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群雄進撃編
第274話 窮地の清正
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「いくぞ!」
速度が格段に上がった呼延灼は、一気に清正の家臣たちを叩き飛ばす。
その一撃で、腕や首が吹き飛ぶ清正の家臣たち。
(しまった!やり過ぎた!)
(いや、この手ごたえは何だ?まるで土塊を殴るような…)
(これは…まさか…ゴーレムか?)
腕や頭が吹き飛ばされても襲い掛かってくる、清正たちとの戦いで呼延灼は確信した。
(間違いない!清正殿と同じスキルを使ってくるゴーレムたちだ!)
(どおりで私のスキルが利かぬはず…)
そうとわかった呼延灼は、清正たちのゴーレムを一気に叩き潰し、全てを土へと返した。
(と言う事は、清正殿はまだ桓騎と戦っているはず!)
呼延灼は耳を澄まし、全集中で周りを聞き入ると、数百メートル離れた先から怒声と金属がぶつかり合う音が聞こえた。
(見つけた!今助けに行くぞ!)
闘いの場所を察知した呼延灼は、次の戦場めがけて一目散に走り出す。
同じころ、清正もまた苦境に立たされていた。
(くそ!体が鉛のように重くて、思うように動かん!)
清正たちは土塊の呼延灼による『重力撃』の攻撃を受け、半数の者が立てなくなっていた。
「皆の者!動ける奴は土塊の呼延灼将軍を狙え!」
「あれを討ち果たせば、この重力の呪縛より解き放たれようぞ!」
「「「応!」」」
家臣たちは一斉に呼延灼のゴーレムに飛び掛かるが、その強さは呼延灼と変わらぬため、双鞭に弾かれ、更に重さは増していき、遂には全員が倒れてしまった。
「さてと、じゃあお前の家臣には『凍漬け』にでもなってもらおう!」
『フリーズ!』
桓騎の氷結魔法で、土塊の呼延灼もろとも、倒れた家臣団は全て氷の中に閉じ込められた。
「ぎゃははは!これでお前の家臣共は全滅だ!」
「覚悟いたせ!貴様、この命にて討ち果たしてくれる!」
清正の言葉に桓騎はヘッ!と返事して、氷をショットガンのように放出した後、清正に斬り込んだ。
桓騎の猛撃にひたすら耐える清正。
「おい!どうしたとんがり頭!」
「お前のお友達のスキル攻撃を喰らってから、てんで弱くなっちまったな!」
「口を慎め、毛むくじゃらの下郎め!」
桓騎はニヤ付きながら、動きが鈍い清正に攻撃を仕掛け続ける。
「ははは!お前その体でよく俺様の攻撃を凌げるな!」
「いま降伏するなら、特別に俺の副将にしてやるぞ?ん~?」
「ほざけ!貴様のような悪党虎など、我が名『虎退治の虎之助』が成敗してくれようぞ!」
「ぎゃははは!じゃあその虎に退治されて死ね!」
本来であれば、桓騎の槍撃や魔法を清正は避けたいのだが、呼延灼のスキル効果により体が重くて思うように動かない。
結果、桓騎の攻撃を全て槍で受け止めることになり、その行為は清正自身の体力を徐々に削っていく。
「へいへいとんがり~!桓騎様の攻撃を全て受けるとはすごいね~!」
「それとも、体が重くて避ける事も出来ないのかな~?」
桓騎の部下たちは加勢せず、清正がなぶられているのを楽しんで見ている。
「どうした貴様?得意の土魔法は出さんのか?」
言われなくても、清正は最初から土壁を出そうとしているのだが、術が全く発動できずにいた。
「それとも、何かあって魔法が使えないのかな?」
笑って答える桓騎の言葉で、清正は確信した。
(そうか!白起か桓騎の能力で、儂と呼延灼殿のスキルを奪われたのか!)
(さても、これは拙き状況に陥ったものよ!)
(この状況で半獣化を果たすは危うきことよ…されど、背に腹は代えられぬ!致し方なし!)
清正は覚悟を決めて、半獣化になろうとする。
「この時を待っておったぞ!」
桓騎はすかさず突きを繰り出し、清正の外皮である鎧を突き抜け、腹に刺さった。
「うぐっ!」
清正は短く呻き声を上げて、後方に吹き飛ばされた。
槍を杖に、片膝で立ちあがる清正。
「ははは!その鎧のお陰で致命傷にはならなかったが、もう戦闘は出来なさそうだな?」
桓騎の後方には再び現れた土塊の呼延灼と、桓騎の部下たちが並ぶ。
桓騎はひとり斧槍を右肩に担ぎ、清正に近づき耳元で囁く。
「清正とやら、貴様は強い!」
「だからもう一度だけ聞く!仲間になって、この世界を俺たちの物にしないか?」
「そうすれば、仲間もみな助かるぞ?」
清正は肩で息をしながらも、桓騎の言葉に薄ら笑いを浮かべる。
「お前らと世界を頂く…悪くない話だな…」
「仲間になるのだな?」
そう聞き直す桓騎に、清正は素早く脇差しを抜き歓喜の脇腹を狙う。
だがその刃は寸前で桓騎に握られ、脇腹まで届く事はなかった。
「残念だったな、俺様はお前が仲間になるなど、これっぽっちも思っていなかったのでな!」
桓騎は清正の手首を返し、そのまま穴の開いた鎧の部分へと刃を入れこんでいく。
「じゃあな清正、先にあの世で仲間が来るのを待っておれ!」
「…黙れ毛むくじゃら!…獣臭い息で…話しかけるな!」
清正は全力で抵抗するも、桓騎の怪力に加えスキルの影響で徐々に押し込まれていく。
(クッ、もうだめか…)
清正は覚悟を決める。
速度が格段に上がった呼延灼は、一気に清正の家臣たちを叩き飛ばす。
その一撃で、腕や首が吹き飛ぶ清正の家臣たち。
(しまった!やり過ぎた!)
