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群雄進撃編
第252話 空中戦
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江戸付近上空高度3000mを進む、複数の飛行物体。
「関小隊より源田指揮官機へ!」
「現在、地上よりあった座標に到着!これより急降下を行い、敵飛行部隊へ奇襲をかける!」
「こちら指揮官機、了!」
「敵の最大火力であるドラゴン一体に攻撃を集中しろ!」
「了!」
指揮官と交信を終えた関大尉は、6機の部下へ指示を出す。
「我ラ、今ヨリ急降下ヲ行イ、敵大型龍ノ掃討ニハイル!」
「全機、俺ニ続ケ!」
関大尉の言葉が終わったと同時に、彼等の『風魔法を動力源にしたゼロ戦』は翻り、高い金属音のような音を出し、一気に急降下を開始した。
一方、地上部隊の侵攻を受ける江戸防衛軍は、それ以上の侵攻を防ぐために防御壁を張り続ける。
「よし!竜共で次の障壁に攻撃を集中する!」
龍を指揮する『下間頼照(しもつま・らいしょう)』の命令で、龍たちは炎を吐き、障壁に集中砲火を行い始める。
「ああ、もうだめだ…」
絶望する藩士たちの遥か上空から、風を切るような金属音が一帯に鳴り始める。
「うん?なんの音だ?」
敵も味方も上空を見上げたその時、複数の物体が一体の龍の横を高速ですり抜ける。
それと同時に龍が大きくうねり悶え始める。
「何だ?いったい何が起きた?!」
先ほど通り過ぎた物体が、風切り音と金属音と共に、再度出現する。
「敵だ!先ほどの飛行部隊がまた戻ってきたぞ!」
「味方だ!味方が敵の飛行隊を攻撃してくれているぞ!」
日ノ本・亜人連合の兵士たちの言葉からは、歓喜と混乱が同時に交じっていた。
それと同時に、双方が全く同じことを思う。
「「しかし、あの飛行するものは一体何だ?」」
その飛行物体は高速で、先ほど狙い撃った龍に再度火の玉を撃ち込む。
「ギェーーーーー!!」
苦しむ龍だが、墜落はせずに火を噴き飛行物体を威嚇する。
龍の表面は固いウロコで覆われており、墜落までのダメージにはなかなか至らない。
『ゼロ戦52型』は時速600㎞を超える速度を得るために、火力と燃費を犠牲にした機体である。
そんな中、更に上空から悪夢の『菅野隊』が襲撃した。
関小隊が乗るゼロ戦と違い、菅野隊が乗る機体『紫電改』はやや寸胴で時速550㎞と速度が遅い。
その分、装甲があり火力もゼロ戦のそれより格段に高い。
「右を旋回している龍を潰す!俺に続け!」
菅野を先頭に、6機の紫電改は龍の横を一気に突き抜け、龍は体のあちこちから血しぶきを上げる。
関・菅野小隊の、数度の攻撃を受けた龍は、力が尽き遂に墜落してしまう。
地響きと共に、墜落し地面に叩きつけられた龍。
「うぉー!龍を倒したぞー!」
地面で落ちのたうち回る龍を見て、再び大歓喜を上げる藩士たち。
勿論、雑賀衆も黙ってみていたわけではないのだが…
「だめです!速すぎて狙い撃つことが出来ません!」
「くそ!なんて速さだ!」
雑賀衆の鴉たちは、初めて経験する空中戦と言う事もあり、戦い方を確立できずにいた。
そんな中、2頭目の龍が墜落していく。
それと同時に、関小隊・菅野隊は上空へと消えていった。
「頼照様!このまま戦えばすべての龍を失います!」
「いま、何らかの理由で敵の攻撃が止んでおりまする!」
「ここは我らと雑賀衆に任せ、この機に乗じて一旦撤退をしてくだされ!」
本願寺の猛将・『下間頼廉(しもつま・らいれん)の言葉に、頼照は苦渋の決断をする。
「ええい!飛行している龍は一旦撤退する!」
「地上部隊は、墜落した龍に回復魔法をかけよ!」
頼照が幼いころから戦力として育て上げた龍が、まさかこれほど短時間で半分を失うことになるとは思いもしなかった。
