神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第270話 江戸攻略戦6

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「うむ!書生こう見えて、『北辰一刀流』免許皆伝なのだよ!」

刀を収めた武田観柳斎は、倒れた山吹御前を見下しどや顔で言い放つ。

「山吹-!!」

倒れた山吹の姿を見た義仲は、左之助との一騎打ちの途中にも関わらず、山吹の方へと向かおうとする。

「てめぇ、この左之助様とやり合っている途中で、人の心配ができるとは随分と余裕だな!」

「だまれ!そこを退け!」

義仲は一気に左之助を討ち取ろうとするが、左之助は斬撃の猛攻を軽くあしらう。

(こいつ…口だけじゃなく強い!)

(このままでは、山吹がメガネに討たれてしまう!)

義仲の心中を見越したように、左之助は更に挑発する。

「なんだ?木曽義仲ってやつも、顔以外は大した事ないな!」

「貴様ーっ!許さん!」

義仲は更に刀の速度を上げて、左之助に激しく襲い掛かる。

(単純な奴だなこいつ!怒りに我を忘れていやがる!)

(いや、あの女武将を一早く助けたい気持ちからの焦りかもしれぬな!)

そうは言っても、左之助たちも状況は同じである。

(俺もさっさとこいつを倒して、本丸に向かわねぇとな!)

意を決した左之助は『半獣化』し、牙と角が生えた程度の人型から、体格がひと回り大きくなる鬼よりの姿と変貌する。

「木曾義仲!そろそろ決めさせてもらうぞ!」

左之助がそう宣言する目の前に、美形の男ではなく緑色の体をした大男が立っていた。

「そうか、貴様も半獣化したのか!」

左之助の強さを目の当たりにし、人型の姿では勝てないと判断した義仲もまた『半獣化』し、一気に勝負に出た。

「しかも、色男の正体が『ゴブリン・キング』とはな!」

「悪役のお前にぴったりの姿だな!」

「黙れ!俺様のこの姿を見た以上、生きては返さん!」

義仲の刀は光を帯び、再度左之助に斬撃が再度襲う。

「やるじゃねぇか!さっきよりも剣速が格段に上がった!」

「だがしかし!」

そう話すと、左之助は一瞬で義仲の目の前に踏み込み、胸ぐらを掴んで投げ飛ばす。

義仲は一回転しつつ体勢をすぐ立て直そうとするが、左之助は起き上がろうとする義仲に次々と突きを繰り出し、義仲は構えを取れず躱すのに精一杯となる。

(信じられん!この俺様が攻撃も出来ずにいるだと?!)

左之助の隙の無い攻撃に、驚きを隠せない義仲。

そもそも、左之助たち新撰組の幹部・組長たちは、戦闘に特化した鬼族の上に、進化を終えた地点で鬼人となっていた。

更に左之助には、新撰組で培った他流派との戦い方や戦術なども合わさり、同じ半獣化したゴブリン・キングの義仲よりも『個の戦闘能力』で幾つも上をいっていた。

左之助の高速でありつつも力強い突きは、先ほどまで義仲がいた場所の地面を次々と貫く。

(このままではまずい!)

義仲がそう思いはじめたとき、何かに気付いた左之助は、突然槍を頭上で回転させ始める。

その槍にはじかれて、次々と地面に落ちる弓矢。

左之助は槍を回しながら後ろへと飛び退き、入れ替わるように弓矢が地面に刺さる。

「誰だ!俺たちの戦いに水を差す奴は!」

怒った左之助と義仲の間に、一人の武将が割って入る。

「義仲様!ご無事で!」

「おお、兼平!来てくれたか!」

木曽義仲の窮地に現れたのは、木曾四天王の一人・『今井兼平(いまい・かねひら)』であった。

「兼平!俺は山吹を助けに行くので、暫くこやつの相手を頼む!」

そう言って、義仲が山吹の倒れていた方角を見ると、既に義仲の部下たちが観柳斎の部隊と戦闘を行っていた。

「ご安心くだされ!奥方は既に兄・『樋口兼光(ひぐち・かねみつ)』が助け出しております!」

「そうか、助かった!」

「ならば!」

義仲と兼平は刀を構え、左之助と対峙する。

「左之助とやら!貴様は強い!」

「しかしここは戦場!我々は勝利を優先させて頂く!」

構える二人に、左之助も構え直す。

(すまねえ誾千代、どうやらすぐ応援には行けそうにもねぇ…)

「「いざ!!」」

心の中で呟いた左之助に、二人は掛け声とともに斬りかかってきた。
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