神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

文字の大きさ
上 下
263 / 317
群雄進撃編

第262話 決戦前夜

しおりを挟む
江戸城での戦闘が始まり20日が経過した。

日ノ本の武将たちは、損害を出しつつも敵の戦い方を見て、多くのことを学ぶ。

「ほう、空と陸をあのように連携させ、相手の地上部隊防御を突破するわけか」

「なるほど!地面を掘って道を作っておったのは、その場に長く留まって戦い続ける為だったのか!」

「確かに、あの穴に隠れて戦っておれば、魔法や銃の攻撃は効き辛く、また道のように掘っているので、移動も容易にできるという訳か」

軍師・小早川隆景は、多くの犠牲を払いつつも戦った、副将で一番隊・小西行長に礼を言う。

「小西殿、今日まで最前線にて、敵の戦法を引き出してくださり感謝致す」

隆景は皆に説明する。

「おかげで敵の狙いと戦法はあらかた理解致した」

「奴らは少数でこの江戸城を守り、我ら本隊を少しでも長く留める策のようでござる」

「すでに江戸城攻略の準備は整いましたでござる」

隆景は秀家に進言する。

「秀家様、明日からは全軍にて攻勢を掛け、江戸城を一気に捻り潰しましょうぞ!」

隆景の言葉に秀家は頷き、右手に持った扇子で膝を叩き、席を立つ。

「皆の者!ここまで本当によく耐えてくれた!」

「そして今、機は熟した!」

「我が軍は明日より、一気に江戸城へ攻撃を仕掛ける!」

「奴らにこの日ノ本の強さを見せてやろうぞ!」

「「「応―!!」」」

秀頼の檄に、皆一斉に立ちあがり声を上げた。

こうして次の日、江戸城に対して日ノ本軍団の総攻撃が決定した。

ところ変わり、同時刻の江戸城内。

こちらも日ノ本同様、大村元帥を中心に、総参謀長の児玉源太郎・呼延灼・加藤清正・蕭何・誾千代・吟子が揃い、軍議を行っていた。

「元帥閣下!情報によりますと、日ノ本はどうやら明日総攻撃を仕掛けてくるようです!」

児玉の進言にも、大村は眉一つ動かさずに、腕を組んで机の上に広げた地図のコマを見つめる。

「ほ~う?奴らやっと本腰いれて攻撃する気になったか?」

「ならば儂らも付き合ってやりますかのう?」

笑いながら話す呼延灼と清正へ、水をさすかのように蕭何が報告する。

「元帥閣下、この城に保管してある魔力石の魔力と物資は、あと三日ほどで底を尽きそうです」

蕭何の報告に、呼延灼たちが眉を顰めながら話す。

「ふむ、魔力が無くては、我らの連環馬も威力が発揮できませんな」

「儂らもスキルや魔法が使えなければ、少数故にきつい戦いになりそうじゃ」

「え~!いくらうちが強くても、魔力なしであの大軍相手じゃ無理ゲ~だよ」

「は、はい!私も魔力石がないと、皆を助けられないですぅ」

皆の声を聞いて、大村は地図から視線を外し、腕を組んだまま皆の顔を見渡す。

「皆さん!敵も我々もここが天王山となるでしょう!」

「各将軍は明日の決戦に備えて、準備をお願いします」

「「「ははっ!!!」」」

「清正殿、森本一久殿と庄林一心殿へ、今から蕭何殿と参謀たちを連れて、横浜の空軍基地へと向かってください」

「な、なんですと?!」

「元帥閣下!あなたは私に逃げろとおっしゃるのですか?!」

驚く児玉は、大村に思わず声を上げるが、大村は無表情に答える。

「はい、その通りです」

「万が一私と君がここで討たれたら、今後の作戦立案はいったい誰がやるのですか?」

「現場の指揮を執るのに、私が残った方が効率的に良いだけです」

「それにわたしは別に、ここで私は死ぬつもりはありません」

「しかし閣下…」

児玉の心配を、清正が遮る。

「心配するな参謀長!」

「儂と呼延灼殿が命に代えてもお守りするから、安心して横浜に行ってくれ!」

「まぁ、あの程度の敵ならば、死ぬことはないでしょうな!」

「そうよ!うちも吟子も居るから、児玉さんは心配せんで行ってええよ!」

「えぇ、私も残るんですか?!」

「当たり前でしょ!元気いっぱいの回復魔術師が、真っ先に撤退って話がある訳ないでしょ!」

「うううっ、がんばります…」

皆の言葉に、児玉も安心する。

「そうですな、皆さまや家臣団もおられますし、先に横浜へ向かっておきます」

「皆様、閣下を宜しくお願いします」

「閣下、ご武運を!」

児玉は敬礼し、大村は頷く。

こうして児玉と蕭何は横浜へと出立し、次の日の朝、日ノ本軍の総攻撃が始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……

こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

処理中です...