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群雄進撃編
第249話 タイ捨流vs神道幡蔭流
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丸目の袈裟構えに対し、河上は片膝を付き、抜刀構えで迎え撃つ。
(ほう、おもしりい構えやな!)
丸目は河上の構えを見て思う。
7mほどあった距離は、丸目がずかずかと迫り一気に双方の刀が届く距離となる。
河上は瞬時に抜刀し、刀を斬り上げるが、丸目の袈裟斬りで刀は弾かれる。
そのまま丸目は右足を狙い、刀を振り下げるが、その刀は宙を斬る。
(む!気付かんうちに右足を開いちょったか!ぬかったわ!)
河上の誘いにいち早く気付いた丸目は、そのまま突きに出た刀と反対方向へ転がり、すぐさま横払いにて追撃に来た河上の刀を弾いた。
体を立て直そうとする丸目に、川上の上下左右・突きをも交えた剣撃が次々と襲い掛かる。
河上の激しい剣撃に、再度体勢を崩し倒れ込んだ丸目へ、河上は心臓に向けて渾身の突きを繰り出す。
(…取った!)
河上は勝利を確信したが、丸目はそれを読んでいたかの如く、刀の刃先を右手で払い狙いを狂わせ、そのまま足を使い巴投げのようにして河上を投げ飛ばした。
地面を転がりながらも、河上すぐに立ち上がったが、手には刀を握っていない。
丸目は心臓に刺さるのは回避できたが、河上の刀は左の肺と肩甲骨の間を貫通して刺さっていた。
丸目もすぐに立ち上がり、自身に刺さった刀を抜き、右手に持ち替え構える。
「やるな河上とやら!お陰で儂ん左手は使い物にならんごつなったぞ!」
笑いながら片手で構える丸目に対し、河上は脇差しで居合の構えを取る。
『双方、やめじゃ!』
二人の息を突かせぬ攻防は、家久の一喝で終了する。
家久の足元には、兵士たちにより取り押さえられた宮部がいた。
「わいどんの司令官は取り押さえた!」
「降伏せや!さすりゃ命までは取らん!」
司令官の姿を見て刀を収める河上。
「…好きにせー」
腰に差した刀を抜き、地面に置いた河上は胡坐をかき、腕を組んで目を瞑った。
「河上とやら!実に見事であった!」
丸目は機嫌よく河上に刀を返した。
「それで、そん戦い方は我流か?」
「んーにゃ、そんげ事はどんげでんいい!儂と共にさらに技を磨かんか?さすりゃお主ん剣技はまだまだ伸ぶるぞ?」
「…」
丸目の誘いにも、河上は何も答えない。
そんな丸目たちを横目に、家久は捕らえた司令官に質問する。
「司令官...宮部ちゆたか?わいはラビット国ん王といっきょた(会った)ことはあっとな?」
「直接はあったことはなかばってん、彼は命ん恩人や」
「命ん恩人?」
家久の疑問に宮部は答える。
「儂は本来、もっと早う死ぬる運命じゃった…」
「ばってん、そん運命ば事前に知っとったピット王が手ば打ってくれたおかげで、会うたこともなか儂と仲間の命ば救うてくれたんじゃ」
(事前に知っちょったじゃと?こんやつはないを言ってる?)
宮部と家久のやり取りを聞いていた、軍師の『伊集院忠棟(いじゅういん・ただむね)』が家久にそっと耳打ちする。
「家久様、奴ん言葉から察すっに、どうやら前世ん記憶があっようじゃぞ」
「!」
伊集院の言葉に驚く家久。
それもそのはず、前世の記憶を持つものは日ノ本でもごく一部しかおらず、島津家でも義弘だけが、前世の記憶を持っていた。
(じゃっど!ないごてかこんやつは日ノ本ん儂んこっ知っちょった!)
(そして兄者(義弘)にも、極力戦闘を避くっごつ言われた)
家久は考える。
(う~む、わしゃ戦は得意じゃが、こげん小難しか事はようわからん!)
(よし!こん件は軍師ん伊集院に全て任せっど!)
結論が出た家久は、全軍に号令を出す。
「者共!勝鬨を上げじゃ!」
「「「エイ・エイ・オー!!!」」」
勝鬨を上げ終えた家久たちは、捕虜を連れて丘の上に造った陣地『高城』に引き上げていった。
(ほう、おもしりい構えやな!)
