神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第266話 江戸上空の戦い

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江戸城まであと5㎞と迫る場所で、日ノ本と亜人連合が激突する中、江戸城上空では2000の僧兵たちが二人の戦士と対峙していた。

「久しぶりだな!粗忽者の味噌汁戦士!」

頼廉の挨拶に僧兵たちは大爆笑し、誾千代は薙刀を立てた状態で目を瞑り、怒りに震えていた。

「ち、千代ちゃん、怒っちゃだめだよ?」

杖を背負い、まぁまぁの仕草をする吟子の一言で、誾千代はついにブチ切れる。

「ギンコー!!もとはと言えばあんたの言い間違いのせいで、うちらが『おっちょこちょいの汁物戦士』みたいな名前になったんでしょうが!!」

「ひ~っ!ご、ごめんなさい~!!」

誾千代の怒鳴り声に、吟子はしゃがみ込み頭を抱えてうずくまる。

「ははははは!いいぞ!やれやれ~!!」

「お前たちは戦士より漫才をやった方がお似合いじゃぞ!!」

大爆笑する僧兵たちの声に怒った誾千代は、顔を上げ正面にいる下間頼廉を睨みつける。

その顔を見た頼廉は異変に気付く。

(うん?あいつが目に掛けている物は?)

顔を上げた誾千代は、ジョン・レノンが愛用した例の丸サングラスを掛けてニッ!と歯を見せて笑う。

「しまった!罠だ!!」

瞬間に、吟子は例の如く太陽のように光を放つ。

(くそ!また引っ掛かってしまった!)

初戦と同じく、僧兵たちはまた目潰しを喰らってしまった。

「おい!学習能力のないこのハゲ坊主共!」

「あんたら、よくもうちらを笑いものにしてくれたね!」

「えぇ、それって私が…」

「何?!」

「い、いえ、何でもないですぅ…」

何か言いたそうな吟子だったが、誾千代に凄まれて黙ってしまう。

「何か仕掛けてくるぞ!気を付けろ!」

目潰しを喰らった僧兵たちは、見えないまま身構える。

誾千代は薙刀を背負い直し、腰に付けた刀を天に掲げると、サングラスを掛けた誾千代の上空に雷雲が現れた。

「行けー!雷たちー!」

誾千代の固有スキル『雷切(かみきり)』が発動し、無数の雷が一気に僧兵たちの中を突き抜け、城壁の避雷針へと落ちた。

「がはっ…」

「ギギギ…」

落雷の直撃を受けた僧兵たちは、上空から次々と墜落していった。

「お、お、おの…れ…!」

下間頼廉の視力は回復していたが、電撃を受けた為に浮いているのがやっとであった。

(だめだ…意識が飛びそうだ…)

朦朧とする意識の頼廉に、誾千代は近づきそっと頬をなでる。

「さすがは本願寺の名高き猛将・下間頼廉ちゃん!うちの固有スキル使っても、ま~だ浮いていられるなんてね!」

(儂の事を知っている?重秀殿が話した?)

(固有スキルって何なのだ?…)

混乱する頼廉の太股に、激痛が走る。

「うぐっ!」

誾千代の麻痺針を受けた瞬間に、頼廉の意識は完全に飛んだ。

「あはっ!やっぱうちって、ツキノ様の次に最強じゃん!」

倒した頼廉を肩に担ぎ、自身の強さを確信する誾千代。

「は、はい!でも巴様達も結構やばいかと…」

吟子の言葉を、鼻で笑う誾千代。

「あー、脳筋巴と、半端もんのコメ女(小松姫)と、ボッチの八重なんか、最初から相手じゃないからねw」

「そ、それならいいんですけど…なんか3人が陰で『沸点が低い誾千代は、ツキノ様四天王の面汚し』とか言っていたのを聞いたので…」

『あいつら…今度会ったらクッ殺す!!』

オドオドしながら、悪気なく燃料を投下する吟子の言葉を聞き、誾千代はブチ切れていた。

「ひぃ!よ、余計なこと言ってごめんなさい!」

「うっさい!さっさと帰るよ!」

「は、はいぃ」

二人はそのまま頼廉を抱え、江戸城へと帰って行った。
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