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群雄進撃編
第256話 二人の女戦士
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韓滔・彭玘は、走りながら各騎馬隊を三頭一組にし、三角形を作らせていく。
突撃してくる騎兵を見て、日ノ本軍副将であり、陸上部隊指揮官の小西行長は目を疑った。
「突撃じゃと?奴ら目の前におる壁が見えぬのか?」
ぬりかべは堤防のようになって横一列に並んでおり、後ろから鬼や骸骨たちが倒れないよう押さえていた。
「来るなら来い!貴様らの攻撃など跳ね返してくれるわ!」
万全の態勢で待ち受ける日ノ本軍。
尖矢の形となった騎馬隊の周りに白い煙が立ち込め、一気に加速度が増した。
唯一、上空で射撃を続ける本願寺兵と雑賀衆は、地上の騎馬隊を見て察知した。
「あれは…各先頭に後方2頭が魔力を集中して送っている!」
「まずい!あれが当たったら前衛は吹き飛ぶぞ!」
「槍兵は儂に続け!」
「雑賀衆は二手に分かれ、騎兵の先頭に集中砲火を浴びせろ!」
命令を終えると同時に、下間頼廉はそのまま槍兵と共に突撃し、鈴木重秀は騎馬隊を狙撃するが、フルプレートの騎馬隊は銃弾を跳ね返した。
(おのれ!あの鎧にも何か仕掛けがあるな!)
重秀は指揮官のヘッドショットを狙う!が、ここで兵から思わぬ声が上がる。
「おい!何だあれは?!」
上空を見ると腕を組んだ女武将と、杖のようなものに体を巻き付けておどおどしている人物が一緒に浮いていた。
「うちの名は智勇兼備の美少女戦士・ギンチヨ!」
「相手をこそこそと狙う卑怯者ども!」
「うちの華々しい初陣の為に」
「ギンチヨ様が正義執行!」
「わ、私の名前はぁ、夢と希望の美少女戦士・ギンコ!です」
「み、皆をいじめる悪い子たち!」
「私の大切な仲間の為に」
「ギンコも一緒に正義執行!…します」
名乗りを上げた二人は、あらかじめ打ち合わせておいたポーズを決める。
「二人合わせてシルバー戦士!」
「ふ、二人あわててシル戦士!」
大見得を切り損ね、誾千代は吟子を睨み叱る。
「おい吟子!あんたなに大事なところで噛んでるの!」
「ひーっ!ご、ごめんなさいぃ!」
二人のやり取りに、空の部隊は目が釘付けになっていた。
「いまだ!やれ吟子!」
「は、はい!」
言葉と共に、吟子の体が太陽のように燦燦と輝き出す。
「しまった!」
「うわ―!目が!目が―!!」
全兵士が目を押さえ、開ける事が出来ずにいた。
「おのれ!小癪なマネを!」
目が開けられずにいる重秀の銃を、何者かが叩き落す!
「何!」
重秀は短く驚くと同時に、誾千代が耳元で囁く。
「は~い!捕まえた!」
重秀は誾千代に後ろに回り込まれた後、腕を逆手に取られそのまま短刀を首に押し当てられた。
もがく重秀の腕を締め上げる誾千代。
「孫一く~ん!抵抗しても無駄だよ~!」
(こいつ!何で儂の呼び名を知っておる?)
