二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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実は……

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 「もうすぐですか?」

 「いや、まだかかる」

 もうダメですと膝をつこうとし、しかしその前にアレンによって抱えられた。
 申し訳ないと思いつつも重いお腹を抱えては長く歩くことは出来ず、アレンに甘えることにした。

 「アレンの他にも人はいなかったんですか?」

 「それなりに距離はあったけどいたぞ。ただアイツがいたからな、怖がって誰も寄り付かなかった」

 アイツとはアレンを拾い育ててくれた大蛇で、スノーの親でもある。
 今日はアレンたちが以前住んでいた場所にエルとスノー、アレンと縁4人で来ていた。
 場所を知っているアレンに、これから住むかもしれないスノー、相談相手にエル。
 一見戦力にならなそうな縁だか、縁の役割は指示出しであって力仕事ではない。
 アレンたちだけ行かせても喧嘩になり結局何もしないで帰ってきそうなので、間に縁が入るしかないのだ。

 「ならスノーが住んでも問題なさそうですね」

 人が寄り付かないのであれば都合が良い。
 1人は寂しいだろうが、悪いことも呼び込まないということだ。

 「荒らされてなければ、な」

 人間たちに追われる身である獣人たちは常に隠れられる場所を探し求めている。
 数年とはいえアレンたちが離れていた間に誰かが住みついている可能性がなくもない。

 「ねぇ、それって子どもが産まれた後じゃダメだったの?」

 エルが言いたいことも分かる。

 「ダメ、ではないですけどやっておいて損はないでしょう?それに子どもが産まれたからといっても暫くは育てるのにかかりきりでそんな余裕があるとも思えません。スノーの成長速度からしてもやれる時にやっておくべきです」

 「……わかった」

 すごく不服そう。
 やはりエルも縁が無理をすることをよく思っていないのだろう。
 もう8カ月に入るお腹はかなり重く、時々走る痛みにみんなにはかなり心配をかけている。
 膨らみ続けるお腹に女性陣もかなり驚いていた。

 「スノーも欲しいものがあったらちゃんと言うんですよ?」

 「キュー」

 これから住むことになるであろうスノーには出来るだけ希望を叶えてやりたい。
 隣を歩くスノーの頭を撫でてやれば嬉しそうに擦り寄ってくる。

 「ほんとに言葉分かんないの?」

 「ん?スノーのですか?分かればいいんですけどねぇ」

 スノーは縁の言葉を理解してくれてはいるが、縁はスノーの言葉を理解してやることは出来ない。
 スノーの動きや表情?から何となくそうかな?ぐらいで申し訳ないと言えば、何故かエルにはそういうことじゃないと言われた。

 「まぁ、いいや。それよりそろそろ?」

 「あぁ、もう着く」

 縁を抱えたことで歩行速度が速まったアレンたちにより、思ったより早く着いたようだ。
 足を引っ張ってって申し訳ないが、着いたと言うアレンの声が固く顔も何かに気付いているのか苛立っている。

 「アレン?」

 「しっ、何かいる」

 警戒するアレンにエルも周りを見回している。

 「魔力は……感じないから獣人、か人間じゃない?」

 「だな。場所からして獣人だろう」

 ここまで森深く入ってくる人間はおらず、消去法で獣人だろうことは分かった。
 アレンが気づいていることからあちらにも気づかれているだろう。

 「数からして…5人、だな。数的に不利だ。一旦下がーー」

 「なにもんだ!?」

 「ちっ」

 意外にも相手は好戦的らしく、慌てて出てきた彼らの手には槍などの武器が握られていた。

 「貴方たちこそ何者ですか?ここは以前私たちが住んでいた場所ですが」

 人数的には不利だが、それも縁たちが普通の人間であればの話しだ。
 獣人であるアレンに、魔族であるエル、人間でありながら神の恩恵により魔力♾である縁。
 幼いスノーは危ないため後ろに下がらせた。
 臨戦態勢の相手にそちらこそ何者だと問えば、住処を奪われるかと思ったのか警戒している。

 「そんなこと関係ねぇ!もうおれらの場所だ!」

 「そうよ!人間なんかあっち行って!」

 女性もいたようで、アレンに抱えられる縁を睨みつけてくる。
 
 「そこのあなた!そんなやつ置いてこっちに来て。今なら逃げられるわ!」

 どうやらアレンは奴隷だと勘違いされたようだ。
 縁から離れろという女性に、しかしアレンは手を離すどころかさらに力強く抱きしめられる。

 「誰がお前らなんかの所に行くか。俺らの住処か奪った挙句、俺の大事な番をバカにするようなやつ」

 「なっ!私たちはあなたを助けようとーー」

 「んなこと求めちゃいねぇんだよ。さっさと出てけよ盗っ人ども」

 「盗っ!?」

 確かにアレンからすればそれが正しいだろう。
 ただ彼らからすれば、人間に従わさせられている獣人仲間を助けようとしたのにその仕打ちに驚いているようだ。

 「ここは俺らの家なんだよ。お前らに都合が良かろうが人の家奪っといて何が助けるだ。早く出てけ」

 「ここはもうおれらのもんだ!お前らが出てけ!」

 盗っ人呼ばわりに怒ったのか槍を片手に駆けてくる男に、しかしアレンが反応する前にエルが前に出た。

 「先に手ぇ出したのはお前らだからな」

 あ、やばい。
 完全にキレている。
 口論になったアレンより、恐怖の対象である人間を先に殺そうと思ったのか縁にその切っ先を向けたことにエルはキレてしまったようだ。




 *急ではありますが、体調不良のためしばらく更新お休みさせていただきます。
 読んでいただいている方のためにも早く復帰できるように頑張ります。
 大変申し訳ありません。
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