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群雄進撃編
第285話 江戸城下の大乱闘
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少し時間は戻り、江戸の町の戦いは激闘が続く。
「この忌々しい鬼共め!さっさとくたばれ!」
「それはこっちの台詞だゴブリン野郎!次々に仲間とゴブリンを呼びやがって!」
木曽義仲と側近の今井兼平、山吹を避難させて合流した樋口兼光(ひぐち・かねみつ)に、彼が率いるホブ・ゴブリン30体、更に『楯親忠(たて・ちかただ)』が、ゴブリン部隊200を引き連れて応援に駆け付けた。
対する新撰組は、左之助率いる十番隊20名と、観柳斎五番隊の計40名で乱戦となっていた。
『我が臣下たちよ!鬼どもを虐殺せよ!』
「「「ウォー!!!」」」
木曽義仲の持つスキル『戦狂解放(せんきょうかいほう)』により、家臣やゴブリン兵たちは一気に高揚し、一時的ではあるが、身体能力が大幅に上昇した。
これにより、普段は新撰組隊士達に難なく倒せるゴブリンたちも、数が多いうえに攻撃力が増した為、苦戦を強いらされる。
(くそ!このままじゃキリがないぜ!)
樋口兼光とホブ・ゴブリン3体を同時に相手しながら、左之助は観柳斎へ叫ぶ。
「おい観柳斎!俺が木曽義仲を一気に倒す!お前の能力で援護しろ!」
楯親忠とホブ・ゴブリン2体に囲まれ、大忙しの観柳斎が返事をする。
「むむ、左之助よ!書生の方が年長にて然るべき立場なれど、君のその言い草たるや相も変わらず、如何にも手に余るものよ!」
「然り!その御提案、書生も一考の上、同意いたしたである!」
「このメガネ!返事が長げーんだよ!」
言い回しの長い観柳斎に、左之助は怒鳴ると同時に、右手に槍を握りしめ義仲に斬り込んだ。
「「させるか!!!」」
阻止しようとする樋口兼光と、義仲を守る今井兼平が左之助の前に立ちはだかる。
観柳斎は、北辰一刀流の構えから肩越し構えと変える。
「いざ受けよ!甲州流軍学の奥義たる『風刃火斬』の妙技を!」
観柳斎が横払いを繰り返すと同時に、楯親忠とホブ・ゴブリンの目の前に風の真空斬が乱舞する。
「ぐっ!この!」
「グォー!!」
楯親忠とホブ・ゴブリンは、無数に来る風の刃を、刀と自らの腕で受け止める。
その隙を突き、観柳斎は一気に駆け出し、下段脇構えから炎の斬撃を、兼光と兼平に次々と飛ばす。
「猪口才な!」
二人は炎斬を刀で弾いこうとするが、刀に触れた瞬間に爆散し、あちこちに火の弾が飛び散る。
「熱っ!兼平斬るな!躱すぞ!」
「承知した!」
二人は飛んでくる炎撃を全て躱し、地面や建物に着弾した炎撃は、そのまま炎を上げ燃え上がる。
「おのれ!あの槍使いはどこに行った?!」
二人はハッとし義仲の方を見ると、そこでは既に義仲へ左之助が突進していた。
「ゴブリン・キング!貴様の命運もここまでだ!」
「黙れ!俺様を種族名で呼ぶな!」
怒れる義仲に、左之助は一気にスキルの射程へと入る。
左之助が持つ十文字槍の先端が光を放ち、槍先の動きが残像を描き始める。
「くらえ!」
「『種子田宝蔵院流』奥義!天穿裂破(てんせんれっぱ)!」
突きだした左之助の槍先から風圧と衝撃波が放たれ、義仲を守るようにして立つゴブリンと義仲は一瞬で四方に吹き飛ばされた。
「ぐふっ…」
義仲は建物の壁に衝突し、座り込んだ状態で意識を失う。
それと共に、部下たちに掛かっていたバフも一気に解ける。
気を失った義仲の前に、槍を肩に乗せた左之助が構える。
「よせ!我々は降伏するから、義仲様の命だけは!」
懇願する兼平たちの言葉を、左之助は一蹴する。
「うるせぇ!てめーら、江戸の町をメチャクチャにしやがって!」
「とりあえず、死んで償え!」
「「「義仲様―!!」」」
義仲の家臣たちの悲壮な声とともに、左之助は槍を一気に振り下ろした。
「この忌々しい鬼共め!さっさとくたばれ!」
「それはこっちの台詞だゴブリン野郎!次々に仲間とゴブリンを呼びやがって!」
木曽義仲と側近の今井兼平、山吹を避難させて合流した樋口兼光(ひぐち・かねみつ)に、彼が率いるホブ・ゴブリン30体、更に『楯親忠(たて・ちかただ)』が、ゴブリン部隊200を引き連れて応援に駆け付けた。
対する新撰組は、左之助率いる十番隊20名と、観柳斎五番隊の計40名で乱戦となっていた。
『我が臣下たちよ!鬼どもを虐殺せよ!』
「「「ウォー!!!」」」
木曽義仲の持つスキル『戦狂解放(せんきょうかいほう)』により、家臣やゴブリン兵たちは一気に高揚し、一時的ではあるが、身体能力が大幅に上昇した。
これにより、普段は新撰組隊士達に難なく倒せるゴブリンたちも、数が多いうえに攻撃力が増した為、苦戦を強いらされる。
(くそ!このままじゃキリがないぜ!)
