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群雄進撃編
第251話 江戸城攻略戦 1
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江戸湾から20㎞離れたところに、大本営が設営された江戸城がある。
そして今、江戸湾海岸防衛ラインは日ノ本による艦砲射撃で崩壊の危機にあった。
「くそったれ!こちらの砲撃が届かないのに、向こうの砲撃だけが届くとか…一体どうしろってんだよ!」
「まあそうボヤくなよ、いくら奴らが砲撃してきても、大半の魔法兵がこの江戸に集まって障壁を張っているので、そう簡単に上陸はさせないさ!」
海岸を守る江戸藩士たちは、苦戦しながらも塹壕や有刺鉄線を駆使し、数回の敵上陸作戦を水際で防いでいた。
そんな中、空を見上げた藩士がある事に気付く。
「おい…あれは何だ?すごい数の鳥がこちらに向かってくるぞ?」
藩士の声に、塹壕から空を見上げる藩士たちであったが、やがて兵たちは恐怖に陥る。
「て、敵だー!」
「無数の魔物の群れだ!」
「龍と天狗共が上空に大群で現れたぞー!!」
上空には30mは優にあるだろう、中国の龍4頭と『天狗』が4人、鴉の獣人2,000が江戸上空に襲来した。
「龍共!敵障壁の一点にブレスを放て!」
天狗の指揮官の号令に従い、龍たちは一点に炎のブレスを集中させる。
障壁の表面は炎に包まれる。
それと同時に艦砲射撃が、龍に攻撃を受けている付近に次々と着弾する。
これにより、この地区で障壁を張っていた魔石の魔力量は一気に底をつき、障壁は消滅する。
「大変だ!障壁用の魔石の魔力が枯渇して、この地区の障壁が消滅してしまった!」
藩士が騒ぎ出すのを下に見た天狗は、日の丸の付いた黒い扇子を振り下ろし、部下たちに命令を下す。
「雑賀衆!前衛に一斉射撃!」
天狗の指示を受け、鴉たちは各小隊ごとに塹壕内の兵を狙撃し始める。
「うぎゃっ!」
「上空からの狙撃だ!身を隠せ!」
「隠すってどこに隠れられるんだよ!」
対抗できない位置からの狙撃に、藩士たちは大混乱へと陥った。
そしてついに、龍たちの炎のブレスが無防備な状態の藩士たちを焼き尽くす。
「うわぁ―熱いー!!」
「た、助けてくれー!!」
「アアア…」
炎に包まれた陣内で動く兵士は、あるものは炎を身に纏い走り回り、あるものは絶望的な状況で自分の刀で腹を切っていく。
こうして一時間もしないうちに、海岸守備隊の一角は崩壊した。
「よし!制圧した地区から上陸兵団を上げよ!」
「ハッ!」
旗艦・大阪の甲板にて、宇喜多秀家は上陸部隊に命令を下した。
「上陸作戦、まずはうまく行きましたな」
黒い鎧に竜が乗った兜の男は、総大将・宇喜多秀家に挨拶する。
彼は秀家起っての願いにより、の軍師を承った、『小早川隆景(こばやかわ・たかかげ)』で、秀家は礼を取る。
「小早川様のお知恵と力添えがありましたお陰で、損害なく上陸が出来そうでござる」
今回の攻略で、普通の上陸戦では時間が掛かると判断した隆景は、本来別の地区に振り当てる予定であった日ノ本の飛龍部隊と天狗団を指揮する『本願寺軍団』をこの首都制圧に変更した。
「総大将のお話が間違えなければ、この戦争は早く終わらせるべきでございましょう」
「この江戸を制圧すれば、亜人連合は作戦司令塔を失くし、各地が纏まり大規模な攻勢が出来なくなる」
「あとは明帝の身柄を抑えるのみ…」
「まずは江戸城で指揮を執っている、陸軍元帥と海軍元帥を捕らえると致しましょう」
二人は頷いて、その考えを共有する。
上陸部隊60,000が江戸へ上陸完了すれば、この地の制圧は時間の問題である。
宇喜多秀家は勝利をほぼ確信していた。
小早川隆景もまた、戦争を有利に進める事ができるであろうと考えていた。
