神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第239話 五稜郭の戦い 2

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五稜郭付近で発生した騎馬戦を、武田陣営は陣幕内で聞くこととなる。

「報告します!原昌胤殿率いるケンタウロス騎馬隊が、前方の敵騎兵と交戦中!」

「現在敵騎兵が二つに分かれ、敵後方を取ろうとしているものの、敵のもう一隊に後方を取られているとの事!」

報告を聞き、小山田は昌幸に向き直って問う。

「軍師殿!このままでは先鋒を務めた原騎馬隊が危のうございますぞ!」

「いや、念のため内藤殿と馬場殿には、何かあった場合援軍を回すよう申しておる」

昌幸は既にこうなったとこの対処を打っていた。

武田軍は五稜郭の4方を、中央本軍・内藤軍団・山県軍団・馬場軍団で包囲しており、本陣に近い内藤・馬場の両名には、中央で戦闘あった場合は各1,000のケンタウロス騎兵団で駆けつけるよう打合せをしていたのである。

(中央の敵軍は、いずれ内藤。馬場の援軍で壊滅させることができる…)

(しかし、なぜ奴らは挑発めいた横並びの陣で現れた?)

(まさか、ここに騎兵団を集中させるため?)

昌幸が考えを巡らせている中、複数の爆発音が陣内から上がる。

「何事じゃ!」

席を立つ勝頼のもとに、兵が報告に来る。

「報告!現在敵からの『砲撃』で、我らの砲撃陣地に被害が出ております!」 

「何じゃと!」

慌てる勝頼と家臣団。

「それで、敵はいったいどこから砲撃しておるのだ?!」

昌幸の質問に、兵は答える。

「はっ!敵は我が陣から2000mほど離れた左右に塹壕を掘り、そこから砲撃を行っている様下ございます!」

「なに?塹壕の中からだと?!」

皆が驚くと同時に、昌幸も指示を出す。

「秋山殿!貴殿はオーク兵2,000を率いて、陣左側面の敵砲兵を殲滅せよ!」

「小山田殿!貴殿も同じくオーク兵2,000を率いて、陣右側面の敵砲兵を殲滅せよ!」

「高坂殿は、残りのオーク4,000で、本陣守備の指揮を任せる!」

「「「応!!」」」

三人は席を立ち、急ぎ陣幕を出る。

(しまった…敵の策にまんまと乗せられてしまった!)

悔みつつも昌幸は、総大将・武田勝頼に進言する。

「勝頼様!万一の事態に備え、戦艦の中にて采配をお願い申し上げます」

昌幸の進言に、勝頼は立腹する。

「昌幸!この場で戦う部下を見捨てて、儂に逃げよと申すか!」

「儂はそのような恥知らずにはならんぞ!」

勝頼の言葉に、昌幸は頭を下げて説明する。

「勝頼様、お待ちくだされ!」

「此度は敵地での戦いであり、この先どのような仕掛けがあるか分かりませぬ!」

「その様な中で、万が一勝頼様の身に何かあれば、我ら家臣団は誰に忠義を尽くせばよいのですか!」

「ここは一度引いて、この昌幸に汚名返上の機会をお与えください!」

昌幸の必死の訴えに、勝頼は口を開く。

「…昌幸よ、すまなかった」

「儂は危うく、真田昌幸と言う大事な家臣を失うところであった」

「殿!失態を犯した私に勿体ないお言葉!」

頭を下げる昌幸の目頭には、うっすらと涙が浮かんでいた。

「昌幸よ、儂は一度軍艦『甲斐』まで戻るぞ!」

「ハハッ!」

二人はそのまま陣幕の入り口を見て、歩もうとした足を止める。

『おいおい!お前たちと戦うため、わざわざ五稜郭から出向いてきたのに、もう船に帰るとか連れないじゃないか?』

『せっかく今日まで待ったのじゃ!一度くらいは合わせ願いたいものじゃ』

陣幕の入り口に立った、黒い西洋軍服を着た美しい顔立ちの男と、だんだら羽織を着こなす、鋭い眼光をした男が腕を組み、勝頼と昌幸に話しかける。

「蝦夷方面軍総大将・武田四郎勝頼である!」

「蝦夷方面軍軍師・真田昌幸と申す!」

勝頼と昌幸が名乗りを上げたことに驚くが、二人も礼を取り名乗りを上げる。

「ラビット国蝦夷防衛軍『新撰組』副長・土方歳三!」

「同じく、ラビット国蝦夷防衛軍『新撰組』二番組組長・永倉新八と申す!」

4人同時に剣を抜く。

「貴殿らが死ぬまでの短い間、お付き合い願おう!」

「笑止!返り討ちにしてくれるわ!」

土方と永倉が同時に飛び掛かり、陣幕内での戦闘が始まった。
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