願いしますね」

 これといって取り引き材料がなかった。

 「なにっ!?我を置いていく気か?」

 え?一緒に行く気だったのか?
 見れば子犬サイズのリルが足下にちょこんとお座りしていた。
 どうやら行く気満々だったらしい。

 「………一緒に行きたいんですか?」

 「うむ」

 どうしよう。
 縁的には連れて行くのは何ら問題はないのだが、フレックに確認してない上、双子へ待っていてもらう理由がなくなってしまう。

 「連れていってやれ」

 「ジーク?」

 「エルだけでも大丈夫だと思うが念のためな。俺たちには無理だからな」

 戦力が多くても無駄にはならないだろうと言われたが、そんなに危ない所なのだろうかと心配になってきた。

 「じゃあリルも一緒に行きましょうか。真と愛依はパパたちと仲良く待っていて下さいね」

 「「やだっ!」」

 ですよねー。
 
 「こら、我儘言ってると帰ってきてくれなくなるぞ」

 「「やーっ!」」

 それはイヤだと泣き喚く2人に笑いつつ、ギュッと抱きしめてやる。

 「必ず帰ってきますよ。真と愛依のことが大好きですからね。そうですね…ママが帰ってくるまでに木登り出来るようになっておいて下さい。あと少しだったでしょ?出来ないようならまたママも一緒に木登りしちゃいますからね」

 「「ダメっ」」

 ママとして、大人としてどうなんだという脅し文句だが、2人にはどうやら効いたようで頑張ると唸っている。
 こちらでもやはり縁の木登り挑戦は以前に失敗していた。
 落ちそうになった所をセインに助けられたのだが着地で足を捻って痛め双子に泣かれた。
 それからは一緒に走るのも木登りも拒否されている。

 「楽しみにしてますね。では行ってきます」

 「気をつけてな」
 「怪我はするなよ」
 「ちゃんと周りを見て歩けよ」
 「ねぇ何でオレは行っちゃダメなーー痛っ!」
 
 何をしでかすか分からないルーはダメです。
 みんなに見送られフレックたちとの待ち合わせ場所まで行けば、笑顔で出迎えられた。

 「よろしくお願いします」

 「こちらこそ。で、その…犬は?」

 縁が抱えていたリルを不思議そうに見るフレックに、一緒に連れていっていいか確認すれば意外にも快く了承された。

 「犬の嗅覚はバカに出来ませんからね。ラックもそうですが、モンスターなどが出る前に気付くことが出来ればと期待してます。ただやはり危ないことには変わりないので縁さんの側から離さないようにして下さいね」

 「………モンスター」

 流石の縁もモンスターは分かったが、縁の中のモンスターとは緑色をした人型ぐらいしか思い浮かばなかったのだった。

 「そのだんじょんという所までは歩いて行くんですか?」

 「いえ。それなりに距離がありますので今回は馬を使おうかと思いますけど……乗ったことは?」

 「昔1、2回程度なら」

 見栄を張っても仕方ないため正直に不安なことを伝えれば笑って頷いてくれた。

 「大丈夫です。なら私の馬にでもーー」

 「オレがエニシと乗るから問題ないよ」

 「エル馬乗れたんですね」

 すごいと驚けば、余裕と胸を張って言われた。
 リルもいるためその方がいいかとエルと乗ることを伝えれば、すぐさま用意してくれた。

 「乗れはするんでしょ?」

 「はい。ただ長時間乗った経験がないので大人しくエルに捕まっておくことにします」

 同行する兵士たちにも挨拶を済ませ馬に乗るが、縁はエルに掴まっているためリルをどうしようかと考えていればーー

 「うむ、我はここでよいぞ」

 「……危なくないですか?」

 ピョンと飛んだかと思えば器用にも馬の頭の上に着地していた。
 それは馬が嫌がるのではないかと思ったが、意外にも何も言わず頭を振ることもなかった。

 「賢いですね」

 「ソウダネ(可哀想なほど震えてるけど)」

 そう馬に接することが少なかった縁は小刻みに震える馬に気付いてやることが出来ないのであった。
 
 「(そらいつ殺されるか分かんないだから震えもするよね)」

 馬はちゃんとリル(フェンリル)に気付いているのだった。

 
  



 

 
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