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ご報告?
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あれからセインたちとも話し合い、なるべく今まで通り過ごせることになった。
と言っても誰かしら側にいることは変わらず、しかしそれはセインたちに限らずサッズやエルなど側にいられれば誰でもいいので、ある意味前とそこまで変わりはしないだろう。
「オレ何も出来ないけど本当にいいの?」
不安そうなエルに微笑むとそっと手を握る。
「言ったでしょう?あの時私が倒れたのはエルのせいではなく私が無理したせいです。それにエルがいたから、ああして無事に部屋で目を覚ますことが出来て、妊娠していると知る事が出来た」
そこまで悩ませてしまったのは申し訳ないが、逆に言えばそれだけ思ってくれているのだろうと嬉しくなる。
「エルのおかげで無事だったんです。それに私の子ですよ?」
「?」
「アズが私の子でこの子のお兄ちゃんであるなら、エルだってこの子のお兄ちゃんなんです。頼りにしてますね」
「……オレが、お兄ちゃん?」
未だアズと兄弟仲良くということは難しいかもしれないが、それでも最初の頃の全てを拒絶するような様子はアズにはなかった。
魔法も素直にエルから学び、縁が頼めば大人しく抱っこもされる。
「この子はエルたちと違って魔族ではないですし、人間か獣人か産まれてみないと分かりません。でも私の子です。私がエルを大切な家族だと思っているように、この子もきっとエルを大切な家族だと思ってくれます。だから一緒に育てていってほしいんです」
「オレ…でも、子どもなんか育てたことない」
いつもの飄々とした態度はどうしたのかとばかりに不安に落ち込み俯いてしまう。
「私だってそうですよ。だから一緒にって言ったでしょ?初めての妊娠出産に女性ではない私も不安なんです。普通なら出来ることも私ではしてあげられないこともあるかもしれない。そんな時はエルも一緒に考えて欲しいんです。家族として、この子のお兄ちゃんとして」
まだ妊娠が分かったばかりで膨らみなどない。
それでもエルの手を握りお腹へ触れさせれば、泣きそうな顔で嬉しそうに笑った。
「うん、オレに出来ることがあれば何でも言って。その、お兄ちゃんだからね」
「ありがとうございます。では、早速ですがギルドまで一緒に行ってもらえますか?」
「いきなりか!色々台無しじゃない?」
エルのツッコミに笑いながらも手を繋ぎ隠れ家を後にするのであった。
いつものようにギルドへ向えば待っていたリックに挨拶する。
「今日は少々お話があるんですが大丈夫ですか?」
「?、はい」
職員にギルドマスターに会いたいと頼めば1分も経たない内にドタバタと派手な足音を鳴らしながら、サブギルドマスターであるジンが駆け寄ってきた。
「やぁ、よく来てくれたね!ささ、おいでおいで話しをしよう」
あまりの勢いにエルだけでなくリックまで引いている。
「お約束もなくまたすいません。この前の謝罪と少しご報告があったものですから」
「なんだいなんだい?冒険者を辞めるとか言わないよね?大丈夫だよ、そうなったら私たちの孫としてすぐに手続きをーー」
「違います。ですが私的なことなので少しお邪魔させてもらってもよろしいですか?」
どんどん飛んでいく話しにこれはまずいと部屋に案内してもらった。
どうして冒険者を辞めたからといって彼らの孫になるという話しになるのか。
「あぁ、よく来たね。で?今日はまた大人数だが話しがあるんだって?」
いつものエルとアズに加え、今日はリックまで連れているので驚いているのだろう。
「はい。ですがその前にお茶にでもしませんか?この前のお礼にささやかですがお土産を持ってきたんです」
お茶と皿を用意してもらい、縁は鞄からソレを出すと一人分ずつ配っていく。
分かっているアズは喜び早速食べ始めていたが、知らない面々は不思議そうに美味しそうに頬張るアズを眺めていた。
「やっとちゃんとしたものが出来たので持ってきました。見た目はパンと似ていますが、パンより柔らかくて少し甘めになっています。大丈夫そうなら蜂蜜も持ってきたのでかけて召し上がってみて下さい」
そう言って縁が並べたのは何の変哲もないただのスポンジケーキというか、どちらかといえばパウンドケーキ。
だが甘味らしい甘味がないこちらの世界では無かったものに、出来た時はみんな喜んでくれた。
レシピは裏覚えだったため何度か失敗したが、それでも試行錯誤の上なんとか完成させる事が出来た。
縁はあまり食欲がないためお茶だけもらう。
「初めて見るもので抵抗があるかもしれませんが、この通りこの子が食べても安全なものなので大丈夫ですよ」
毒味役みたいなことを言ったが、美味しそうに頬張るアズに勇気を出したエルが一口食べてみる。
「あ、うまい」
そんなエルの言葉に後押しされたように他の3人も一口食べ、驚きまた一口また一口と食べていく。
「これは凄いね」
「とても美味しいよ」
「美味しいです」
すぐに食べ終えた3人にまた新しいものを配ってやり、エルとアズにもおかわりを用意してやる。
「こんな美味しいものを作れるなんて、本当に私たちの孫は凄いね」
いや、孫違います。
「本当だね。にしても、アンタは一口も食べてないけど私らだけ食べちまってよかったのかい?」
やはりマーガレットは気付いていたようで、その言葉に気付いたリックとジンが驚き手を止める。
「構いませんよ。ですが、そのことでご報告があるんです。実は……子どもが出来ました。正真正銘私の子で、今お腹の中にいます」
