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群雄進撃編
第260話 囚われの身
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初日の戦闘が終わり、両陣営の損害が明らかになる
日ノ本
本願寺槍兵 死者30名 負傷者100名・龍2頭
雑賀衆 死者・不明20名 負傷者60名 行方不明・鈴木重秀
砲兵隊 死者・不明80名 負傷者100名 大砲全10門すべて破壊
陸上部隊 死亡・消滅400名 負傷者2,000名以上(被害のほとんどが、骸骨兵や鬼の前衛部隊)
亜人連合・ラビット国
航空隊 負傷者1名(源田参謀の左腕切断) オートジャイロ 5機消失
陸軍 死者・不明500名 負傷800名以上(最初の防衛陣にいた、藩士たちの被害がほとんど)
双方ともに、同じ程度の兵士が死亡・行方不明となっているが、内容で言えば、尼子十勇士以外の武将たちは、ラビット国の将兵に完全に押された状態であった。
副将・小西行長の陣に出向き、報告書を見た宇喜多秀家はため息をつく。
「初日の数時間で全砲門と龍の半分を失い、将兵たちも劣勢であったか…」
「申し訳ございませぬ!皆よく戦ってくれたのですが、私の指揮が至らぬばかりにこのような結果となってしまいました…」
深々と謝罪する行長。
「いや、儂が指揮を執っていたとしても、結果はきっと変わらなかったであろう」
「それほどまでに、亜人国の連中の攻撃は想像を超えておった」
「しかも、雑賀衆の棟梁・鈴木重秀まで捕らえられてしまうとは…」
秀家たちにとって、初戦は未知の兵器や戦術に翻弄される結果となってしまった。
「軍師殿には何か考えはありますかな?」
相手の力を素直に認める秀家の隣で、報告書を読み終えた小早川隆景が進言する。
「行長殿の報告書は、起こった現場の状況を詳細に判り易く書いておるので助かりまする!」
「ただし、敵の情報がまだまだ足りませぬので、複数回戦ってみませんと何とも言えませぬ」
隆景の言葉を聞き、行長は報告を付け加える。
「実は敵の将を一人捕らえておりまして、陣地の牢に繋いでおります」
「なんと!敵の将を捕らえたのか!」
驚く秀家に行長は報告を続ける。
「はっ!名は『飯田直景』と言う奴で、鹿之介たち十勇士が4人掛かりで取り押さえたと申しておりました」
「尼子十勇士で4人掛かり?!それほどの強さだったのか!」
ここで行長より、衝撃の事実が伝えられる。
「はっ!敵の退却の法螺が鳴り響き、かの武将が殿を務めておりましたが…その者が人の姿から虫の姿となり大暴れをはじめたのでございます!」
「なんだと!」
秀頼が驚くと同時に、隆景も質問をする。
「つまり敵は半獣化できるという事ですな!」
「それで、その虫は一体何であったか分かりましたか?!」
この報告を受けて、小早川隆景は催促するように行長に質問する。
「いや、私が直接会ってみましょう!」
「わかりました!ではこちらに!」
行長は秀家と隆景を連れて、飯田直景を捕らえた牢へと向かう。
(さて、どの様にして情報を引き出そうか?)
思案しながら歩く秀家たちが牢に近づいた時、話声と大笑いが聞こえてきた。
「お前、やたら強いと思ったら化け物だったのか!」
「たわけ!儂はこう見えても元・人間だったんじゃぞ!」
「がはは!やはり人間ではないではないか!」
「ふん!姿はどちらにもなれるから、心が人間なら人間なのじゃ!」
「ぎゃはは!お前面白いやつだな!」
牢越しに大笑いしながら話をする、巨大な昆虫と妖怪たち、更には六左衛門や尼子十勇士たちを見て、唖然とする秀家たち。
「うん?もしかして其方におられるのは、小西行長殿か?」
ふいに飯田直景であろう虫から声を掛けられ、一瞬たじろぐ行長。
「そんなに驚かんでもええ!儂はどうせ囚われの身じゃ!」
「誰も驚いてはおらぬ!」
行長殿はむっとするが、その姿を見てまた大笑いをする飯田直景。
「飯田直景とやら、お主たちはよく我々のことを知っておる様じゃが、誰か知り合いか間者でもおるのか?」
小早川隆景のストレートな質問に、飯田直景は笑うのをやめて答える。
「さぁ、どうでしょうな?」
「ただ、毛利家・尼子家の家臣が一緒に戦っているのには、儂も少々驚きましたがな?」
飯田直景の言葉を聞き、小早川隆景と山中鹿之介は顔を見合わせる。
前世では毛利家が尼子家を降伏させ、忠義に厚い山中鹿之介率いる「尼子十勇士」が尼子家再興を計り、信長や秀吉の戦に尽力したのである。
しかし、隆景からは意外な言葉が帰ってくる。
「我等は以前争ってはおったが、今では関白様のもと共に戦う仲間だぞ?」
「その通り!内乱の末、信長様預かりになっておる石見国も、この戦で活躍すれば所領を返すとの約束を受けており、小早川殿も武勲を立てられるようにと、前線の小西殿に付けて下さったのじゃ!」
隆景と鹿之介の意外な回答を聞き、少し驚く飯田直景。
