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群雄進撃編
第264話 江戸城攻略戦3
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菅野隊の撤退を、中軍の陣地で確認した宇喜多秀家は、席を立ち扇子を叩く。
「敵飛行隊の攻撃が終わった!こちらも龍を出して攻勢に出よ!」
秀家の号令で、治療中である2頭の龍を残し、残りの龍2頭が空母から飛び立った。
前線より『龍、飛び立つ』の信号を受信し、迎撃のため横浜から関小隊が緊急離陸を行う。
本来であれば、ここで源田参謀と坂井が時間差で飛び立ち、断続的に制空権を取ることが可能であったのだが、先の戦闘で源田参謀が負傷し、左手再生術の為長沙城へと赴いている。
このため部隊数が足りず、また飛行時間が短い為に、関小隊は龍の出撃ギリギリに合わせ牽制として出撃した。
関小隊は急いで龍との接触地点になるであろう海岸付近へと到着するが、肝心の龍がどこにも見当たらない。
「こちら関小隊、接触地点に龍は無し!」
関小隊は付近を捜索するが、やがて魔力が尽き撤退する。
龍使いの下間頼照は、亜人連合の飛行隊が撤退するのを見届けた後、あらかじめ穴を掘って隠していた龍を再び出撃させた。
(奴らの飛行隊は三部隊で、そのうち一部隊は重傷を負ったのか、それ以後一度も現れておらぬ)
(亜人共め!今日で一気に行かせてもらうぞ!)
日ノ本の龍たちは、障壁の上空付近へと一気に進撃した。
「龍だ!龍が現れた!」
「全員、塹壕の中に身を隠せ!」
前線を指揮する清正の家臣・『貴田孫兵衛(きだ・まごべえ)』はすぐさま号令し、兵たちは塹壕に隠れ、盾を並べて龍のブレスに備える。
「ははは!無駄なことを!」
「盾の上から皆焼き殺してくれるわ!!」
下間頼照が龍に攻撃の号令をかけようとした瞬間、上空から空気を振動する音が聞こえ始める。
(なんじゃ?このような音初めて聞くぞ?)
龍に乗った頼照は上空を見あげると、五つの影が雲から姿を現す。
「しまった!敵の飛行隊が来たぞ!!」
頼照がそう言い切る前に、五つの機体はそのまま龍の横を通過し、もう一頭の龍が悲鳴を上げて、うねりながら苦しみ始める。
(やられた!奴らまだ飛行隊を隠しておった!)
その姿を見た雑賀衆は、5人一組となり龍を守る様にして立ちはだかる。
「奴らのカラクリは速いが、その分小回りが利かない!」
「敵の正面に立ち、操るものを狙い撃て!」
現在行方不明である鈴木重秀に代わり、采配する息子・鈴木重朝は、父に負けず劣らずの統率を発揮し、雑賀衆も彼を新たな雑賀孫一として認めていた。
しかし重朝の予想に反して、五機は全て地上部隊の援護へと向かった。
「何じゃと?龍が狙いではないのか?!」
重朝がそう思ったとき、更に上空から先ほどと同じ振動音が聞こえる。
「新手か?」
即座に見上げる雑賀衆たちだが、敵の機影が太陽と重なってしまい、見る事ができない。
「しまった!敵が見えぬ!」
その瞬間、ドン!と音が辺りに響き渡り、同時に龍の頭上に乗っていた下間頼照は吹き飛ばされ、龍の頭に大きな穴が開いた。
「頼照殿!!」
重朝が絶叫を上げるものの、下間頼照の上半身は吹き飛ばされて、そのまま地上へと墜落していった。
下間頼照と龍を倒した機体は、そのまま旋回し再び上空へと上昇する。
「奴を再び昇らせるな!奴の進む少し先を狙って狙撃せよ!」
雑賀衆からの無数の射撃も、その機体は難なく躱しそのまま上昇を続ける。
「何なのだあのカラクリ!速度はそこまで速くないが、まるでこちらが撃つところが判るかのようにそれを躱しておる!」
重朝は苦虫を潰したような顔で呟く。
雑賀衆もまた、今まで来たカラクリとは全く違う、異質のものであることに気付く。
「おのれ!あのカラクリ、横にも移動できるようだぞ!」
「なんだ、あの『103』と書かれた灰色の機体は?」
皆がざわめく中、遂にその機体は上空に姿を消してしまう。
雑賀衆は皆次の攻撃に備える。
(どうか、そのままどこかに行ってくれ!)