(いや、この手ごたえは何だ?まるで土塊を殴るような…)
(これは…まさか…ゴーレムか?)
腕や頭が吹き飛ばされても襲い掛かってくる、清正たちとの戦いで呼延灼は確信した。
(間違いない!清正殿と同じスキルを使ってくるゴーレムたちだ!)
(どおりで私のスキルが利かぬはず…)
そうとわかった呼延灼は、清正たちのゴーレムを一気に叩き潰し、全てを土へと返した。
(と言う事は、清正殿はまだ桓騎と戦っているはず!)
呼延灼は耳を澄まし、全集中で周りを聞き入ると、数百メートル離れた先から怒声と金属がぶつかり合う音が聞こえた。
(見つけた!今助けに行くぞ!)
闘いの場所を察知した呼延灼は、次の戦場めがけて一目散に走り出す。
同じころ、清正もまた苦境に立たされていた。
(くそ!体が鉛のように重くて、思うように動かん!)
清正たちは土塊の呼延灼による『重力撃』の攻撃を受け、半数の者が立てなくなっていた。
「皆の者!動ける奴は土塊の呼延灼将軍を狙え!」
「あれを討ち果たせば、この重力の呪縛より解き放たれようぞ!」
「「「応!」」」
家臣たちは一斉に呼延灼のゴーレムに飛び掛かるが、その強さは呼延灼と変わらぬため、双鞭に弾かれ、更に重さは増していき、遂には全員が倒れてしまった。
「さてと、じゃあお前の家臣には『凍漬け』にでもなってもらおう!」
『フリーズ!』
桓騎の氷結魔法で、土塊の呼延灼もろとも、倒れた家臣団は全て氷の中に閉じ込められた。
「ぎゃははは!これでお前の家臣共は全滅だ!」
「覚悟いたせ!貴様、この命にて討ち果たしてくれる!」
清正の言葉に桓騎はヘッ!と返事して、氷をショットガンのように放出した後、清正に斬り込んだ。
桓騎の猛撃にひたすら耐える清正。
「おい!どうしたとんがり頭!」
「お前のお友達のスキル攻撃を喰らってから、てんで弱くなっちまったな!」
「口を慎め、毛むくじゃらの下郎め!」
桓騎はニヤ付きながら、動きが鈍い清正に攻撃を仕掛け続ける。
「ははは!お前その体でよく俺様の攻撃を凌げるな!」
「いま降伏するなら、特別に俺の副将にしてやるぞ?ん~?」
「ほざけ!貴様のような悪党虎など、我が名『虎退治の虎之助』が成敗してくれようぞ!」
「ぎゃははは!じゃあその虎に退治されて死ね!」
本来であれば、桓騎の槍撃や魔法を清正は避けたいのだが、呼延灼のスキル効果により体が重くて思うように動かない。
結果、桓騎の攻撃を全て槍で受け止めることになり、その行為は清正自身の体力を徐々に削っていく。
「へいへいとんがり~!桓騎様の攻撃を全て受けるとはすごいね~!」
「それとも、体が重くて避ける事も出来ないのかな~?」
桓騎の部下たちは加勢せず、清正がなぶられているのを楽しんで見ている。
「どうした貴様?得意の土魔法は出さんのか?」
言われなくても、清正は最初から土壁を出そうとしているのだが、術が全く発動できずにいた。
「それとも、何かあって魔法が使えないのかな?」
笑って答える桓騎の言葉で、清正は確信した。
(そうか!白起か桓騎の能力で、儂と呼延灼殿のスキルを奪われたのか!)
(さても、これは拙き状況に陥ったものよ!)
(この状況で半獣化を果たすは危うきことよ…されど、背に腹は代えられぬ!致し方なし!)
清正は覚悟を決めて、半獣化になろうとする。
「この時を待っておったぞ!」
桓騎はすかさず突きを繰り出し、清正の外皮である鎧を突き抜け、腹に刺さった。
「うぐっ!」
清正は短く呻き声を上げて、後方に吹き飛ばされた。
槍を杖に、片膝で立ちあがる清正。
「ははは!その鎧のお陰で致命傷にはならなかったが、もう戦闘は出来なさそうだな?」
桓騎の後方には再び現れた土塊の呼延灼と、桓騎の部下たちが並ぶ。
桓騎はひとり斧槍を右肩に担ぎ、清正に近づき耳元で囁く。
「清正とやら、貴様は強い!」
「だからもう一度だけ聞く!仲間になって、この世界を俺たちの物にしないか?」
「そうすれば、仲間もみな助かるぞ?」
清正は肩で息をしながらも、桓騎の言葉に薄ら笑いを浮かべる。
「お前らと世界を頂く…悪くない話だな…」
「仲間になるのだな?」
そう聞き直す桓騎に、清正は素早く脇差しを抜き歓喜の脇腹を狙う。
だがその刃は寸前で桓騎に握られ、脇腹まで届く事はなかった。
「残念だったな、俺様はお前が仲間になるなど、これっぽっちも思っていなかったのでな!」
桓騎は清正の手首を返し、そのまま穴の開いた鎧の部分へと刃を入れこんでいく。
「じゃあな清正、先にあの世で仲間が来るのを待っておれ!」
「…黙れ毛むくじゃら!…獣臭い息で…話しかけるな!」
清正は全力で抵抗するも、桓騎の怪力に加えスキルの影響で徐々に押し込まれていく。
(クッ、もうだめか…)
清正は覚悟を決める。
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