神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

文字の大きさ
上 下
286 / 317
群雄進撃編

第285話 江戸城下の大乱闘

しおりを挟む
少し時間は戻り、江戸の町の戦いは激闘が続く。

「この忌々しい鬼共め!さっさとくたばれ!」

「それはこっちの台詞だゴブリン野郎!次々に仲間とゴブリンを呼びやがって!」

木曽義仲と側近の今井兼平、山吹を避難させて合流した樋口兼光(ひぐち・かねみつ)に、彼が率いるホブ・ゴブリン30体、更に『楯親忠(たて・ちかただ)』が、ゴブリン部隊200を引き連れて応援に駆け付けた。

対する新撰組は、左之助率いる十番隊20名と、観柳斎五番隊の計40名で乱戦となっていた。

『我が臣下たちよ!鬼どもを虐殺せよ!』

「「「ウォー!!!」」」

木曽義仲の持つスキル『戦狂解放(せんきょうかいほう)』により、家臣やゴブリン兵たちは一気に高揚し、一時的ではあるが、身体能力が大幅に上昇した。

これにより、普段は新撰組隊士達に難なく倒せるゴブリンたちも、数が多いうえに攻撃力が増した為、苦戦を強いらされる。

(くそ!このままじゃキリがないぜ!)

樋口兼光とホブ・ゴブリン3体を同時に相手しながら、左之助は観柳斎へ叫ぶ。

「おい観柳斎!俺が木曽義仲を一気に倒す!お前の能力で援護しろ!」

楯親忠とホブ・ゴブリン2体に囲まれ、大忙しの観柳斎が返事をする。

「むむ、左之助よ!書生の方が年長にて然るべき立場なれど、君のその言い草たるや相も変わらず、如何にも手に余るものよ!」

「然り!その御提案、書生も一考の上、同意いたしたである!」

「このメガネ!返事が長げーんだよ!」

言い回しの長い観柳斎に、左之助は怒鳴ると同時に、右手に槍を握りしめ義仲に斬り込んだ。

「「させるか!!!」」

阻止しようとする樋口兼光と、義仲を守る今井兼平が左之助の前に立ちはだかる。

観柳斎は、北辰一刀流の構えから肩越し構えと変える。

「いざ受けよ!甲州流軍学の奥義たる『風刃火斬』の妙技を!」

観柳斎が横払いを繰り返すと同時に、楯親忠とホブ・ゴブリンの目の前に風の真空斬が乱舞する。

「ぐっ!この!」

「グォー!!」

楯親忠とホブ・ゴブリンは、無数に来る風の刃を、刀と自らの腕で受け止める。

その隙を突き、観柳斎は一気に駆け出し、下段脇構えから炎の斬撃を、兼光と兼平に次々と飛ばす。

「猪口才な!」

二人は炎斬を刀で弾いこうとするが、刀に触れた瞬間に爆散し、あちこちに火の弾が飛び散る。

「熱っ!兼平斬るな!躱すぞ!」

「承知した!」

二人は飛んでくる炎撃を全て躱し、地面や建物に着弾した炎撃は、そのまま炎を上げ燃え上がる。

「おのれ!あの槍使いはどこに行った?!」

二人はハッとし義仲の方を見ると、そこでは既に義仲へ左之助が突進していた。

「ゴブリン・キング!貴様の命運もここまでだ!」

「黙れ!俺様を種族名で呼ぶな!」

怒れる義仲に、左之助は一気にスキルの射程へと入る。

左之助が持つ十文字槍の先端が光を放ち、槍先の動きが残像を描き始める。

「くらえ!」

「『種子田宝蔵院流』奥義!天穿裂破(てんせんれっぱ)!」

突きだした左之助の槍先から風圧と衝撃波が放たれ、義仲を守るようにして立つゴブリンと義仲は一瞬で四方に吹き飛ばされた。

「ぐふっ…」

義仲は建物の壁に衝突し、座り込んだ状態で意識を失う。

それと共に、部下たちに掛かっていたバフも一気に解ける。

気を失った義仲の前に、槍を肩に乗せた左之助が構える。

「よせ!我々は降伏するから、義仲様の命だけは!」

懇願する兼平たちの言葉を、左之助は一蹴する。

「うるせぇ!てめーら、江戸の町をメチャクチャにしやがって!」

「とりあえず、死んで償え!」

「「「義仲様―!!」」」

義仲の家臣たちの悲壮な声とともに、左之助は槍を一気に振り下ろした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

聖獣達に愛された子

颯希
ファンタジー
ある日、漆黒の森の前に子供が捨てられた。 普通の森ならばその子供は死ぬがその森は普通ではなかった。その森は..... 捨て子の生き様を描いています!! 興味を持った人はぜひ読んで見て下さい!!

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...