57 / 475
ご報告
しおりを挟む
それからジークに抱き抱えられながら隠れ家に戻れば、案の定すごい勢いで駆けてくる2人の姿が。
「お仕事は終わったんですか?」
「終わった」
「終わらせた!」
ん?
若干アレンの物言いは気になったが、まぁいいかと4人で部屋に向かう。
途中アズも回収し、部屋に着けば当たり前かのようにソファに座るジークの膝に座らされた。
「ジーク?」
「ん?」
なぜ?と首を傾げれば、逆に不思議そうな顔で返される。
あれ?おかしいのは私なんですかね?
「まぁ、いいか。それでですね、ジークがーー」
「よくない!アンタさっきからなんなんだ。縁は俺たちのだぞ!」
「そうだ、とっとと離せ。ほら縁、俺の膝にこい」
セインとアレンが手を伸ばしてくるが、ジークに腰を掴まれているため動けない。
睨み合う3人にアズも戸惑っている。
「落ち着いて下さい。アズが困っているでしょう?アレンたちも膝になら後で乗ってあげますから今は話しを聞いて下さい」
縁が注意すればアレンとセインも渋々ながら頷き、縁たちの正面の椅子に腰を下ろす。
アズは縁の膝の上である。
「では、急ではありますがジークが番になりました」
「ちっ!」
「やはりか……」
こらアレン行儀が悪いです。
2人はかなり苛立っているようだが、あまり驚いている様子はない。
「驚かないんですね?」
どうしてだろうと思っていれば、何故か溜め息を返された。
「ジークを見てれば分かる。ジークの縁を見る目は俺たちと一緒だった」
「それにあんだけ縁にかまいまくってたじゃん」
構いまくっていた?
そんなことあったかな?
縁は知らなかったが、ジークは仲間たちと仲は良かったがどこかしら一線を置いていた。
エリーを亡くし悲しむ自分を見せるのが嫌だったのか、それともそのせいで気を使わせるのが嫌だったのか分からないが、仲良くしながらもどこか一歩距離を置いていた。
それが縁が来てからというもの率先して世話を焼き、楽しそうに笑っている姿を見ればアレンたちだけでなく周りも気づいていた。
「それに縁も何だかんだ言ってジークを頼ってたからな。気に入らないが縁がそう決めたなら俺は従う」
「そうだな。か・な・り気に入らないが仕方ないから認めてやるよ」
アレンは何故そう偉そうなのか……
でもジークを番にしたいというのは確かに縁の我儘なので何も言わなかった。
「サッズだってジークの心配してたしな」
「サッズが?」
どういうことだとジークが問えばセインが苦笑いしながらも教えてくれた。
「あんなデカイ図体してるけどそんなに強くないんだ、ってな。あ、もちろん精神面のことだぞ」
「あははっ、サッズさんはお母さん気質ですね」
1人誰にも頼らず立つジークにサッズはかなり心配していたようだ。
心配されて喜んでいいのか、年下である部下に心配されて情けないと落ち込めばいいのかジークは複雑そうな表情だ。
素直に喜べはいいのに。
思ったが、言えば拗ねそうなのでやめておく。
「だからアンタが縁をかまっていてもあんまり邪魔してやってくれるなとも言われた」
甘えることが苦手なジークなりの甘え方なのだろうとサッズは笑っていたらしいが。
「サッズさんはいい方ですね」
「アイツはダメだぞ」
「これ以上はダメだからな」
純粋に褒めただけだったのだが、サッズまで番にしようとしている思われたのか絶対にダメだと言われた。
何故そう思ったのか……
確かにサッズのことは好きだが、それは友情的なものでそこに恋愛的要素は含まれていない。
例えるなら親切な隣の家のお兄さん。
「そんなことあるわけないでしょう?これ以上獣人の番を増やすなんて私の身体が壊れてしまいます」
アレンとセインの発情期でさえ無事切り抜けられるか分からないのにジークまで加わったのだ。
……あれ?もしかして無理なのでは?
想像して無様に倒れる自分の姿しか浮かばない。
「そのことなんだがーー」
「ママしんじゃうの!?ヤダ、ヤダヤダ」
それまで黙って聞いてたアズが、身体が壊れる=ママが死んじゃうと思ったらしくヤダヤダとギュッと首に抱きついてくる。
あー、癒されます。
暢気にそんなことを考えていたが、ジークに脇腹を突かれアズを抱きしめ返してやるとそんなことないと言ってやる。
「今はものの例えです。本当に壊れるわけではありません。それぐらい疲れるだろうなってことです」
大丈夫だと背を撫でてやれば、何とか落ち着いたのか腕を離した。
「それよりアズのパパが増えたってことですよ。アズはジークが大好きでしょう?」
「すき!」
「それは良かった。今日からジークもアズのパパですからね。何かあったらジークを頼るといいです」
「うん!」
笑顔で答えるアズにジークも嬉しそうだ。
「俺は!?」
「俺にも頼ってくれていいんだからな!」
焦ったようにそう言うが、2人は日頃縁ばかり構ってアズを後回しにする時があるのが原因だと思う。
俺たちだってパパだ!と主張する2人は放っておき、他3人で夕食を食べに向かうのであった。
もちろんアレンたちは後ろから追って来ていたが。
「お頭よかったですね!」
「おめでとうございます頭っ!」
食堂へ入った途端、みんなに祝いの言葉をかけられ縁は戸惑った。
何故彼らが知っているのか?