樋口兼光とホブ・ゴブリン3体を同時に相手しながら、左之助は観柳斎へ叫ぶ。
「おい観柳斎!俺が木曽義仲を一気に倒す!お前の能力で援護しろ!」
楯親忠とホブ・ゴブリン2体に囲まれ、大忙しの観柳斎が返事をする。
「むむ、左之助よ!書生の方が年長にて然るべき立場なれど、君のその言い草たるや相も変わらず、如何にも手に余るものよ!」
「然り!その御提案、書生も一考の上、同意いたしたである!」
「このメガネ!返事が長げーんだよ!」
言い回しの長い観柳斎に、左之助は怒鳴ると同時に、右手に槍を握りしめ義仲に斬り込んだ。
「「させるか!!!」」
阻止しようとする樋口兼光と、義仲を守る今井兼平が左之助の前に立ちはだかる。
観柳斎は、北辰一刀流の構えから肩越し構えと変える。
「いざ受けよ!甲州流軍学の奥義たる『風刃火斬』の妙技を!」
観柳斎が横払いを繰り返すと同時に、楯親忠とホブ・ゴブリンの目の前に風の真空斬が乱舞する。
「ぐっ!この!」
「グォー!!」
楯親忠とホブ・ゴブリンは、無数に来る風の刃を、刀と自らの腕で受け止める。
その隙を突き、観柳斎は一気に駆け出し、下段脇構えから炎の斬撃を、兼光と兼平に次々と飛ばす。
「猪口才な!」
二人は炎斬を刀で弾いこうとするが、刀に触れた瞬間に爆散し、あちこちに火の弾が飛び散る。
「熱っ!兼平斬るな!躱すぞ!」
「承知した!」
二人は飛んでくる炎撃を全て躱し、地面や建物に着弾した炎撃は、そのまま炎を上げ燃え上がる。
「おのれ!あの槍使いはどこに行った?!」
二人はハッとし義仲の方を見ると、そこでは既に義仲へ左之助が突進していた。
「ゴブリン・キング!貴様の命運もここまでだ!」
「黙れ!俺様を種族名で呼ぶな!」
怒れる義仲に、左之助は一気にスキルの射程へと入る。
左之助が持つ十文字槍の先端が光を放ち、槍先の動きが残像を描き始める。
「くらえ!」
「『種子田宝蔵院流』奥義!天穿裂破(てんせんれっぱ)!」
突きだした左之助の槍先から風圧と衝撃波が放たれ、義仲を守るようにして立つゴブリンと義仲は一瞬で四方に吹き飛ばされた。
「ぐふっ…」
義仲は建物の壁に衝突し、座り込んだ状態で意識を失う。
それと共に、部下たちに掛かっていたバフも一気に解ける。
気を失った義仲の前に、槍を肩に乗せた左之助が構える。
「よせ!我々は降伏するから、義仲様の命だけは!」
懇願する兼平たちの言葉を、左之助は一蹴する。
「うるせぇ!てめーら、江戸の町をメチャクチャにしやがって!」
「とりあえず、死んで償え!」
「「「義仲様―!!」」」
義仲の家臣たちの悲壮な声とともに、左之助は槍を一気に振り下ろした。
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