「「「………はあああああぁぁぁぁ!?」」」
3人のその声はその日ギルド中に響き渡ったという。
と言っても誰かしら側にいることは変わらず、しかしそれはセインたちに限らずサッズやエルなど側にいられれば誰でもいいので、ある意味前とそこまで変わりはしないだろう。
「オレ何も出来ないけど本当にいいの?」
不安そうなエルに微笑むとそっと手を握る。
「言ったでしょう?あの時私が倒れたのはエルのせいではなく私が無理したせいです。それにエルがいたから、ああして無事に部屋で目を覚ますことが出来て、妊娠していると知る事が出来た」
そこまで悩ませてしまったのは申し訳ないが、逆に言えばそれだけ思ってくれているのだろうと嬉しくなる。
「エルのおかげで無事だったんです。それに私の子ですよ?」
「?」
「アズが私の子でこの子のお兄ちゃんであるなら、エルだってこの子のお兄ちゃんなんです。頼りにしてますね」
「……オレが、お兄ちゃん?」
未だアズと兄弟仲良くということは難しいかもしれないが、それでも最初の頃の全てを拒絶するような様子はアズにはなかった。
魔法も素直にエルから学び、縁が頼めば大人しく抱っこもされる。
「この子はエルたちと違って魔族ではないですし、人間か獣人か産まれてみないと分かりません。でも私の子です。私がエルを大切な家族だと思っているように、この子もきっとエルを大切な家族だと思ってくれます。だから一緒に育てていってほしいんです」
「オレ…でも、子どもなんか育てたことない」
いつもの飄々とした態度はどうしたのかとばかりに不安に落ち込み俯いてしまう。
「私だってそうですよ。だから一緒にって言ったでしょ?初めての妊娠出産に女性ではない私も不安なんです。普通なら出来ることも私ではしてあげられないこともあるかもしれない。そんな時はエルも一緒に考えて欲しいんです。家族として、この子のお兄ちゃんとして」
まだ妊娠が分かったばかりで膨らみなどない。
それでもエルの手を握りお腹へ触れさせれば、泣きそうな顔で嬉しそうに笑った。
「うん、オレに出来ることがあれば何でも言って。その、お兄ちゃんだからね」
「ありがとうございます。では、早速ですがギルドまで一緒に行ってもらえますか?」
「いきなりか!色々台無しじゃない?」
エルのツッコミに笑いながらも手を繋ぎ隠れ家を後にするのであった。
いつものようにギルドへ向えば待っていたリックに挨拶する。
「今日は少々お話があるんですが大丈夫ですか?」
「?、はい」
職員にギルドマスターに会いたいと頼めば1分も経たない内にドタバタと派手な足音を鳴らしながら、サブギルドマスターであるジンが駆け寄ってきた。
「やぁ、よく来てくれたね!ささ、おいでおいで話しをしよう」
あまりの勢いにエルだけでなくリックまで引いている。
「お約束もなくまたすいません。この前の謝罪と少しご報告があったものですから」
「なんだいなんだい?冒険者を辞めるとか言わないよね?大丈夫だよ、そうなったら私たちの孫としてすぐに手続きをーー」
「違います。ですが私的なことなので少しお邪魔させてもらってもよろしいですか?」
どんどん飛んでいく話しにこれはまずいと部屋に案内してもらった。
どうして冒険者を辞めたからといって彼らの孫になるという話しになるのか。
「あぁ、よく来たね。で?今日はまた大人数だが話しがあるんだって?」
いつものエルとアズに加え、今日はリックまで連れているので驚いているのだろう。
「はい。ですがその前にお茶にでもしませんか?この前のお礼にささやかですがお土産を持ってきたんです」
お茶と皿を用意してもらい、縁は鞄からソレを出すと一人分ずつ配っていく。
分かっているアズは喜び早速食べ始めていたが、知らない面々は不思議そうに美味しそうに頬張るアズを眺めていた。
「やっとちゃんとしたものが出来たので持ってきました。見た目はパンと似ていますが、パンより柔らかくて少し甘めになっています。大丈夫そうなら蜂蜜も持ってきたのでかけて召し上がってみて下さい」
そう言って縁が並べたのは何の変哲もないただのスポンジケーキというか、どちらかといえばパウンドケーキ。
だが甘味らしい甘味がないこちらの世界では無かったものに、出来た時はみんな喜んでくれた。
レシピは裏覚えだったため何度か失敗したが、それでも試行錯誤の上なんとか完成させる事が出来た。
縁はあまり食欲がないためお茶だけもらう。
「初めて見るもので抵抗があるかもしれませんが、この通りこの子が食べても安全なものなので大丈夫ですよ」
毒味役みたいなことを言ったが、美味しそうに頬張るアズに勇気を出したエルが一口食べてみる。
「あ、うまい」
そんなエルの言葉に後押しされたように他の3人も一口食べ、驚きまた一口また一口と食べていく。
「これは凄いね」
「とても美味しいよ」
「美味しいです」
すぐに食べ終えた3人にまた新しいものを配ってやり、エルとアズにもおかわりを用意してやる。
「こんな美味しいものを作れるなんて、本当に私たちの孫は凄いね」
いや、孫違います。
「本当だね。にしても、アンタは一口も食べてないけど私らだけ食べちまってよかったのかい?」
やはりマーガレットは気付いていたようで、その言葉に気付いたリックとジンが驚き手を止める。
「構いませんよ。ですが、そのことでご報告があるんです。実は……子どもが出来ました。正真正銘私の子で、今お腹の中にいます」
「「「………はあああああぁぁぁぁ!?」」」
3人のその声はその日ギルド中に響き渡ったという。
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