二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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ドッキリ成功

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 なんともあっさりしたものだった。
 深夜におかしいなと目が覚めた縁はそのまま陣痛に入ったかと思えば早朝にはもう産まれていた。
 ただ予想外だったのが、子が1人ではなく2人だったことだ。
 1人産んで安心していたところに再びきた痛みに初めは慌てたが、双子持ちの奥様がなんともあっさり「こりゃもう1人いるわ」との一言により手を繋いでいたジークと2人固まったものだ。
 え?…………え?
 真っ白になる頭に、しかし出せとばかりに襲う痛みに我に返り言われるがまま力めば待ってましたとばかりに2人目が産まれた。

 「…………そら腹も普通より膨らむわな」

 「双子ですからね。可愛いですけど」

 「驚いたな。可愛いが」

 「「……………」」

 あまりにも短時間に色々起こり過ぎて縁もジークも無言になった。
 オギャーオギャーと元気に泣く子どもたちは2人共に可愛い熊耳があり、まさか縁たちの希望を聞いていたのではとばかりに男女1人ずつだった。
 顔立ちは縁似の気もするが所々ジークにも似ており、その髪色はジークと同じこげ茶色だったりする。
 
 「ですが待望の男の子と女の子ですよ。可愛い耳もあるので私は大満足です」

 「まぁな。けど一気に不安も増したな」

 双子は喜びも2倍だが、苦労も2倍である。
 だがそれも我が子だと思えば些細なことだろう。
 泣き続ける2人を抱えると求めるままミルクをやるのだった。





 「お爺ちゃん?こんな所で何ーー」

 「エニシくーーーーーーん!!」

 ぐぇっ!
 ジンの熱い抱擁に圧死されかけた。
 久しぶりに来た冒険者ギルドに挨拶がてら寄ってみたのだが、入り口に何故か仁王立ちしていたジンに声をかけた途端これである。

 「死にたくないので離して下さい」

 「ご、ごめん。嬉しくてつい」

 ついで殺されたらたまったものではない。
 しかし連絡もなく長いこと来ていなかった縁も悪いので今回は許すことにした。

 「今日はお婆ちゃんはいますか?」

 「いるよ!さぁさぁ一緒にお茶にしよう」

 逃がさないとばかりに手を掴まれマーガレットの部屋まで連れていかれる。
 挨拶に来たのだから逃げる気はないのだが。

 「まぁーたアンタは叫んで何やっーーっ!?」

 「あ、お久しぶりです。お元気でした、かっ!?」

 部屋に入り挨拶した途端、今度はマーガレットによって熱い抱擁を受けた。
 
 「何がお久しぶりだい!長いこと来ないからどれだけ心配したか。あぁ、もう無事で良かったよ」

 良かった良かったと頭を撫でてくるマーガレットに苦笑いする。

 「リックには伝えておいたと思うんですが……もしかして聞いてませんでした?」

 「「いや、聞いた」」

 ならば何故こうも心配されているのだろうか?

 「アンタねぇ、いくら話しを聞いてたって言っても実際に顔見ないことには安心できないんだよ。それに話しを聞いたのも本当に最近なんだよ。そりゃ心配にもなるさ」

 どうやらリックも最近はお城で忙しくしているらしい。
 そのためギルドに来ることもかなり減ったらしく、最近になって漸く顔を出したところを捕まえて聞き出したらしい。
 なんか………ごめんなさいリック。さぞ恐ろしかっただろう。

 「すいませんでした。様子を見てたらあっという間にお腹が大きくなってしまって」

 「初めてのことなら仕方ないさ。そうだ、私らも魔道具を買っておいたから今度からまた長く来ないことがあればちゃんと連絡しな。他にも何かあったらすぐ!すぐに連絡するんだよ」

 「はい」

 縁のために買ってくれたのだろう。
 自分のためだけに買わせてしまったのは申し訳ないが、その気持ちがとても嬉しい。

 「じゃあ紹介しますね。今回は双子でした。男がシン、女が愛依アイです。可愛いでしょう?」

 自身が抱えていたシンと、エルに任せていた愛依アイを見せればマーガレットたちは驚いたように口を開けていた。

 「ア……アンタ、そんな……双子だなんて…大変だっただろう?」

 「そうでもないですよ。つわりはかなり辛かったですけど、それ以外は繋を産んだ時より全然楽でした」

 痛みがあることに変わりはないが、期間も陣痛から出産までの時間も繋を産んだ時に比べ短く楽だった。

 「もし嫌でなければ抱っこしてあげて下さい」

 いくら縁を可愛いがってくれているとはいえ、双子は獣人である。
 もし嫌ならそれでも構わないと言えば、しかしマーガレットたちは嬉しそうに2人に手を伸ばしてくれた。

 「可愛いねぇ。繋より随分小さいんじゃないかい?」

 「そうだね。耳もピクピクしていてとても可愛いよ」

 ある程度育ってから産まれた繋に比べ、獣人である双子は育ちきる前に産まれるためかなり小さい。
 人間ならば未熟児と言われるだろう大きさにマーガレットたちも驚いていたが、その可愛いさにメロメロだった。

 「今日は連れて来てませんが繋も大きくなりましたよ。掴まり立ちも出来るようになって、少しですが話すことも出来るようになったので今度連れてきますね」

 それは楽しみだと微笑むマーガレットに来て良かったと縁も笑うのだった。
  

 
 
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