神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

文字の大きさ
上 下
292 / 317
群雄進撃編

第291話 ボマー現る!

しおりを挟む
『ライトニング!!』

ディックの能力により、黄金の体は稲妻のような速度で、一気に敵投石機に体当たりを行った。

「イヤッホーゥ!!」

ご機嫌に回転するディックの体当たりに、投石機は次々と吹き飛ばされ、ゴーレム兵もろとも破壊されていく。

全ての投石機の破壊を確認したグリフィーは、再度皆に号令をかける。

「よし!全員あの白いやつへ集中砲火だ!」

「アターック!!」

ワイバーン達は一斉に、城門付近に迫る白起たちへ急降下攻撃を始めたとき、城壁にある投石機が一斉に投石を開始した。

「ハハハ!そんな攻撃当たるかよ!」

笑いながら避けようとするワイバーン達の前で、突如岩が爆発した。

「アウチ!岩が突然爆発したぞ?!」

「ジーザス!岩に『魔法陣』が付いてやがる!」

一斉に飛んでくる岩には、すべて魔法陣が付与しており、ワイバーンの近くで次々と爆散した。

「ファ××ン!まるで高射砲弾のようだ!」

上空で近づけずにいるワイバーンを見て、城壁の縁に立つ男は大笑いをする。

「あひゃひゃひゃひゃ!どーだトカゲ共!俺様の芸術品はすっばらしいだろ~!」

オレンジの囚人服を着た男は、両手を広げて叫ぶ。

「この世界は最高だ―!!俺様のイメージするところに爆弾を仕掛けられるぜ~!」

狂気に笑うその男を、迎えに来た李儒が訝しい顔で話しかける。

「おい『テッド』殿!ここはもういいから、さっさと撤退するぞ!」

李儒がミドルネームで呼んだ瞬間、男は首だけ振り返り叫ぶ。

「あぁ~ん?黙れリ~ジュ!俺をその名で呼ぶなぁ!」

「俺様の名は『ボマー』様だぁ!何度も言わせるな!」

「あひゃひゃひゃひゃー!!」

(こ奴、本当に狂っておる…)

両手を空に広げ、焦点が定まらない眼で嗤う男に、李儒は心の中で呟く。

そんな李儒のもとへ、何もない場所に鏡が現れ、白いうさぎが鏡の中から飛び出してきた。

「たいへんだー!!遅刻する!急がないと間に合わないぞ!」

(やれやれ、こいつはまた鬱陶しいやつが現れた…)

大騒ぎするウサギを見た李儒は、仕方ないと部下に指示を出す。

「おい、ボマーのやつを束縛して帰るぞ!」

李儒の指示に頷き、部下たちは一斉にボマーへバインドを撃ち込む。

「うぐ!貴様ら!むぐぐぐ…!」

顔まで縛られたボマーは、李儒の部下に担がれて鏡の中へと戻った。

「よし!では白ウサギ殿、白起殿の撤退を頼みましたぞ」

そう言い残すと、李儒はそのまま鏡の中へと消えていった。

「待ってくれよ李儒~!ぼくはそんな事をやっている暇はないのに!」

白ウサギも後を追って鏡に入ると、そのまま鏡は消滅した。

ボマーの妨害により、白起たちは一気に城内へと侵入することができた。

(シット!このままじゃ逃げられちまう!)

ディックはワイバーンから人型に戻り、『ライトニング』で桓騎の騎兵団に一気に迫り、両手に持ったマシンガンで火の玉を撃ちまくる。

「くそ!逃げきれない!」

魔力を使い果たし、逃げるのが精いっぱいの騎兵たちは覚悟を決める。

その間を駆け抜けるように、一頭の騎馬が後方のディックに向かって突進する。

「「「頭!」」」

状況を察した桓騎は、踵を返し騎兵隊の殿を担うために戻って来ていた。

「貴様ら!さっさと鏡に入り込め!」

「し、しかし!」

「グズグズするな!魔力が切れた足手まといはさっさと戻れ!」

「「「頭、すんません!!!」」」

桓騎の騎兵は、白起を追ってそのまま撤退していった。

桓騎は馬から降り、マシンガンを撃つディックに向けて次々と氷弾を撃ち込む。

ディックは上空で躱し、桓騎は建物の影に隠れ被弾を防ぐ。

「仲間を先に逃がす為に最後まで戦うとは、なかなかのナイスガイじゃねーか!」

「ふん!俺様はな、俺を信じて付いてきた子分は見捨てねぇ―主義なんだよ!」

桓騎は斧槍でファイヤーボールを弾きながら、建物に隠れながら撤退場所へ移動する。

「そうか!ますます気に入ったぜ!」

「まぁ、逃がしはしねーがな!」

ディックがそう言い終えると同時に、追いついたグリフィーたちが人型となり、桓騎に向けて銃撃を開始した。

ディックたちの銃撃で、完全に動けなくなった桓騎。

(チッ!俺の悪運もここまでか!)

(せめてあの野郎(ディック)だけは、地獄へ道連れにやるぜ!)

桓騎は呼吸を整えて、特攻するタイミングを待つ。

銃声が一斉に止み、桓騎が突撃しようとした瞬間、突然隣から声がする。

「帰るぞ、桓騎」

桓騎が驚いて声がする方向を見ると、白起が鏡とともに立っていた。

「桓騎、お前にしてはよくやった」

「てめぇ、どんだけ上から目線なんだよ!」

怒鳴る桓騎に、白起は僅かに笑みを浮かべる。

(こいつ…笑ったのか?)

そう思った桓騎の思考を遮るように、白ウサギが騒ぎ始める。

(早く!早く!白起のゴーレムが時間を稼いでいるうちに早く!)

ハッとした桓騎がディックたちの方を覗いてみると、五十体以上の光り輝くゴーレムが、リックたちに突っ込み、対処に追われるディックたちは、もはや追撃どころではなくなっていた。

(うそだろ?白起の野郎、俺が盗んだ能力をもう実戦で使いこなしていやがる!)

あきれる桓騎に、白起は静かに呟く。

「亜人連合…なかなか面白いやつらが揃っているな」

振り返った白起は、そのまま鏡の中へと撤退する。

「チッ!クソ亜人国の奴らとトカゲ共!この借りは次逢った時に、キッチリ返させてもらうからな!」

桓騎は舌打ちして、鏡の中へと消えていった。

こうして『ストレンジャーズ』の部隊は、江戸からすべて撤退した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

聖獣達に愛された子

颯希
ファンタジー
ある日、漆黒の森の前に子供が捨てられた。 普通の森ならばその子供は死ぬがその森は普通ではなかった。その森は..... 捨て子の生き様を描いています!! 興味を持った人はぜひ読んで見て下さい!!

処理中です...