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おじいちゃんは頼もしい
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「エニシくん」
「はい?」
未だ兄妹ケンカが止まない中、小声ではあったがジンに呼ばれ手招きされるまま近寄っていけばガシッと腕を掴まれた。
いつも縁がいれば喜び話しかけてくることが多いジンだが、あまり縁に触れてくることはなかったためジンに腕を掴まれ驚いた。
「長引くようだから君達はあちらでお茶でもしてなさい」
「え?いえ、私たちは帰りーー」
「してなさい」
「……はい」
有無を言わさず執務室に続く部屋に向かうよう背を押され、驚きながらもエルと2人大人しく従った。
「どうしたんですかね?ジンさん」
「エニシが帰っちゃうと思って焦ったんじゃない?」
「は?」
どういう意味だろう?
「帰っちゃダメなんですか?」
「……マジか」
不思議そうに訊ねる縁に、エルが信じられないとばかりに呆れたように見てくる。
帰ってはダメだと言うことはこれは監禁!?
「帰ったらもう2度とここには来ない気だったでしょ?」
「?、はい」
先程王女様にそう言われたし、縁もそれに頷いたのだ。
ならばもう来ることはないと頷いたのだが、そんな縁の反応にエルが疲れたとばかりに大きな溜め息をつく。
「エニシはそれでよくてもあの2人は…いや3人か。あの3人は納得できないんだよ。だからそのために話し合ってるし、うっかりエニシを帰そうものならもう来ないだろうって分かってるからジンさんも止めたんでしょ」
「そうなんですか。随分気を遣わせてしまったようですね。別に私たちがいなくなったぐらいでそこまで騒ぐようなことでもないと思いますけど」
皆には良くしてもらってはいるが、まだ冒険者になって間もない縁がいなくなったところでギルドに何か問題があるように思えず首を傾げる。
「あんだけ気に入れられてたじゃん」
それは分かっているし自覚もある。
「でも2人だって元冒険者ですよ?突然の別れだって今までいくらでも経験してきたでしょう?」
ならばそこまで重要視する必要はないと思う縁だった。
「そりゃそうだろうけどさ。けどその理由があの女の意味不明なワガママなせいだってなら納得できるわけないじゃん。エニシは何も言い返さないし」
つまり素直に従おうとした縁が気に食わなかったということだろう。
「それだけ怒ってくれるだけで十分ですよ。それにマーガレットさんたちだって立場というものがありますからね。私たちのために変に周りに目を付けられるのは私が嫌です」
「……うん」
これが仲間内の中でのことなら縁もそこまで言わないが、相手が王女となれば話しは別だ。
兄妹ケンカ程度の今なら問題ないが下手に話が大きくなり万が一、マーガレットたちの身に何かあれば縁は悔やんでも悔やみきれない。
一番安全な解決策が縁が出ていくということならば、それぐらいお安い御用だ。
「私は別にあの3人のことを何とも想ってないから出て行くと言ったわけではありません。あれほど良くしてくれたみなさんだからこそ彼らに害がないよう出ていこうと決めたんです」
「うん、ごめん。オレが短絡的だった」
それほど縁を想って怒ってくれていたからだろう。
いくら縁に魔法の才能があったとしても、立場や地位でいえば縁は何も持っていないただの冒険者の1人なのだ。
ジンたちを物理的に守ることが出来ても、権力からは何一つ守れない。
「それに彼女はここから、この国から出ていけと言っただけで、2度と会うなとは言ってなかったでしょ?会おうと思えばこれからいくらでも外で会えますよ」
「うわ~、へりくつ~」
「大人の意見と言って下さい。それに外でならアズやアレンたちみんなも連れて会えますしね」
「それはいいね。ならオレももういいや」
「よくないんだよ?君達?」
「「え?」」
今まで聞いたことのないような低い声と共に、笑っているのに笑ってない笑顔のジンが登場した。
悪の親玉っぽかったとは後でエルが言った言葉だ。
魔族でもないのに黒いオーラが見えたと怯えていた。
「おかえりなさい、お爺ちゃん。怪我などはないですか?」
「……ないよ。その言葉で全ての疲れが吹っ飛んだ」
果たしてそれは孫相手に使う言葉であっているのだろうか?