「うちに近接戦闘で勝てる奴なんてほとんどいないんだから~w」
「く、くそったれ!」
そう言った瞬間、重秀の背中に針で刺されたような激痛が走る。
「ぐっ…か、からだが…」
「ど~お?うちの毒針のお味は?これでしばらく動けないよw」
通称『狩人バチ』と呼ばれる、ベッコウバチがベースの誾千代は、敵の鴉たちに告げる。
「お前たちの司令官は捕らえた!」
「誰か一人でも動いたのが見えたら、こいつの命はないと思え!」
いつの間にか、誾千代の後ろに来ていた吟子もうんうんと頷く。
こうして上空はにらみ合いとなり、同時に双方の地上部隊が衝突した。
突撃してくる騎兵を見て、日ノ本軍副将であり、陸上部隊指揮官の小西行長は目を疑った。
「突撃じゃと?奴ら目の前におる壁が見えぬのか?」
ぬりかべは堤防のようになって横一列に並んでおり、後ろから鬼や骸骨たちが倒れないよう押さえていた。
「来るなら来い!貴様らの攻撃など跳ね返してくれるわ!」
万全の態勢で待ち受ける日ノ本軍。
尖矢の形となった騎馬隊の周りに白い煙が立ち込め、一気に加速度が増した。
唯一、上空で射撃を続ける本願寺兵と雑賀衆は、地上の騎馬隊を見て察知した。
「あれは…各先頭に後方2頭が魔力を集中して送っている!」
「まずい!あれが当たったら前衛は吹き飛ぶぞ!」
「槍兵は儂に続け!」
「雑賀衆は二手に分かれ、騎兵の先頭に集中砲火を浴びせろ!」
命令を終えると同時に、下間頼廉はそのまま槍兵と共に突撃し、鈴木重秀は騎馬隊を狙撃するが、フルプレートの騎馬隊は銃弾を跳ね返した。
(おのれ!あの鎧にも何か仕掛けがあるな!)
重秀は指揮官のヘッドショットを狙う!が、ここで兵から思わぬ声が上がる。
「おい!何だあれは?!」
上空を見ると腕を組んだ女武将と、杖のようなものに体を巻き付けておどおどしている人物が一緒に浮いていた。
「うちの名は智勇兼備の美少女戦士・ギンチヨ!」
「相手をこそこそと狙う卑怯者ども!」
「うちの華々しい初陣の為に」
「ギンチヨ様が正義執行!」
「わ、私の名前はぁ、夢と希望の美少女戦士・ギンコ!です」
「み、皆をいじめる悪い子たち!」
「私の大切な仲間の為に」
「ギンコも一緒に正義執行!…します」
名乗りを上げた二人は、あらかじめ打ち合わせておいたポーズを決める。
「二人合わせてシルバー戦士!」
「ふ、二人あわててシル戦士!」
大見得を切り損ね、誾千代は吟子を睨み叱る。
「おい吟子!あんたなに大事なところで噛んでるの!」
「ひーっ!ご、ごめんなさいぃ!」
二人のやり取りに、空の部隊は目が釘付けになっていた。
「いまだ!やれ吟子!」
「は、はい!」
言葉と共に、吟子の体が太陽のように燦燦と輝き出す。
「しまった!」
「うわ―!目が!目が―!!」
全兵士が目を押さえ、開ける事が出来ずにいた。
「おのれ!小癪なマネを!」
目が開けられずにいる重秀の銃を、何者かが叩き落す!
「何!」
重秀は短く驚くと同時に、誾千代が耳元で囁く。
「は~い!捕まえた!」
重秀は誾千代に後ろに回り込まれた後、腕を逆手に取られそのまま短刀を首に押し当てられた。
もがく重秀の腕を締め上げる誾千代。
「孫一く~ん!抵抗しても無駄だよ~!」
(こいつ!何で儂の呼び名を知っておる?)
「うちに近接戦闘で勝てる奴なんてほとんどいないんだから~w」
「く、くそったれ!」
そう言った瞬間、重秀の背中に針で刺されたような激痛が走る。
「ぐっ…か、からだが…」
「ど~お?うちの毒針のお味は?これでしばらく動けないよw」
通称『狩人バチ』と呼ばれる、ベッコウバチがベースの誾千代は、敵の鴉たちに告げる。
「お前たちの司令官は捕らえた!」
「誰か一人でも動いたのが見えたら、こいつの命はないと思え!」
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こうして上空はにらみ合いとなり、同時に双方の地上部隊が衝突した。
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