聞けば帰って来た時の縁の状態でバレてしまったようだ。
腰の痛みにジークに抱えられながら戻ってきた縁だったが、それが先日アレンたちと致した後の様子に似ていたため、一緒にいたはずのジークとの間に進展があったのだと悟ったらしい。
だがそれを聞き、ではジークとヤッてきたとバレているということに縁は恥ずかしくて顔を上げられない。
真っ赤な顔で俯く縁にジークは苦笑いすると抱えたまま椅子に座る。
普段なら何をしているんだと言っていただろうが、この恥ずかしさに1人にされるのは心細かったため大人しくしていることにした。
「ほら腹すいてんだろ?食え」
口に放り込まれるまま咀嚼し食べ切れば速攻部屋まで運んでもらう。
アズはというとパパと認めてもらおうと必死に世話するアレンたちに任せておいた。
「みなさんにバレているなんて……」
「そんなに俺とのことを知られるのいやなのかよ」
ジークの胸に隠すように顔を擦りよせていれば、頭上から拗ねたような声でそう聞こえてきた。
そういう意味ではなかったのだが……
「違います。ジークとのことは後悔してないし、恥ずかしくもないですが……その、そういう、ことを…していたんだとバレるのは、ちょっと……」
あくまでSEXしていたということがバレるのが嫌なのだ。
そんなこと自慢することでもなければ、言いふらすことでもない。
「ならもっと体力つけるしかねぇな」
毎回する度に翌日抱えられる縁に、ならば体力をつけろとジークの助言に納得した。
やはり筋肉が必要なようですね!
「……体力であって筋肉じゃねぇからな」
もはやどうやって筋肉をつけると考える縁にジークのその言葉は届いていなかった。
「お仕事は終わったんですか?」
「終わった」
「終わらせた!」
ん?
若干アレンの物言いは気になったが、まぁいいかと4人で部屋に向かう。
途中アズも回収し、部屋に着けば当たり前かのようにソファに座るジークの膝に座らされた。
「ジーク?」
「ん?」
なぜ?と首を傾げれば、逆に不思議そうな顔で返される。
あれ?おかしいのは私なんですかね?
「まぁ、いいか。それでですね、ジークがーー」
「よくない!アンタさっきからなんなんだ。縁は俺たちのだぞ!」
「そうだ、とっとと離せ。ほら縁、俺の膝にこい」
セインとアレンが手を伸ばしてくるが、ジークに腰を掴まれているため動けない。
睨み合う3人にアズも戸惑っている。
「落ち着いて下さい。アズが困っているでしょう?アレンたちも膝になら後で乗ってあげますから今は話しを聞いて下さい」
縁が注意すればアレンとセインも渋々ながら頷き、縁たちの正面の椅子に腰を下ろす。
アズは縁の膝の上である。
「では、急ではありますがジークが番になりました」
「ちっ!」
「やはりか……」
こらアレン行儀が悪いです。
2人はかなり苛立っているようだが、あまり驚いている様子はない。
「驚かないんですね?」
どうしてだろうと思っていれば、何故か溜め息を返された。
「ジークを見てれば分かる。ジークの縁を見る目は俺たちと一緒だった」
「それにあんだけ縁にかまいまくってたじゃん」
構いまくっていた?
そんなことあったかな?
縁は知らなかったが、ジークは仲間たちと仲は良かったがどこかしら一線を置いていた。
エリーを亡くし悲しむ自分を見せるのが嫌だったのか、それともそのせいで気を使わせるのが嫌だったのか分からないが、仲良くしながらもどこか一歩距離を置いていた。
それが縁が来てからというもの率先して世話を焼き、楽しそうに笑っている姿を見ればアレンたちだけでなく周りも気づいていた。
「それに縁も何だかんだ言ってジークを頼ってたからな。気に入らないが縁がそう決めたなら俺は従う」
「そうだな。か・な・り気に入らないが仕方ないから認めてやるよ」
アレンは何故そう偉そうなのか……
でもジークを番にしたいというのは確かに縁の我儘なので何も言わなかった。
「サッズだってジークの心配してたしな」
「サッズが?」
どういうことだとジークが問えばセインが苦笑いしながらも教えてくれた。
「あんなデカイ図体してるけどそんなに強くないんだ、ってな。あ、もちろん精神面のことだぞ」
「あははっ、サッズさんはお母さん気質ですね」
1人誰にも頼らず立つジークにサッズはかなり心配していたようだ。
心配されて喜んでいいのか、年下である部下に心配されて情けないと落ち込めばいいのかジークは複雑そうな表情だ。
素直に喜べはいいのに。
思ったが、言えば拗ねそうなのでやめておく。
「だからアンタが縁をかまっていてもあんまり邪魔してやってくれるなとも言われた」
甘えることが苦手なジークなりの甘え方なのだろうとサッズは笑っていたらしいが。
「サッズさんはいい方ですね」
「アイツはダメだぞ」
「これ以上はダメだからな」
純粋に褒めただけだったのだが、サッズまで番にしようとしている思われたのか絶対にダメだと言われた。
何故そう思ったのか……
確かにサッズのことは好きだが、それは友情的なものでそこに恋愛的要素は含まれていない。
例えるなら親切な隣の家のお兄さん。
「そんなことあるわけないでしょう?これ以上獣人の番を増やすなんて私の身体が壊れてしまいます」
アレンとセインの発情期でさえ無事切り抜けられるか分からないのにジークまで加わったのだ。
……あれ?もしかして無理なのでは?
