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本当に?
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ある冒険者ギルドでの出来事。
その日もいつもと同じように出勤し、同じようにむさ苦しい冒険者たちを相手に、同じように受け付けをしていた。
冒険者の朝は早く、我先にと朝一から良い依頼を求めて列をなす光景は暑苦しく見ていて楽しいものでもない。
今日は従業員が多く、最も楽な冒険者登録の受付に割り当てられたが、逆に言えば暇すぎて眠く辛い。
揺れる頭と闘いながら音がした方に顔を向ければ、綺麗な子どもが立っていた。
だが何を思ったかすぐに扉を閉めてしまう。
建物でも間違えたかと思えば、また扉が開き子どもが入ってきた。
どうやら間違えてはなかったようだ。
サラサラと肩まで流れる銀髪とキョロキョロと周りをみる金色の瞳はとても可愛い。
どこかの貴族だろうと近寄ってきた子どもに依頼受付は隣だと教えてやればキョトンとこちらを見てくる。
「いえ、冒険者登録したいのですが」
「は?」
思わず素で声がでてしまった。
「え?あの、冒険者登録をお願いしたいのですが」
何故だろうとこちらを見る子どもに逆に何故だと思ってしまう。
「本当によろしいんですか?」
思わず確認してしまったが、考え直すなら今だと伝える。
どんな事情で冒険者になろうとしているかは分からないが、この容姿なら他にも仕事はあるだろう。
だが、確認虚しく子どもは冒険者になりたいと言い、手続きをすることに。
必要書類を渡し、ギルドカードも渡してやれば少し戸惑っているようだった。
血を出すことに抵抗があるのかと思ったが、それも一瞬で渡した針で指を刺していた。
流れる血にカードが触れ、名前が浮かび上がる。
自分には珍しいものでもないが、その子は感心したように見ていた。
え、16歳!
これで成人してたのかよ。
子どもだと思っていたが一応成人していたらしい。
驚きながらもギルドの説明してやれば、連れていた奴隷らしい獣人たちを見る。
「あの、彼らに手伝ってもらうことに問題はあるんでしょうか」
やはり金持ちの家の息子が奴隷を連れて遊び感覚で来ているのかと思った。
時々いるのだ。
遊び半分で登録し、戦闘は他まかせで最後のおいしいところだけとり、危なくなれば他を盾にし自分は逃げる。
失敗すれば周りに当たり散らし、ギルドが悪いと難癖つけてくる。
面倒くさいヤツらだ。
彼もそうなのかと思ったが、どうやら見る限り彼らの反応はちがう。
首輪をしていることから奴隷だということは分かるが、お互い信頼しているようで嫌な顔1つせず、むしろ役に立てることが嬉しいとでもいうようだ。
問題ないと伝えれば礼を言われた。
そんなに嬉しいことだったのだろうか。
「……いえ。お気をつけて」
それだけ返せば、子ども……ではなくエニシさんは楽しそうに依頼ボードに向かっていった。
その横顔はまだ幼さが残っているが、話してみればしっかりしており従業員の自分にも丁寧だった。
貴族特有の人を見下す態度もなく、奴隷とも楽しそうに話しているだけでなく、明らかに役に立たないであろう幼い奴隷を腕に抱いている。
その美しい光景に奴隷だと獣人たちを蔑んでいた自分がおかしいのではと思ってしまった。
これまで獣人に、奴隷に何かされたわけではない。
忌むべき存在だと教えられてきたが、それでは何故エニシはあんなに幸せそうなのだろうか。
家族のようにも見えるそれに、羨ましいと思ってしまった。
奴隷にでもあれなら、ただの平民である自分にもーー
「いいな」
羨ましい。
あの笑顔を向けられる獣人たちが。
羨ましい。
あの腕に抱かれている奴隷のこどもが。