縁にはエルが言う黒いオーラは見えていなかったが、声をかければホッとしたように息をつき、いつもの笑顔に戻ったようで安心した。
「今お茶も用意しますね。お婆ちゃんはどうされました?」
「うん?あぁ、ちょっと野暮用が出来たとかでそのまま出かけていったよ」
「そうですか。ではケーキを置いて行きますので後で渡して上げて下さい」
「すぐ帰って来るらしいから待ってたらいいよ。あの王子もあの王女を連れて帰ったから今日は依頼もなくて時間があるだろう?」
現場を見てないのでどういった話し合いが行われたかは分からないが、あの兄妹が帰ったというのなら縁にも予定はなくジンに言われるがままマーガレットの帰りをお茶しながら待つことにしたのだった。
「はい?」
未だ兄妹ケンカが止まない中、小声ではあったがジンに呼ばれ手招きされるまま近寄っていけばガシッと腕を掴まれた。
いつも縁がいれば喜び話しかけてくることが多いジンだが、あまり縁に触れてくることはなかったためジンに腕を掴まれ驚いた。
「長引くようだから君達はあちらでお茶でもしてなさい」
「え?いえ、私たちは帰りーー」
「してなさい」
「……はい」
有無を言わさず執務室に続く部屋に向かうよう背を押され、驚きながらもエルと2人大人しく従った。
「どうしたんですかね?ジンさん」
「エニシが帰っちゃうと思って焦ったんじゃない?」
「は?」
どういう意味だろう?
「帰っちゃダメなんですか?」
「……マジか」
不思議そうに訊ねる縁に、エルが信じられないとばかりに呆れたように見てくる。
帰ってはダメだと言うことはこれは監禁!?
「帰ったらもう2度とここには来ない気だったでしょ?」
「?、はい」
先程王女様にそう言われたし、縁もそれに頷いたのだ。
ならばもう来ることはないと頷いたのだが、そんな縁の反応にエルが疲れたとばかりに大きな溜め息をつく。
「エニシはそれでよくてもあの2人は…いや3人か。あの3人は納得できないんだよ。だからそのために話し合ってるし、うっかりエニシを帰そうものならもう来ないだろうって分かってるからジンさんも止めたんでしょ」
「そうなんですか。随分気を遣わせてしまったようですね。別に私たちがいなくなったぐらいでそこまで騒ぐようなことでもないと思いますけど」
皆には良くしてもらってはいるが、まだ冒険者になって間もない縁がいなくなったところでギルドに何か問題があるように思えず首を傾げる。
「あんだけ気に入れられてたじゃん」
それは分かっているし自覚もある。
「でも2人だって元冒険者ですよ?突然の別れだって今までいくらでも経験してきたでしょう?」
ならばそこまで重要視する必要はないと思う縁だった。
「そりゃそうだろうけどさ。けどその理由があの女の意味不明なワガママなせいだってなら納得できるわけないじゃん。エニシは何も言い返さないし」
つまり素直に従おうとした縁が気に食わなかったということだろう。
「それだけ怒ってくれるだけで十分ですよ。それにマーガレットさんたちだって立場というものがありますからね。私たちのために変に周りに目を付けられるのは私が嫌です」
「……うん」
これが仲間内の中でのことなら縁もそこまで言わないが、相手が王女となれば話しは別だ。
兄妹ケンカ程度の今なら問題ないが下手に話が大きくなり万が一、マーガレットたちの身に何かあれば縁は悔やんでも悔やみきれない。
一番安全な解決策が縁が出ていくということならば、それぐらいお安い御用だ。
「私は別にあの3人のことを何とも想ってないから出て行くと言ったわけではありません。あれほど良くしてくれたみなさんだからこそ彼らに害がないよう出ていこうと決めたんです」
「うん、ごめん。オレが短絡的だった」
それほど縁を想って怒ってくれていたからだろう。
いくら縁に魔法の才能があったとしても、立場や地位でいえば縁は何も持っていないただの冒険者の1人なのだ。
ジンたちを物理的に守ることが出来ても、権力からは何一つ守れない。
「それに彼女はここから、この国から出ていけと言っただけで、2度と会うなとは言ってなかったでしょ?会おうと思えばこれからいくらでも外で会えますよ」
「うわ~、へりくつ~」
「大人の意見と言って下さい。それに外でならアズやアレンたちみんなも連れて会えますしね」
「それはいいね。ならオレももういいや」
「よくないんだよ?君達?」
「「え?」」
今まで聞いたことのないような低い声と共に、笑っているのに笑ってない笑顔のジンが登場した。
悪の親玉っぽかったとは後でエルが言った言葉だ。
魔族でもないのに黒いオーラが見えたと怯えていた。
「おかえりなさい、お爺ちゃん。怪我などはないですか?」
「……ないよ。その言葉で全ての疲れが吹っ飛んだ」
果たしてそれは孫相手に使う言葉であっているのだろうか?
縁にはエルが言う黒いオーラは見えていなかったが、声をかければホッとしたように息をつき、いつもの笑顔に戻ったようで安心した。
「今お茶も用意しますね。お婆ちゃんはどうされました?」
「うん?あぁ、ちょっと野暮用が出来たとかでそのまま出かけていったよ」
「そうですか。ではケーキを置いて行きますので後で渡して上げて下さい」
「すぐ帰って来るらしいから待ってたらいいよ。あの王子もあの王女を連れて帰ったから今日は依頼もなくて時間があるだろう?」
現場を見てないのでどういった話し合いが行われたかは分からないが、あの兄妹が帰ったというのなら縁にも予定はなくジンに言われるがままマーガレットの帰りをお茶しながら待つことにしたのだった。
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