雑賀衆の願いも空しく、その機体は再度太陽を背に襲撃してきた。
「敵飛行隊の攻撃が終わった!こちらも龍を出して攻勢に出よ!」
秀家の号令で、治療中である2頭の龍を残し、残りの龍2頭が空母から飛び立った。
前線より『龍、飛び立つ』の信号を受信し、迎撃のため横浜から関小隊が緊急離陸を行う。
本来であれば、ここで源田参謀と坂井が時間差で飛び立ち、断続的に制空権を取ることが可能であったのだが、先の戦闘で源田参謀が負傷し、左手再生術の為長沙城へと赴いている。
このため部隊数が足りず、また飛行時間が短い為に、関小隊は龍の出撃ギリギリに合わせ牽制として出撃した。
関小隊は急いで龍との接触地点になるであろう海岸付近へと到着するが、肝心の龍がどこにも見当たらない。
「こちら関小隊、接触地点に龍は無し!」
関小隊は付近を捜索するが、やがて魔力が尽き撤退する。
龍使いの下間頼照は、亜人連合の飛行隊が撤退するのを見届けた後、あらかじめ穴を掘って隠していた龍を再び出撃させた。
(奴らの飛行隊は三部隊で、そのうち一部隊は重傷を負ったのか、それ以後一度も現れておらぬ)
(亜人共め!今日で一気に行かせてもらうぞ!)
日ノ本の龍たちは、障壁の上空付近へと一気に進撃した。
「龍だ!龍が現れた!」
「全員、塹壕の中に身を隠せ!」
前線を指揮する清正の家臣・『貴田孫兵衛(きだ・まごべえ)』はすぐさま号令し、兵たちは塹壕に隠れ、盾を並べて龍のブレスに備える。
「ははは!無駄なことを!」
「盾の上から皆焼き殺してくれるわ!!」
下間頼照が龍に攻撃の号令をかけようとした瞬間、上空から空気を振動する音が聞こえ始める。
(なんじゃ?このような音初めて聞くぞ?)
龍に乗った頼照は上空を見あげると、五つの影が雲から姿を現す。
「しまった!敵の飛行隊が来たぞ!!」
頼照がそう言い切る前に、五つの機体はそのまま龍の横を通過し、もう一頭の龍が悲鳴を上げて、うねりながら苦しみ始める。
(やられた!奴らまだ飛行隊を隠しておった!)
その姿を見た雑賀衆は、5人一組となり龍を守る様にして立ちはだかる。
「奴らのカラクリは速いが、その分小回りが利かない!」
「敵の正面に立ち、操るものを狙い撃て!」
現在行方不明である鈴木重秀に代わり、采配する息子・鈴木重朝は、父に負けず劣らずの統率を発揮し、雑賀衆も彼を新たな雑賀孫一として認めていた。
しかし重朝の予想に反して、五機は全て地上部隊の援護へと向かった。
「何じゃと?龍が狙いではないのか?!」
重朝がそう思ったとき、更に上空から先ほどと同じ振動音が聞こえる。
「新手か?」
即座に見上げる雑賀衆たちだが、敵の機影が太陽と重なってしまい、見る事ができない。
「しまった!敵が見えぬ!」
その瞬間、ドン!と音が辺りに響き渡り、同時に龍の頭上に乗っていた下間頼照は吹き飛ばされ、龍の頭に大きな穴が開いた。
「頼照殿!!」
重朝が絶叫を上げるものの、下間頼照の上半身は吹き飛ばされて、そのまま地上へと墜落していった。
下間頼照と龍を倒した機体は、そのまま旋回し再び上空へと上昇する。
「奴を再び昇らせるな!奴の進む少し先を狙って狙撃せよ!」
雑賀衆からの無数の射撃も、その機体は難なく躱しそのまま上昇を続ける。
「何なのだあのカラクリ!速度はそこまで速くないが、まるでこちらが撃つところが判るかのようにそれを躱しておる!」
重朝は苦虫を潰したような顔で呟く。
雑賀衆もまた、今まで来たカラクリとは全く違う、異質のものであることに気付く。
「おのれ!あのカラクリ、横にも移動できるようだぞ!」
「なんだ、あの『103』と書かれた灰色の機体は?」
皆がざわめく中、遂にその機体は上空に姿を消してしまう。
雑賀衆は皆次の攻撃に備える。
(どうか、そのままどこかに行ってくれ!)
雑賀衆の願いも空しく、その機体は再度太陽を背に襲撃してきた。
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