12 / 475
子ども増えました
しおりを挟む
普通ならこうして商品が客に手を出そうものなら即処分になるらしい。
奴隷にとっての処分とは死を意味するらしいが。
「この子がいいんです」
必死に止める店主に大丈夫だからと説得すれば、謝罪の代わりに値引きしてくれるそうだ。
「しかし本当に、本当によろしいんですか?コイツは能力はありますが型落ちですよ」
「型落ち?」
まるで電化製品かなにかのようだ。人に使う言葉とは思えない。
どうやら奴隷の売り時は10代.20代がピークらしく、容姿が衰えるそれ以降の年齢は型落ちと呼ばれるらしい。
それで言えば縁は型落ちどころか激型落ち、廃棄処分ではないだろうか。
「それでもいいです。早く彼を出してもらえますか?」
「た、ただいま!」
これ以上待たせるなと促せば慌てて檻の鍵を開けた。
「それではすぐに書類を用意させていただきーーこらっ、手を離さんか!」
ジャラジャラと足枷を鳴らして歩きづらそうに出てきたセインの足下を見れば白い塊がくっついていた。
???
毛玉?
「なんですか?ソレ」
「セイおにいちゃんつれてかないで!」
よくよく見れば白い毛玉だと思っていたものはこちらは人間の子どもだったようで2,3歳といったぐらいだろうか。
離すもんかとセインの足に抱きつく姿はそれだけ彼を慕っているのだろう。
縁の元へ行きたいが動くことができずオロオロしているセインに笑みがこぼれた。
「ふふっ、なら君も一緒に来ますか?」
「エニシツ!」
「お客様っ!」
「…いいの?」
ギョッとするアレンと店主を手で制し、その場にしゃがみこむと少年と目線を合わせる。
「君にとっては嬉しいことか分かりませんが家族は多い方がいいでしょう。もしかしたら辛いこともあるかもしれません。でも君さえ良ければ私と家族になってくれませんか?」
奴隷ではなく家族になってほしいと言えば少年は驚いていたが、縁を見て今までの人間たちと違うとわかったのか戸惑いながらも笑い頷いた。
可愛らしい笑顔に癒されそっと抱き上げてやる。
可愛い、可愛いと撫でてやれば少年も嬉しそうに笑ってくれた。
気分は孫を溺愛するおじいちゃん。
「ではこの2人で手続きお願いします」
「……かしこまりました」
もう何を言っても無駄だと思ったのか店主は大人しく購入の手続きに向かうのだった。
ここでは気付かなかったが、まだ幼い少年が型落ちと呼ばれていたセインと一緒な檻に入っていたということはこの少年も普通ではない理由があるのだった。
「では、これで手続き完了です。またのお越しをお待ちしております」
売れたのは嬉しいが、売れたのが型落ちのどう考えても利があるようには思えない獣人たちだったせいか最後まで店主は複雑そうな顔をしていた。
「これで今日からみんな家族です。こちらに来たばかりで迷惑かけるかと思いますがよろしくお願いしますね」
「…あぁ」
「よろしくお願い致します」
「おねがいします!」
三者三様、反応は違ったが縁はこちらに来たばかりの時の寂しは消えていた。
こちらの世界に来られたことを初めて感謝したのだった。
奴隷にとっての処分とは死を意味するらしいが。
「この子がいいんです」
必死に止める店主に大丈夫だからと説得すれば、謝罪の代わりに値引きしてくれるそうだ。
「しかし本当に、本当によろしいんですか?コイツは能力はありますが型落ちですよ」
「型落ち?」
まるで電化製品かなにかのようだ。人に使う言葉とは思えない。
どうやら奴隷の売り時は10代.20代がピークらしく、容姿が衰えるそれ以降の年齢は型落ちと呼ばれるらしい。
それで言えば縁は型落ちどころか激型落ち、廃棄処分ではないだろうか。
「それでもいいです。早く彼を出してもらえますか?」
「た、ただいま!」
これ以上待たせるなと促せば慌てて檻の鍵を開けた。
「それではすぐに書類を用意させていただきーーこらっ、手を離さんか!」
ジャラジャラと足枷を鳴らして歩きづらそうに出てきたセインの足下を見れば白い塊がくっついていた。
???
毛玉?
「なんですか?ソレ」
「セイおにいちゃんつれてかないで!」
よくよく見れば白い毛玉だと思っていたものはこちらは人間の子どもだったようで2,3歳といったぐらいだろうか。
離すもんかとセインの足に抱きつく姿はそれだけ彼を慕っているのだろう。
縁の元へ行きたいが動くことができずオロオロしているセインに笑みがこぼれた。
「ふふっ、なら君も一緒に来ますか?」
「エニシツ!」
「お客様っ!」
「…いいの?」
ギョッとするアレンと店主を手で制し、その場にしゃがみこむと少年と目線を合わせる。
「君にとっては嬉しいことか分かりませんが家族は多い方がいいでしょう。もしかしたら辛いこともあるかもしれません。でも君さえ良ければ私と家族になってくれませんか?」
奴隷ではなく家族になってほしいと言えば少年は驚いていたが、縁を見て今までの人間たちと違うとわかったのか戸惑いながらも笑い頷いた。
可愛らしい笑顔に癒されそっと抱き上げてやる。
可愛い、可愛いと撫でてやれば少年も嬉しそうに笑ってくれた。
気分は孫を溺愛するおじいちゃん。
「ではこの2人で手続きお願いします」
「……かしこまりました」
もう何を言っても無駄だと思ったのか店主は大人しく購入の手続きに向かうのだった。
ここでは気付かなかったが、まだ幼い少年が型落ちと呼ばれていたセインと一緒な檻に入っていたということはこの少年も普通ではない理由があるのだった。
「では、これで手続き完了です。またのお越しをお待ちしております」
売れたのは嬉しいが、売れたのが型落ちのどう考えても利があるようには思えない獣人たちだったせいか最後まで店主は複雑そうな顔をしていた。
「これで今日からみんな家族です。こちらに来たばかりで迷惑かけるかと思いますがよろしくお願いしますね」
「…あぁ」
「よろしくお願い致します」
「おねがいします!」
三者三様、反応は違ったが縁はこちらに来たばかりの時の寂しは消えていた。
こちらの世界に来られたことを初めて感謝したのだった。
44
お気に入りに追加
3,696
あなたにおすすめの小説
【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜
N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間)
ハーレム要素あります。
苦手な方はご注意ください。
※タイトルの ◎ は視点が変わります
※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます
※ご都合主義です、あしからず
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される
Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木)
読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!!
黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。
死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。
闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。
そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。
BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)…
連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。
拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。
Noah
偽物の番は溺愛に怯える
にわとりこ
BL
『ごめんね、君は偽物だったんだ』
最悪な記憶を最後に自らの命を絶ったはずのシェリクスは、全く同じ姿かたち境遇で生まれ変わりを遂げる。
まだ自分を《本物》だと思っている愛する人を前にシェリクスは───?
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成)
エロなし。騎士×妖精
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
いいねありがとうございます!励みになります。
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる