二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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何者なんだ?

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 「あ、起きました?なら丁度いいので一緒に休憩にしましょう。ご飯を用意しておくので顔でも洗ってきて下さいね」

 そう言われ部屋を追い出され、言われた通り顔を洗い戻ってくればいつの間にか机の上に食事が用意されていた。

 「おかえりなさい。一緒に食べましょ」

 レオナルドの分だと渡されたのは知ってはいるが食べたことはないお握りというものと、なにやら泥水のような茶色いみそ汁というスープのようなもの。
 美味しそうに食べる王子とジジイに大丈夫そうだと口をつければ美味しさに目を見開いた。

 「美味いな」

 「お口にあったならよかったです。おかわりもあるので食べれるようならどうぞ」

 少しは寝てすっきりしたせいか急激に動き出した腹に出されるまま詰め込んでいく。
 
 「忙しいのは分かりますがご飯はちゃんと食べて下さいね。お腹が空いた身体も、寝てない頭も仕事をするには効率が悪いですから」

 「分かった。これから気をつけよう」

 「儂の時とは随分違うのぅ」

 当たり前だクソジジイ。

 「どうせ自分で体調管理もまともにできんのかとでも言ったんでしょ?心配なら心配とはっきり言ってあげてはどうですか?」

 「「………」」

 大人気ないというエニシに今更そんなこと言えないというアルバトロスと、そんなこと言われてもどう反応すればいいか分からないというレオナルド。
 黙り込む2人に溜息をつくとそっとみそ汁のおかわりを渡されるのであった。

 「この2人を叱るとはさすが母上」

 ボソリと呟いた王子の声を顔を逸らし聞こえてないフリをするのであった。

 「ほらほらしっかり食べたらお仕事ですよ。エリックも言いたいことがあるようなので聞いて上げて下さい」

 久しぶりに満たされた腹に満足気に頷くと差し出された紙に目を通していく。

 「この予算報告書ですが明らかに数字がおかしいものがありました。他の部署より明らかに多い上何のためか不明瞭過ぎる。母上が上がってきたものを改めて計算してくれましたがミスとは言えないほどのものが多数」

 「………よく気がついたな」

 「チラッと見ただけですが計算におかしなところがあったので直しておいた方がいいかなって思ってエリックに確認してもらったんです」

 普段そこまで細かく確認しないため気がつかなかった。
 見ればここ数年少しずつだが額が上がっており、7年ほど前と比べてみれば明らかに額が違う。

 「気付かれないよう少しずつ増やしてきたわけか」

 細かなところまで確認していなかったレオナルドの落ち度だ。

 「すまなかった。気付いてくれて感謝する」

 「これまで貴方が育ててくれた結果ですよ。こちらこそありがとうございます」

 「あの、私からも…いつもありがとうございます」

 誤っているはずが逆に感謝されてしまいどうしていいか分からない。
 王子のことはエニシに頼まれたこともあるが将来のことを考えていたこともあり、やる気があるならと喜んですらいたため感謝されるようなことではない。
 エリックにしても昔の我儘王子が嘘のように真面目になり、厳しく接することが多いレオナルドに文句も言わずついてくる。

 「……私は何もしていない」

 「褒められとるんじゃから素直に喜んでおけばいいじゃろが。ほんに昔から素直じゃないのぅ」

 「黙れジジイ」

 「私からすれば2人とも似た者同士ですよ」

 「「………」」

 そんなことない。
 
 「時には無理も必要ですがやり過ぎないことも大切ですよ。出来ることは少ないですが言ってくれれば私も手伝いますから。エリックもいますし、本当は心配してくれてるアル爺もいるんですからちゃんと言って下さい」

 初めてのことにこういう時どう返していいか分からない。
 打算もなく本心から心配してくれているのが分かり、だからといってレオナルドの性格から素直に甘えるということが出来ない。

 「せっかく出来た友人を少しは頼って下さい。ーーお礼は少しの給金でいいですから」

 「台無しだ」

 先程までの感動を返してほしい。

 「お金は大事ですよ?」

 笑っていることから冗談ということが分かり、戸惑うレオナルドを気遣ってくれたのだろう。

 「なら一緒にお茶でもいいですよ。あのお忙しい宰相様が淹れてくれたお茶なんてかなりの贅沢でしょ?」

 「それは高くつくな。その分しっかり働いてもらわなくては」

 こうして気が許せる人間と話したのはいつぶりだろうか。
 ここ数年友人と呼べる人間も出来ず、宰相という役職から周りから煙たがられるか媚び諂う者しか相手にしてこなかったため心が安らぐ。
 歳を聞けば下手をすれば自分の子ほどの差があるはずが話してみれば同じかもしくは歳上なのでは感じてしまうことがある。
 冗談を言い合い、楽しく一緒にお茶を飲むことが出来る友人に出会えたことにレオナルドは感謝するのであった。
 

 
 


 

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