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群雄進撃編
第244話 会談
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亥の刻となった陣幕内には、武田勝頼・真田昌幸・山県昌景・高坂昌信の4人が並んで座っている。
陣幕の外は、高坂の部隊が守備していた。
「報告します!五稜郭より使者の方がお見えになられました」
守備兵の報告を受けて、高坂は中に通すよう指示する。
やがて陣幕の入口より、4人の男たちが現れる。
西洋の洋服を着た高官と思われる男、軍服を着た西洋人のような顔立ちをした男、だんだら羽織を着た男、綿帽子を被り扇子を持った男たちは、机を挟み武田家臣の正面に座った。
『空間断絶』
官兵衛のスキルにより、陣幕内が外部と遮断された。
「武田軍の皆さま、初めまして」
「私は五稜郭司令官を仕っております『榎本武揚』です」
洋服を着た榎本は一礼し、その名を聞いた高坂と山県は驚く。
「儂が此度の武田軍総大将を務める『武田勝頼』である」
堂々とした勝頼の挨拶に、席にいた皆全員が黙って頷いた。
続いて真田昌幸・山県昌景・高坂昌信が順に自己紹介をする。
「皆様方はじめまして、私はラビット国の大尉(軍事宰相)・黒田官兵衛でございます」
(なに!ラビット国の兵士たちが要るのは分かっていたが、まさか国の大尉まで来ているとは!)
昌幸は表情にこそ出さないが、内心ではかなりの驚きであった。
官兵衛は自身の名を告げた後、武田幹部の顔を流してみる。
「私も挨拶をさせて頂きます」
次は軍服を着た男が自己紹介をする。
「私の名は『秋山好古(あきやま・よしふる)』、五稜郭軍騎馬隊長務めとります」
(彼が原殿の騎馬隊を翻弄した男?顔は西洋人のようだが違うのか?)
(それよりも、彼の銃を使った戦い方は見事であったと、原殿も褒めておったな)
山県は、原昌胤の騎兵団と戦った秋山に興味があった。
最後にだんだら羽織の男が挨拶する。
「皆様方、初めまして」
「ラビット国・要人護衛を務めております『新撰組』副長・山南敬助(やまなみ・けいすけ)です」
山南は皆に一礼する。
(この男も副長?護衛と言う事は、彼も剣術は相当なものなのだろうな?)
(しかし、もう一人の副長とは違い、こちらは礼節を重んじる者のようだ)
昌幸の見立て通り、前世から山南は人格者として知られており、落ち着いた性格・礼節をわきまえた彼は、主に要人の警護を行っている。
「それで、司令官がわざわざ会いに来たという事は、我々にしか話せない大事な話があると思ってよいのじゃな?」
勝頼の言葉に、榎本は頷く。
「我々が望んでいることをお話します」
「亜人連合国・ラビット王国は、蝦夷攻略軍・武田勝頼殿が我等に付くことを提案いたします」
「な、なんじゃと?!」
想定もしていない敵の案に、勝頼は席を立つ。
「我々に…日ノ本を…祖国を裏切れと言うのか!」
思わず叫ぶ勝頼を、昌幸は窘める。
「勝頼様、落ち着いてください!」
「榎本様!なぜ我々にそのような提案をするのかお聞かせ願いたい!」
この提案に、怒った口調で返す昌幸だったが、不思議と怒りが湧かなかった。
「この件につきましては、私から説明いたしましょう」
その言葉と共に、黒田官兵衛は立ちあがる。
陣幕の外は、高坂の部隊が守備していた。
「報告します!五稜郭より使者の方がお見えになられました」
守備兵の報告を受けて、高坂は中に通すよう指示する。
やがて陣幕の入口より、4人の男たちが現れる。
西洋の洋服を着た高官と思われる男、軍服を着た西洋人のような顔立ちをした男、だんだら羽織を着た男、綿帽子を被り扇子を持った男たちは、机を挟み武田家臣の正面に座った。
『空間断絶』
官兵衛のスキルにより、陣幕内が外部と遮断された。
「武田軍の皆さま、初めまして」
「私は五稜郭司令官を仕っております『榎本武揚』です」
洋服を着た榎本は一礼し、その名を聞いた高坂と山県は驚く。
「儂が此度の武田軍総大将を務める『武田勝頼』である」
堂々とした勝頼の挨拶に、席にいた皆全員が黙って頷いた。
続いて真田昌幸・山県昌景・高坂昌信が順に自己紹介をする。
「皆様方はじめまして、私はラビット国の大尉(軍事宰相)・黒田官兵衛でございます」
(なに!ラビット国の兵士たちが要るのは分かっていたが、まさか国の大尉まで来ているとは!)
昌幸は表情にこそ出さないが、内心ではかなりの驚きであった。
官兵衛は自身の名を告げた後、武田幹部の顔を流してみる。
「私も挨拶をさせて頂きます」
次は軍服を着た男が自己紹介をする。
「私の名は『秋山好古(あきやま・よしふる)』、五稜郭軍騎馬隊長務めとります」
(彼が原殿の騎馬隊を翻弄した男?顔は西洋人のようだが違うのか?)
(それよりも、彼の銃を使った戦い方は見事であったと、原殿も褒めておったな)
山県は、原昌胤の騎兵団と戦った秋山に興味があった。
最後にだんだら羽織の男が挨拶する。
「皆様方、初めまして」
「ラビット国・要人護衛を務めております『新撰組』副長・山南敬助(やまなみ・けいすけ)です」
山南は皆に一礼する。
(この男も副長?護衛と言う事は、彼も剣術は相当なものなのだろうな?)
(しかし、もう一人の副長とは違い、こちらは礼節を重んじる者のようだ)
昌幸の見立て通り、前世から山南は人格者として知られており、落ち着いた性格・礼節をわきまえた彼は、主に要人の警護を行っている。
「それで、司令官がわざわざ会いに来たという事は、我々にしか話せない大事な話があると思ってよいのじゃな?」
勝頼の言葉に、榎本は頷く。
「我々が望んでいることをお話します」
「亜人連合国・ラビット王国は、蝦夷攻略軍・武田勝頼殿が我等に付くことを提案いたします」
「な、なんじゃと?!」
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「我々に…日ノ本を…祖国を裏切れと言うのか!」
思わず叫ぶ勝頼を、昌幸は窘める。
「勝頼様、落ち着いてください!」
「榎本様!なぜ我々にそのような提案をするのかお聞かせ願いたい!」
この提案に、怒った口調で返す昌幸だったが、不思議と怒りが湧かなかった。
「この件につきましては、私から説明いたしましょう」
その言葉と共に、黒田官兵衛は立ちあがる。
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