神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第272話 常勝将軍の登場

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「遅かったな、お前らが来るのを待ちわびていたぞ!」

「あまりにも暇だったから、襲い掛かってきたお前らの仲間を返り討ちにしておいたぜ!」

黒い虎の体に、同じく黒い鎧に身を包んだ獣人武将は、笑いながら答える。

「うう…」

「あぁ、た、たすけて…」

よくみると、彼らの足元に転がる兵には、まだ息がある者もいた。

「何だお前ら、まだ生きていたのか?」

そう言い放った武将の一人は、馬上で次々と瀕死の藩兵たちを槍で刺し始めた。

「うぎゃー!う、腕が―!」

「痛い!痛い!」

「ぎゃはははは!」

馬上の武将は、あえて一撃で殺さずに、手や足などを突き刺し倒れた兵をいたぶり始めた。

「ち、ちくしょおー!」

「くそ!一思いに殺せー!」

死ぬことも許されず苦しむ敵兵の姿を見て、その武将は歓喜する。

「いい!お前らいいぞ!」

「その苦しさから解き放たれたいが為に、トドメを懇願する顔が実にたまらん!」

「おい、お前たちもやれ!」

「「ハハッ!」」」

武将の指示に従い、その部下20名ほども倒れた兵に槍を突き立てた。

「おのれ!貴様ら許さん!」

「待て!早まるな!」

家臣が飛び出そうとするのを制止する清正であるが、槍を持つ手は怒りに震えていた。

「やめろ桓騎(かんき)」

「元・野盗の貴様のせいで、我が軍の品性が疑われる」

兵たちの一番後ろから、白い鎧に身を纏った大男は、黒鎧の男へ静かに言い放った。

「あぁ!貴様、何俺に向かって命令してやがるんだ!」

黒鎧の男・桓騎は、白鎧の大男を睨みつけるが、男は微動だにせず、黒鎧の男を冷徹な目で見据えていた。

「チッ!くそが!」

そう短く返事をすると、桓騎は配下に目配りし、苦しむ敵兵の胸を次々と貫いて止めを刺した。

「へっ!これでいいんだろう?」

「さすがは無抵抗の敵兵40万人を生き埋めにした男だ!俺の10万人とは桁が違う!」

「元・野盗の男に、敵兵40万人を生き埋めにした男?!」

桓騎の言葉を聞き、呼延灼と清正は、この二人が前世の何者なのかを理解する。

桓騎は白鎧の男を挑発するも、男は眉一つ動かさない。

「チッ!何考えているのか分かんねぇし、ムカつく奴だぜ!」

桓騎が悪態を吐き終わると同時に、白鎧の男はゆっくりと前に出てきた。

「亜人国の将たちよ!私の名は『白起(はくき)』!前世では秦国の将軍を務めていた」

「いまは異世界傭兵団『ストレンジャーズ』地上軍団すべてを取り纏めておる」

「そして俺様の名は『桓騎(かんき)』!」

同じく異世界傭兵団『ストレンジャーズ』歩兵軍団長の一人だ!」

二人の名乗りを聞き、やはりかと思う二人。

「殿、あの二人は何者でござるか?」

家臣『鵤平次(いかるが・へいじ)』の質問に、清正は答える。

「白鎧の大男『白起』とは、中国の戦国時代で活躍した名将じゃ」

「その戦略・戦術はずば抜けており、『戦国4大名将』の一人に数えられておる」

「もう一人の素行が悪いやつは『桓騎』と言い、敵を倒す為ならどのような手段でも取るやつじゃ」

「なるほど、さすがは殿!博識でございますな!」

清正の説明に、感心する平次。

「…お前はもう少し学を付けよ」

平次を怒る清正のやり取りを見て、白起は笑みを浮かべる。

「ほう、ただの武骨者たちかと思ったが、多少知識があるものがおるようじゃな?」

「よし桓騎、少し相手をしてやれ!」

白起の命令に、あらかさまに怒った顔で返事をする桓騎。

「チッ!だから俺に命令するな!」

桓騎は不満をあらわにしながらも、配下の騎兵20名ほど連れて前に出てくる。

「おい雑魚共!この桓騎様が相手してやるので、死にたい奴からかかってこい!」

この言葉に、呼延灼と清正が共に見合って頷き、名乗りを上げる。

「我こそは呼延灼!」

「我こそは加藤清正!」

「いざ、尋常に勝負!」」

呼延灼と清正たちは、桓騎軍とぶつかった。
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