(尼子家で内乱?どうやら儂の前世とは、経緯が少し違うようじゃのう…)
考える飯田直景に、今度は隆景が質問をする。
日ノ本
本願寺槍兵 死者30名 負傷者100名・龍2頭
雑賀衆 死者・不明20名 負傷者60名 行方不明・鈴木重秀
砲兵隊 死者・不明80名 負傷者100名 大砲全10門すべて破壊
陸上部隊 死亡・消滅400名 負傷者2,000名以上(被害のほとんどが、骸骨兵や鬼の前衛部隊)
亜人連合・ラビット国
航空隊 負傷者1名(源田参謀の左腕切断) オートジャイロ 5機消失
陸軍 死者・不明500名 負傷800名以上(最初の防衛陣にいた、藩士たちの被害がほとんど)
双方ともに、同じ程度の兵士が死亡・行方不明となっているが、内容で言えば、尼子十勇士以外の武将たちは、ラビット国の将兵に完全に押された状態であった。
副将・小西行長の陣に出向き、報告書を見た宇喜多秀家はため息をつく。
「初日の数時間で全砲門と龍の半分を失い、将兵たちも劣勢であったか…」
「申し訳ございませぬ!皆よく戦ってくれたのですが、私の指揮が至らぬばかりにこのような結果となってしまいました…」
深々と謝罪する行長。
「いや、儂が指揮を執っていたとしても、結果はきっと変わらなかったであろう」
「それほどまでに、亜人国の連中の攻撃は想像を超えておった」
「しかも、雑賀衆の棟梁・鈴木重秀まで捕らえられてしまうとは…」
秀家たちにとって、初戦は未知の兵器や戦術に翻弄される結果となってしまった。
「軍師殿には何か考えはありますかな?」
相手の力を素直に認める秀家の隣で、報告書を読み終えた小早川隆景が進言する。
「行長殿の報告書は、起こった現場の状況を詳細に判り易く書いておるので助かりまする!」
「ただし、敵の情報がまだまだ足りませぬので、複数回戦ってみませんと何とも言えませぬ」
隆景の言葉を聞き、行長は報告を付け加える。
「実は敵の将を一人捕らえておりまして、陣地の牢に繋いでおります」
「なんと!敵の将を捕らえたのか!」
驚く秀家に行長は報告を続ける。
「はっ!名は『飯田直景』と言う奴で、鹿之介たち十勇士が4人掛かりで取り押さえたと申しておりました」
「尼子十勇士で4人掛かり?!それほどの強さだったのか!」
ここで行長より、衝撃の事実が伝えられる。
「はっ!敵の退却の法螺が鳴り響き、かの武将が殿を務めておりましたが…その者が人の姿から虫の姿となり大暴れをはじめたのでございます!」
「なんだと!」
秀頼が驚くと同時に、隆景も質問をする。
「つまり敵は半獣化できるという事ですな!」
「それで、その虫は一体何であったか分かりましたか?!」
この報告を受けて、小早川隆景は催促するように行長に質問する。
「いや、私が直接会ってみましょう!」
「わかりました!ではこちらに!」
行長は秀家と隆景を連れて、飯田直景を捕らえた牢へと向かう。
(さて、どの様にして情報を引き出そうか?)
思案しながら歩く秀家たちが牢に近づいた時、話声と大笑いが聞こえてきた。
「お前、やたら強いと思ったら化け物だったのか!」
「たわけ!儂はこう見えても元・人間だったんじゃぞ!」
「がはは!やはり人間ではないではないか!」
「ふん!姿はどちらにもなれるから、心が人間なら人間なのじゃ!」
「ぎゃはは!お前面白いやつだな!」
牢越しに大笑いしながら話をする、巨大な昆虫と妖怪たち、更には六左衛門や尼子十勇士たちを見て、唖然とする秀家たち。
「うん?もしかして其方におられるのは、小西行長殿か?」
ふいに飯田直景であろう虫から声を掛けられ、一瞬たじろぐ行長。
「そんなに驚かんでもええ!儂はどうせ囚われの身じゃ!」
「誰も驚いてはおらぬ!」
行長殿はむっとするが、その姿を見てまた大笑いをする飯田直景。
「飯田直景とやら、お主たちはよく我々のことを知っておる様じゃが、誰か知り合いか間者でもおるのか?」
小早川隆景のストレートな質問に、飯田直景は笑うのをやめて答える。
「さぁ、どうでしょうな?」
「ただ、毛利家・尼子家の家臣が一緒に戦っているのには、儂も少々驚きましたがな?」
飯田直景の言葉を聞き、小早川隆景と山中鹿之介は顔を見合わせる。
前世では毛利家が尼子家を降伏させ、忠義に厚い山中鹿之介率いる「尼子十勇士」が尼子家再興を計り、信長や秀吉の戦に尽力したのである。
しかし、隆景からは意外な言葉が帰ってくる。
「我等は以前争ってはおったが、今では関白様のもと共に戦う仲間だぞ?」
「その通り!内乱の末、信長様預かりになっておる石見国も、この戦で活躍すれば所領を返すとの約束を受けており、小早川殿も武勲を立てられるようにと、前線の小西殿に付けて下さったのじゃ!」
隆景と鹿之介の意外な回答を聞き、少し驚く飯田直景。
(尼子家で内乱?どうやら儂の前世とは、経緯が少し違うようじゃのう…)
考える飯田直景に、今度は隆景が質問をする。
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