「おのれ亜人共!俺が苦労して育て上げた龍たちをこんな目に合わせおって!」
「必ずこの屈辱は晴らさせてもらうぞ…」
頼照はそのまま苦虫を潰したような顔をし、2頭の龍と撤退していった。
「関小隊より源田指揮官機へ!」
「現在、地上よりあった座標に到着!これより急降下を行い、敵飛行部隊へ奇襲をかける!」
「こちら指揮官機、了!」
「敵の最大火力であるドラゴン一体に攻撃を集中しろ!」
「了!」
指揮官と交信を終えた関大尉は、6機の部下へ指示を出す。
「我ラ、今ヨリ急降下ヲ行イ、敵大型龍ノ掃討ニハイル!」
「全機、俺ニ続ケ!」
関大尉の言葉が終わったと同時に、彼等の『風魔法を動力源にしたゼロ戦』は翻り、高い金属音のような音を出し、一気に急降下を開始した。
一方、地上部隊の侵攻を受ける江戸防衛軍は、それ以上の侵攻を防ぐために防御壁を張り続ける。
「よし!竜共で次の障壁に攻撃を集中する!」
龍を指揮する『下間頼照(しもつま・らいしょう)』の命令で、龍たちは炎を吐き、障壁に集中砲火を行い始める。
「ああ、もうだめだ…」
絶望する藩士たちの遥か上空から、風を切るような金属音が一帯に鳴り始める。
「うん?なんの音だ?」
敵も味方も上空を見上げたその時、複数の物体が一体の龍の横を高速ですり抜ける。
それと同時に龍が大きくうねり悶え始める。
「何だ?いったい何が起きた?!」
先ほど通り過ぎた物体が、風切り音と金属音と共に、再度出現する。
「敵だ!先ほどの飛行部隊がまた戻ってきたぞ!」
「味方だ!味方が敵の飛行隊を攻撃してくれているぞ!」
日ノ本・亜人連合の兵士たちの言葉からは、歓喜と混乱が同時に交じっていた。
それと同時に、双方が全く同じことを思う。
「「しかし、あの飛行するものは一体何だ?」」
その飛行物体は高速で、先ほど狙い撃った龍に再度火の玉を撃ち込む。
「ギェーーーーー!!」
苦しむ龍だが、墜落はせずに火を噴き飛行物体を威嚇する。
龍の表面は固いウロコで覆われており、墜落までのダメージにはなかなか至らない。
『ゼロ戦52型』は時速600㎞を超える速度を得るために、火力と燃費を犠牲にした機体である。
そんな中、更に上空から悪夢の『菅野隊』が襲撃した。
関小隊が乗るゼロ戦と違い、菅野隊が乗る機体『紫電改』はやや寸胴で時速550㎞と速度が遅い。
その分、装甲があり火力もゼロ戦のそれより格段に高い。
「右を旋回している龍を潰す!俺に続け!」
菅野を先頭に、6機の紫電改は龍の横を一気に突き抜け、龍は体のあちこちから血しぶきを上げる。
関・菅野小隊の、数度の攻撃を受けた龍は、力が尽き遂に墜落してしまう。
地響きと共に、墜落し地面に叩きつけられた龍。
「うぉー!龍を倒したぞー!」
地面で落ちのたうち回る龍を見て、再び大歓喜を上げる藩士たち。
勿論、雑賀衆も黙ってみていたわけではないのだが…
「だめです!速すぎて狙い撃つことが出来ません!」
「くそ!なんて速さだ!」
雑賀衆の鴉たちは、初めて経験する空中戦と言う事もあり、戦い方を確立できずにいた。
そんな中、2頭目の龍が墜落していく。
それと同時に、関小隊・菅野隊は上空へと消えていった。
「頼照様!このまま戦えばすべての龍を失います!」
「いま、何らかの理由で敵の攻撃が止んでおりまする!」
「ここは我らと雑賀衆に任せ、この機に乗じて一旦撤退をしてくだされ!」
本願寺の猛将・『下間頼廉(しもつま・らいれん)の言葉に、頼照は苦渋の決断をする。
「ええい!飛行している龍は一旦撤退する!」
「地上部隊は、墜落した龍に回復魔法をかけよ!」
頼照が幼いころから戦力として育て上げた龍が、まさかこれほど短時間で半分を失うことになるとは思いもしなかった。
「おのれ亜人共!俺が苦労して育て上げた龍たちをこんな目に合わせおって!」
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