神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第259話 尼子十勇士

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呼延灼と武蔵が激闘を繰り広げていたころ、清正と六左衛門も激しい戦いを繰り広げていた。

六左衛門が振るう槍撃を、清正の愛槍・片鎌十文字槍が次々といなす。

逆に清正が突きを繰り出すも、六左衛門は上半身のみで避ける。

共に相手を殺すつもりで攻撃を仕掛けているのだが、互いの力が拮抗している為に、どちらも決め手に欠いていた。

そんなもどかしい状態にもかかわらず、いつの間にか二人は、この戦いをずっと楽しんでいたいと思い始めていた。

「六左衛門!この儂とここまでやりあって立っておるのはお前が初めてじゃ!」

「ふん!貴様に褒められても嬉しゅうないわ!」

二人の戦いが白熱する中、小西行長の本陣では大乱戦となっていた。

加藤清正十六将たちは次々と敵兵を倒し、本陣へと肉薄する。

間もなく本陣に乱入というところで、行長に強力な助太刀が入る。

「なんじゃ?こいつら!」

鹿の角が生えた兜をかぶった男を先頭に、武将たちが左側面から突如乱入し、十六将たちへ一斉に襲い掛かった。

「直景!先に奴の首を取るぞ!」

「あい判った!」

清正の筆頭家臣・飯田直景と森本一久は、二人掛かりで鹿の兜の男へ挑むが、二人の槍撃を同時に受け止め、そのまま跳ね返した。

「この男!強いぞ!」

加藤家臣団と小西行長の間に完全に割って入った男は、名乗りを上げる。

「私は尼子家臣の一人、『山中鹿之介(やまなか・しかのすけ)!』」

「そして我等は尼子十勇士!」

「我等『尼子家再興』の為、小西行長殿の助太刀として参加いたした!」

この名を聞き、驚く加藤家臣団。

「尼子十勇士?奴らもこの戦に参戦しているのか!」

「行長め!うまい事尼子家臣団を言いくるめおったな!」

名乗りを上げると同時に、鹿之助は仲間たちに号令する。

「皆の者!尼子家再興の為、亜人の雑兵共を討ち取り武功を上げようぞ!」

「「「おー!!」」」

この言葉にキレた飯田直景も、味方に檄を飛ばす。

「上等じゃ!」

「皆の者!尼子の残党共を返り討ちにしてくれようぞ!」

「「「応!!」」」

一斉に斬り込んできた尼子十勇士と、迎え撃つ加藤家臣団はたちまち大乱戦となった。

そんな中、清正と六左衛門の戦いは佳境を迎えていた。

清正は固有スキルを発動し、地面が槍のようになり次々と六右衛門を襲った。

「ほれ!ほれ!ほれ!」

「おのれ清正!姑息な手を使いおって!」

無数に地面から生えてくる土の槍に、六左衛門は躱すことで精いっぱいとなった。

「残念じゃったな!これは戦で一騎打ちではないのでのう!」

清正は憎まれ口を返しながら、周りの状況を確認する。

(ふむ、行長の首は敵の新手により阻止された様じゃな)

(呼延灼殿も、新手が現れて囲まれる危険があるな)

(ここらが潮時か)

そう判断した清正は、信号弾を上空に放ち全軍撤退の合図を江戸城に送る。

全軍撤退の法螺貝が辺りで鳴り響き、それと同時に六左衛門の周りを一気に土壁で囲んだ。

「清正!貴様―!」

「ははは!お前のような狂犬は、しっかり檻に入れておかねばな!」

清正はそのまま加藤家臣団の元へ駆け寄り、乱戦の中に土柱を立て始める

「うわ!何だこれは!」

「ぐふっ!」

土柱に次々と吹き飛ばされる尼子軍団。

土柱を使い乱戦を収束させた清正は、撤退しながら鹿之介に呼び掛ける。

「鹿之介殿!次回はこの加藤清正がお相手致すので、その時を楽しみにしておれ!」

「じゃあな!そろばん野郎!」

こうして清正軍団と、韓滔・彭玘が率いた連環馬部隊は、一緒に障壁内へと引き上げていった。

そして上空では…

「誾千代さ~ん!撤退の合図が出ましたよ~?」

のんびり話す吟子に、誾千代が困った感じで返事をする。

「ねえ吟子、孫一さん置いていこうと思っていたんだけど、何か痙攣しているみたいなんだよね…」

「まぁ大変!そ、それってアナフィラキシーショックじゃないですかぁ?」

「ほっといたらその人、死んじゃいますよ~?」

吟子の回答に、更に困った顔になる誾千代。

「え~っ、じゃあ連れて帰って治療しないとまずいじゃん!」

雑賀衆は銃を構えて誾千代たちを狙っているが、重秀を人質にされているため引き金を引けずにいた。

「よし吟子!やれ!」

「は、はい!」

その言葉を聞いた雑賀衆は、光を恐れて一斉に目をそらした。

しかし吟子は、全く違う魔法を使う。

吟子を中心に、付近は一斉に闇へと包まれた。

「しまった!奴ら闇魔法を使いやがった!」

「探せ!探せ!」

時間にして十秒程度で闇は晴れたのだが、視界が戻ったときに、既に三人は姿を消していた
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