神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第250話 江戸湾の戦い

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関東方面に向かっていた宇喜多秀家率いる船団は、横浜港に攻撃を仕掛けた。

戦艦『大阪』『兵庫』『岡山』『和歌山』。

重巡洋艦6隻 軽巡洋艦6隻 駆逐艦10隻の大艦隊は、関東湾内を完全に封鎖した。

さらに、正体不明の大型艦が2隻。

対する亜人連合戦艦『富士山丸』『咸臨丸』薩摩より献上された『昇平丸』。

さらに重巡洋艦『観光丸』及び同型艦2隻 駆逐艦4隻で対抗するが、日ノ本の戦艦より射程が短く近寄ることができない。

「まったく…だから俺は常日頃から海軍を強化しておけって言ってたんだよ!」

勝海舟は自分の席を立ち、机に報告書類を叩きつけた。

新政府になり海軍が設立されたため、幕府の海軍奉行は解散し、責任者であった勝海舟は海軍卿(海軍大臣)として、横浜に赴任していた。

「やつらは常に戦を考え、最新の武器を使った戦法を考え取り入れている!」

「そんな奴らからすれば、300年も太平の世でのんびり生きてきた国など、普通は敵にもならん!」

「ましてや、装備自体が旧式じゃ、どう逆立ちしても勝てるわけがねぇじゃねえか!」

怒る勝を佐藤政養(さとう・まさやす)次官が宥める。

「海軍卿、そう仰らずとも、現在政府は海軍強化に全力を注いでおります」

「それにラビット国からも、強力な軍事提供がなされておりますので、思った以上に善戦できております」

次官の言葉に、勝は思いを述べる。

「ピット王…確かに彼はいい王様だ」

「おいらも含めてこの国の者たちはピット王に多大な恩もある」

「更に帝との結婚で国が併合されることにより、この国の未来も明るいだろう…」

「しかし…ここまでの流れがあまりにも出来過ぎてやしないかい?」

勝のふくんだ言葉に驚く次官。

「海軍卿!婚約の件は薩摩や長州がお願いして現実となった事ですし、さらにこのことを一番望んだのは帝でありますぞ!」

「どうかその様な考えは、お話にならないよう願います」

次官の反論に、勝は少し考えたそぶりを見せ、次官に話す。

「そうだな…大恩あるピット王にこのような考えは不敬だったな…」

「今言ったことは忘れてくれ」

「はい!」

佐藤次官は軽くお辞儀する。

その時、部屋をノックして入ってきた兵から緊急の報告が入った。

「緊急事態です!敵の船から多数の魔物と龍が飛び立ち、江戸に向けて進撃中!」

報告を受けた勝は席に座りなおす。

「佐藤君、横浜基地の今村空軍司令官に連絡」

「江戸に向かった敵魔物団を至急迎撃せよと!」

「はっ!」

佐藤次官は会釈し、そのまま兵と一緒に部屋を出る。

勝は椅子を回し、席の後ろにある窓から空を眺める。

(これからは戦い方が大きく変わっちまう…)

(ラビット国の力は、恐らくこの世界でも抜きんでている)

(万が一彼がいなくなった時、後を継いだものが野心を抱いた者だったら、世界はとんでもないことになるんじゃねえのか?)

(…いかん、いかん!今はこの戦争を終わらせることだ!)

勝はピット王が、この世界から途中で『退場』しないことを切に願った。
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