丸目は河上の構えを見て思う。
7mほどあった距離は、丸目がずかずかと迫り一気に双方の刀が届く距離となる。
河上は瞬時に抜刀し、刀を斬り上げるが、丸目の袈裟斬りで刀は弾かれる。
そのまま丸目は右足を狙い、刀を振り下げるが、その刀は宙を斬る。
(む!気付かんうちに右足を開いちょったか!ぬかったわ!)
河上の誘いにいち早く気付いた丸目は、そのまま突きに出た刀と反対方向へ転がり、すぐさま横払いにて追撃に来た河上の刀を弾いた。
体を立て直そうとする丸目に、川上の上下左右・突きをも交えた剣撃が次々と襲い掛かる。
河上の激しい剣撃に、再度体勢を崩し倒れ込んだ丸目へ、河上は心臓に向けて渾身の突きを繰り出す。
(…取った!)
河上は勝利を確信したが、丸目はそれを読んでいたかの如く、刀の刃先を右手で払い狙いを狂わせ、そのまま足を使い巴投げのようにして河上を投げ飛ばした。
地面を転がりながらも、河上すぐに立ち上がったが、手には刀を握っていない。
丸目は心臓に刺さるのは回避できたが、河上の刀は左の肺と肩甲骨の間を貫通して刺さっていた。
丸目もすぐに立ち上がり、自身に刺さった刀を抜き、右手に持ち替え構える。
「やるな河上とやら!お陰で儂ん左手は使い物にならんごつなったぞ!」
笑いながら片手で構える丸目に対し、河上は脇差しで居合の構えを取る。
『双方、やめじゃ!』
二人の息を突かせぬ攻防は、家久の一喝で終了する。
家久の足元には、兵士たちにより取り押さえられた宮部がいた。
「わいどんの司令官は取り押さえた!」
「降伏せや!さすりゃ命までは取らん!」
司令官の姿を見て刀を収める河上。
「…好きにせー」
腰に差した刀を抜き、地面に置いた河上は胡坐をかき、腕を組んで目を瞑った。
「河上とやら!実に見事であった!」
丸目は機嫌よく河上に刀を返した。
「それで、そん戦い方は我流か?」
「んーにゃ、そんげ事はどんげでんいい!儂と共にさらに技を磨かんか?さすりゃお主ん剣技はまだまだ伸ぶるぞ?」
「…」
丸目の誘いにも、河上は何も答えない。
そんな丸目たちを横目に、家久は捕らえた司令官に質問する。
「司令官...宮部ちゆたか?わいはラビット国ん王といっきょた(会った)ことはあっとな?」
「直接はあったことはなかばってん、彼は命ん恩人や」
「命ん恩人?」
家久の疑問に宮部は答える。
「儂は本来、もっと早う死ぬる運命じゃった…」
「ばってん、そん運命ば事前に知っとったピット王が手ば打ってくれたおかげで、会うたこともなか儂と仲間の命ば救うてくれたんじゃ」
(事前に知っちょったじゃと?こんやつはないを言ってる?)
宮部と家久のやり取りを聞いていた、軍師の『伊集院忠棟(いじゅういん・ただむね)』が家久にそっと耳打ちする。
「家久様、奴ん言葉から察すっに、どうやら前世ん記憶があっようじゃぞ」
「!」
伊集院の言葉に驚く家久。
それもそのはず、前世の記憶を持つものは日ノ本でもごく一部しかおらず、島津家でも義弘だけが、前世の記憶を持っていた。
(じゃっど!ないごてかこんやつは日ノ本ん儂んこっ知っちょった!)
(そして兄者(義弘)にも、極力戦闘を避くっごつ言われた)
家久は考える。
(う~む、わしゃ戦は得意じゃが、こげん小難しか事はようわからん!)
(よし!こん件は軍師ん伊集院に全て任せっど!)
結論が出た家久は、全軍に号令を出す。
「者共!勝鬨を上げじゃ!」
「「「エイ・エイ・オー!!!」」」
勝鬨を上げ終えた家久たちは、捕虜を連れて丘の上に造った陣地『高城』に引き上げていった。
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