想像して無様に倒れる自分の姿しか浮かばない。
「そのことなんだがーー」
「ママしんじゃうの!?ヤダ、ヤダヤダ」
それまで黙って聞いてたアズが、身体が壊れる=ママが死んじゃうと思ったらしくヤダヤダとギュッと首に抱きついてくる。
あー、癒されます。
暢気にそんなことを考えていたが、ジークに脇腹を突かれアズを抱きしめ返してやるとそんなことないと言ってやる。
「今はものの例えです。本当に壊れるわけではありません。それぐらい疲れるだろうなってことです」
大丈夫だと背を撫でてやれば、何とか落ち着いたのか腕を離した。
「それよりアズのパパが増えたってことですよ。アズはジークが大好きでしょう?」
「すき!」
「それは良かった。今日からジークもアズのパパですからね。何かあったらジークを頼るといいです」
「うん!」
笑顔で答えるアズにジークも嬉しそうだ。
「俺は!?」
「俺にも頼ってくれていいんだからな!」
焦ったようにそう言うが、2人は日頃縁ばかり構ってアズを後回しにする時があるのが原因だと思う。
俺たちだってパパだ!と主張する2人は放っておき、他3人で夕食を食べに向かうのであった。
もちろんアレンたちは後ろから追って来ていたが。
「お頭よかったですね!」
「おめでとうございます頭っ!」
食堂へ入った途端、みんなに祝いの言葉をかけられ縁は戸惑った。
何故彼らが知っているのか?
聞けば帰って来た時の縁の状態でバレてしまったようだ。
腰の痛みにジークに抱えられながら戻ってきた縁だったが、それが先日アレンたちと致した後の様子に似ていたため、一緒にいたはずのジークとの間に進展があったのだと悟ったらしい。
だがそれを聞き、ではジークとヤッてきたとバレているということに縁は恥ずかしくて顔を上げられない。
真っ赤な顔で俯く縁にジークは苦笑いすると抱えたまま椅子に座る。
普段なら何をしているんだと言っていただろうが、この恥ずかしさに1人にされるのは心細かったため大人しくしていることにした。
「ほら腹すいてんだろ?食え」
口に放り込まれるまま咀嚼し食べ切れば速攻部屋まで運んでもらう。
アズはというとパパと認めてもらおうと必死に世話するアレンたちに任せておいた。
「みなさんにバレているなんて……」
「そんなに俺とのことを知られるのいやなのかよ」
ジークの胸に隠すように顔を擦りよせていれば、頭上から拗ねたような声でそう聞こえてきた。
そういう意味ではなかったのだが……
「違います。ジークとのことは後悔してないし、恥ずかしくもないですが……その、そういう、ことを…していたんだとバレるのは、ちょっと……」
あくまでSEXしていたということがバレるのが嫌なのだ。
そんなこと自慢することでもなければ、言いふらすことでもない。
「ならもっと体力つけるしかねぇな」
毎回する度に翌日抱えられる縁に、ならば体力をつけろとジークの助言に納得した。
やはり筋肉が必要なようですね!
「……体力であって筋肉じゃねぇからな」
もはやどうやって筋肉をつけると考える縁にジークのその言葉は届いていなかった。
23
お気に入りに追加
3,696
あなたにおすすめの小説
【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜
N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間)
ハーレム要素あります。
苦手な方はご注意ください。
※タイトルの ◎ は視点が変わります
※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます
※ご都合主義です、あしからず
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される
Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木)
読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!!
黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。
死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。
闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。
そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。
BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)…
連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。
拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。
Noah
偽物の番は溺愛に怯える
にわとりこ
BL
『ごめんね、君は偽物だったんだ』
最悪な記憶を最後に自らの命を絶ったはずのシェリクスは、全く同じ姿かたち境遇で生まれ変わりを遂げる。
まだ自分を《本物》だと思っている愛する人を前にシェリクスは───?
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる