神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第242話 五稜郭の軍使

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五稜郭軍が去った後、各軍団長は隊の再編成を行いつつ、損害状況を確認していた。

各包囲軍団

内藤・馬場軍団 損害無し
山県軍団 ケンタウロス騎馬 負傷50 オーク兵損害無し

武田本陣

原騎馬隊 ケンタウロス騎馬 死者100 負傷200超
小山田オーク兵団 死者150 負傷者300
秋山オーク兵団 死者120 負傷者240
高坂守備団 死者500 負傷者800

合計すると、ケンタウロス兵100・オーク兵770が死亡(不明含)し、1,540の負傷者を出した。

また、新兵器である『アームストロング砲』も全て破壊された。

対する五稜郭軍であるが

五稜郭騎馬隊
騎兵死者50 

五稜郭本陣攻撃軍
人間・亜人死者300(新撰組隊士8名含む)

五稜郭左右砲撃隊
砲兵・守備兵死者50 

五稜郭軍の負傷者数は不明で、爆発・土煙と一緒に皆無くなってしまっていた為だ。

ただ五稜郭兵の捕虜も、多くはないが捕縛している。

その捕虜からの情報と才蔵の調査結果を元に、昌幸は軍議に集まった勝頼と家臣たちへ説明を行った。

「軍師殿!なぜ我らが艦に籠って待機せねばならんのじゃ!」

「確かに初戦は敵の奇襲を受け、こちらの被害が多ございましたが、撤退するほどの事ではございませぬ!」

昌幸による内地からの撤退案に、内藤・馬場は納得がいかない。  

「昌幸、説明せよ」

「はっ!」

勝頼の言葉に、昌幸は一礼して説明する。

「此度は敵の城・五稜郭攻略のために、いろいろと策を練っておりましたが、それ自体が敵の策略と気づいたからでございまする」

「策略?一体どんな?」

内藤が聞き返す。

「にわかに信じられない事ですが…この平野全てが、敵の『地下要塞』となっております」

「「「なんじゃと?!」」」

「この平野の広さは相当なものだぞ?そのような事は可能なのか?」

次々と上がる、家臣団の驚愕と疑問の声。

正直なところ、話した昌幸にも信じがたい事なのだ。

「今回の本拠地奇襲は、この見晴らしのいい平野で、日中堂々と行われた信じられない出来事でございました」

「しかも誰一人として、側面からの砲撃、及び本陣が奇襲される瞬間まで気付いておりません」

「つまりこれは、地下から好きなところへ自由自在に表れることができるよう、無数の『道と拠点』を作成していると考えられます」

「しかも、我々が攻め込むずっと前…おそらく城を建てるのと同時期に考えられていたと思われまする」

昌幸の説明に、否が応でも納得させられる家臣団。

「つまり我々は、今でも敵の要塞の上に陣を構えているという事なのか?」

皆はじっと地面を見る。

昌幸は勝頼に向き直り進言する。

「勝頼様!申し上げました通り、この場所は非常に危険でございます!」

「無念ではありますが、ここは全軍船内へ一時撤退するのが宜しいと具申致します」

昌幸の言葉に、目を瞑り考える勝頼。

それもそのはず、全軍を艦内に戻すという事は、敵との戦闘を放棄したと取られ兼ねない。

(このままでは、秀吉や信長からどの様な叱責を受ける事になるか…)

そんな時、兵から急報が入る。

「報告します!敵城から白旗を持った軍使が二人、陣に来ております!」

「白旗じゃと?!」

「はい!軍使と名乗る男たちが、捕虜交換の交渉に来たと申しております!」

(捕虜交換の交渉だと?)

日ノ本には、武将級以上の人物や家族であればそのような交渉が行われるが、一兵卒や魔物でやることなど、過去に一度もなかった。

「…承知した!その者をここへ連れて参れ!」

「ハハッ!」

そう短く返事をし、兵士は軍使を呼びに行く。

(いろいろと聞いてみたいことがあったので丁度良い!)

昌幸は軍使の登場を待つ。

やがて、兵に案内された二人の男が、白旗を肩に乗せ中へと入ってきた。

「お初にお目に掛かりまする、ラビット国蝦夷防衛軍参謀、張松子喬(ちょうしょう・しきょう)でございます」

張松は頭を下げ拱手する。

「同じく、ラビット国蝦夷防衛軍『新撰組』副長・土方歳三、今回は護衛として参った!」

「貴様は昨日の襲撃者!!」.

怒って立つ高坂に、土方はにやりと笑う。

「まあ、そんなに怒るなって!今日は襲撃に来たんじゃないんだからよ!」

「何じゃと貴様!」

土方の言葉に、一斉に立ち上がる武田家臣たち。

こうして捕虜交換の交渉の場は、一瞬にして緊張感に包まれた。
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