ただ一つ見落としをしていたとすれば、ここにラビット国の強力な援軍が配置されていたことである。
そして今、江戸湾海岸防衛ラインは日ノ本による艦砲射撃で崩壊の危機にあった。
「くそったれ!こちらの砲撃が届かないのに、向こうの砲撃だけが届くとか…一体どうしろってんだよ!」
「まあそうボヤくなよ、いくら奴らが砲撃してきても、大半の魔法兵がこの江戸に集まって障壁を張っているので、そう簡単に上陸はさせないさ!」
海岸を守る江戸藩士たちは、苦戦しながらも塹壕や有刺鉄線を駆使し、数回の敵上陸作戦を水際で防いでいた。
そんな中、空を見上げた藩士がある事に気付く。
「おい…あれは何だ?すごい数の鳥がこちらに向かってくるぞ?」
藩士の声に、塹壕から空を見上げる藩士たちであったが、やがて兵たちは恐怖に陥る。
「て、敵だー!」
「無数の魔物の群れだ!」
「龍と天狗共が上空に大群で現れたぞー!!」
上空には30mは優にあるだろう、中国の龍4頭と『天狗』が4人、鴉の獣人2,000が江戸上空に襲来した。
「龍共!敵障壁の一点にブレスを放て!」
天狗の指揮官の号令に従い、龍たちは一点に炎のブレスを集中させる。
障壁の表面は炎に包まれる。
それと同時に艦砲射撃が、龍に攻撃を受けている付近に次々と着弾する。
これにより、この地区で障壁を張っていた魔石の魔力量は一気に底をつき、障壁は消滅する。
「大変だ!障壁用の魔石の魔力が枯渇して、この地区の障壁が消滅してしまった!」
藩士が騒ぎ出すのを下に見た天狗は、日の丸の付いた黒い扇子を振り下ろし、部下たちに命令を下す。
「雑賀衆!前衛に一斉射撃!」
天狗の指示を受け、鴉たちは各小隊ごとに塹壕内の兵を狙撃し始める。
「うぎゃっ!」
「上空からの狙撃だ!身を隠せ!」
「隠すってどこに隠れられるんだよ!」
対抗できない位置からの狙撃に、藩士たちは大混乱へと陥った。
そしてついに、龍たちの炎のブレスが無防備な状態の藩士たちを焼き尽くす。
「うわぁ―熱いー!!」
「た、助けてくれー!!」
「アアア…」
炎に包まれた陣内で動く兵士は、あるものは炎を身に纏い走り回り、あるものは絶望的な状況で自分の刀で腹を切っていく。
こうして一時間もしないうちに、海岸守備隊の一角は崩壊した。
「よし!制圧した地区から上陸兵団を上げよ!」
「ハッ!」
旗艦・大阪の甲板にて、宇喜多秀家は上陸部隊に命令を下した。
「上陸作戦、まずはうまく行きましたな」
黒い鎧に竜が乗った兜の男は、総大将・宇喜多秀家に挨拶する。
彼は秀家起っての願いにより、の軍師を承った、『小早川隆景(こばやかわ・たかかげ)』で、秀家は礼を取る。
「小早川様のお知恵と力添えがありましたお陰で、損害なく上陸が出来そうでござる」
今回の攻略で、普通の上陸戦では時間が掛かると判断した隆景は、本来別の地区に振り当てる予定であった日ノ本の飛龍部隊と天狗団を指揮する『本願寺軍団』をこの首都制圧に変更した。
「総大将のお話が間違えなければ、この戦争は早く終わらせるべきでございましょう」
「この江戸を制圧すれば、亜人連合は作戦司令塔を失くし、各地が纏まり大規模な攻勢が出来なくなる」
「あとは明帝の身柄を抑えるのみ…」
「まずは江戸城で指揮を執っている、陸軍元帥と海軍元帥を捕らえると致しましょう」
二人は頷いて、その考えを共有する。
上陸部隊60,000が江戸へ上陸完了すれば、この地の制圧は時間の問題である。
宇喜多秀家は勝利をほぼ確信していた。
小早川隆景もまた、戦争を有利に進める事ができるであろうと考えていた。
ただ一つ見落としをしていたとすれば、ここにラビット国の強力な援軍が配置されていたことである。
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