その光景に皆が目を向けているなど知らない当人たちは、そのまま依頼を受け薬草採取に向かうのだった。
その日もいつもと同じように出勤し、同じようにむさ苦しい冒険者たちを相手に、同じように受け付けをしていた。
冒険者の朝は早く、我先にと朝一から良い依頼を求めて列をなす光景は暑苦しく見ていて楽しいものでもない。
今日は従業員が多く、最も楽な冒険者登録の受付に割り当てられたが、逆に言えば暇すぎて眠く辛い。
揺れる頭と闘いながら音がした方に顔を向ければ、綺麗な子どもが立っていた。
だが何を思ったかすぐに扉を閉めてしまう。
建物でも間違えたかと思えば、また扉が開き子どもが入ってきた。
どうやら間違えてはなかったようだ。
サラサラと肩まで流れる銀髪とキョロキョロと周りをみる金色の瞳はとても可愛い。
どこかの貴族だろうと近寄ってきた子どもに依頼受付は隣だと教えてやればキョトンとこちらを見てくる。
「いえ、冒険者登録したいのですが」
「は?」
思わず素で声がでてしまった。
「え?あの、冒険者登録をお願いしたいのですが」
何故だろうとこちらを見る子どもに逆に何故だと思ってしまう。
「本当によろしいんですか?」
思わず確認してしまったが、考え直すなら今だと伝える。
どんな事情で冒険者になろうとしているかは分からないが、この容姿なら他にも仕事はあるだろう。
だが、確認虚しく子どもは冒険者になりたいと言い、手続きをすることに。
必要書類を渡し、ギルドカードも渡してやれば少し戸惑っているようだった。
血を出すことに抵抗があるのかと思ったが、それも一瞬で渡した針で指を刺していた。
流れる血にカードが触れ、名前が浮かび上がる。
自分には珍しいものでもないが、その子は感心したように見ていた。
え、16歳!
これで成人してたのかよ。
子どもだと思っていたが一応成人していたらしい。
驚きながらもギルドの説明してやれば、連れていた奴隷らしい獣人たちを見る。
「あの、彼らに手伝ってもらうことに問題はあるんでしょうか」
やはり金持ちの家の息子が奴隷を連れて遊び感覚で来ているのかと思った。
時々いるのだ。
遊び半分で登録し、戦闘は他まかせで最後のおいしいところだけとり、危なくなれば他を盾にし自分は逃げる。
失敗すれば周りに当たり散らし、ギルドが悪いと難癖つけてくる。
面倒くさいヤツらだ。
彼もそうなのかと思ったが、どうやら見る限り彼らの反応はちがう。
首輪をしていることから奴隷だということは分かるが、お互い信頼しているようで嫌な顔1つせず、むしろ役に立てることが嬉しいとでもいうようだ。
問題ないと伝えれば礼を言われた。
そんなに嬉しいことだったのだろうか。
「……いえ。お気をつけて」
それだけ返せば、子ども……ではなくエニシさんは楽しそうに依頼ボードに向かっていった。
その横顔はまだ幼さが残っているが、話してみればしっかりしており従業員の自分にも丁寧だった。
貴族特有の人を見下す態度もなく、奴隷とも楽しそうに話しているだけでなく、明らかに役に立たないであろう幼い奴隷を腕に抱いている。
その美しい光景に奴隷だと獣人たちを蔑んでいた自分がおかしいのではと思ってしまった。
これまで獣人に、奴隷に何かされたわけではない。
忌むべき存在だと教えられてきたが、それでは何故エニシはあんなに幸せそうなのだろうか。
家族のようにも見えるそれに、羨ましいと思ってしまった。
奴隷にでもあれなら、ただの平民である自分にもーー
「いいな」
羨ましい。
あの笑顔を向けられる獣人たちが。
羨ましい。
あの腕に抱かれている奴隷のこどもが。
その光景に皆が目を向けているなど知らない当人たちは、そのまま依頼を受け薬草採取に向かうのだった。
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