神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第240話 五稜郭の戦い 3

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陣幕内には、次々とオーク兵が加勢に入ろうとするが、陣幕を囲んで守る二番組隊士たちが、次々とオーク兵を斬り倒す。

そして陣幕内では、真田昌幸が苦戦を強いらされていた。

剣の達人・永倉が繰り出す隙のない剣撃に、昌幸は防ぐので精一杯であった。

「なるほど…軍師・真田昌幸の剣術は、多少齧ってられるようであるが、儂の相手にはちと物足りんのう!」

永倉は喋りながらも、剣の速度を上げていく。

(クッ…!こやつの剣術はもはや『剣豪級』!儂ごときの剣技ではどうにもならぬ…)

苦戦する昌幸を横目に、武田勝頼は土方相手に善戦していた。

「さすがは信玄公の息子・武田勝頼!はるばる蝦夷まで来た甲斐が会ったぜ!」

「ふん!儂はお前たちに会いとうなかったがのう!」

無数に鳴り合う刀と刀のぶつかり合う音が、陣幕内で鳴り響く。

しかし遂に、昌幸は持っていた刀を弾き飛ばされてしまう。

「昌幸!!」

勝頼は叫びにも似た言葉で昌幸を呼ぶ。

永倉は一気に突きを繰り出そうとしたが、何かを察知し後ろに飛び退く。

それと同時に、永倉が飛び込もうとした場所と、先ほどまでいた場所に苦無が突き刺さり、昌幸の前に黒服の男が降り立った!

「昌幸様!遅くなり申し訳ございませぬ!」

「才蔵!来てくれたか!」

五稜郭周辺の調査を行っていた忍者『霧隠才蔵(きりがくれ・さいぞう)』は、いち早く本陣急襲を察知し戻ってきたのである。

「ほっほっほっ!まさか伊賀忍者と刃を交える日が来るとは…まこと、転生はしてみるもんじゃな!」

永倉新八は刀を構え直し、才蔵に意識を集中する。

「昌幸様!ここは私が食い止めますので、昌幸様は勝頼様のご助勢を!」

「分かった!」

昌幸は勝頼の助勢に向かうが、永倉はそれを意に介そうともせず、才蔵にのみ集中した。

その為に土方は、二人を同時に相手する事となった。

「おいおい!一人相手に二人掛かりとは卑怯だな!」

「ふん!これは決闘ではなく戦じゃ!」

「悪いが勝つことを優先させてもらう!」

勝頼と刀を拾い直した昌幸の言葉に、なるほどそうだと土方は短く答える。

「じゃあ俺も、本気を出すとするか!」

土方はそう言い放つと、少し距離を取り刀に魔力を送り始める。

「ふん!貴様が準備をする間、指をくわえて待っているほどわしは甘くないぞ!」

昌幸は好機と取り、集中している土方に襲い掛かる。

「ふん!」

土方は昌幸の剣撃を刀で受け止める。

つばぜり合いとなった昌幸は、暫くすると刀を持った手に異変を感じた。

(冷たい!)

刀から慌てて離した手を見ると、小手の表面が凍り付いていた。

何が起きたか分からず、慌てて土方を見ると、信じられない物が視界に飛び込んだ。

(俺の刀が、奴の刀に張り付いている?!)

昌幸の刀は、鍔迫り合いの状態のまま土方の刀に引っ付いていた。

張り付いた昌幸の刀を土方が握り、剥がして昌幸の前に投げ返すと、地面に落ちた瞬間、刀は粉々に砕けてしまった。

(これは…冷気?)

(そうか!奴は刀に凍気を纏わせたのか!)

「真田昌幸、小手で救われたな!」

昌幸の考えを読んだかのように、土方は話しだす。

「俺は氷属性でな、魔力を使って物を一気に凍らせる力がある」

「愛刀・『和泉守兼定』に触れた物は、俺の能力『絶対零度』で、先ほどの刀のようになってしまう」

(なるほど、奴の太刀を受けずに、躱し続けるしかないという事か…)

横目に才蔵を見るが、永倉の剣撃に防戦一方の様である。

(せめて、勝頼様だけでも逃がさねば!)

昌幸は残った脇差しを抜き、覚悟を決める。
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