神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第234話 阿久根の戦い 3

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宋国艦隊の至る所で、水柱と爆発音が鳴り響く。

「松島の砲撃が敵駆逐艦に命中!」

「先ばあ命中した巡洋艦から火が出ちょります!」

「同じく、先ばあ砲撃を行った駆逐艦が爆発炎上!」


ユニオン号の通信室には、各艦からの戦果が次々と上がってくる。

「竜馬さん!やった!」

夜の甲板で戦況を見つめる龍馬に、沢村は嬉しそうに話しかける。

「そうか…儂は目が悪うてよう見えんき、それを聞いて安心したぜよ」

龍馬は目を細めながら、砲撃の戦果を必死に見つめた。

「やけんど龍馬さんはすごい!」

「昼間のうちに敵の射程と配置を確認しちょいて、夜戦にて攻勢を仕掛けるのやき!」

関心しきりの沢村に、龍馬の隣にいた陸奥が当たり前のように説明する。

「当然だろ!」

「こっちの方が艦数も射程も敵より少ないんだから、頭使わなければ勝てるわけがないだろ!」

「何だと陸奥!」

「おんし年下のくせに!」

沢村と陸奥がけんかをはじめた中、今度は地上部隊に変化が起きた。

陣地内の至る所で、地面に魔法陣が浮かんだかと思うと爆発し、呆然とした宋兵たちを吹き飛ばした。

その爆発が収まったと同時に、中岡率いる『陸援隊』1,000と、中村半次郎が率いる薩摩軍1,000が、ラッパの音と共に一斉に斬り込んだ。

「わははは!おらおら!この内蔵太を止めてみろ!」

半獣化した池内蔵太が、両手に刀を持ち目の前に現れた宋兵を次々と斬り倒す!
「わいどん!こん国に攻めて来たことをけしんまで後悔せんか!」

「チェストー!」

「うぎゃー!」

「逃げろー!」

薩摩軍の兵は、皆『示現流』の使い手であり、兵一人一人の強さはこの国最強であった。

その中でも、桐野利秋(中村半次郎)が率いる兵団は、士族の中でも精鋭部隊であり、一撃で敵を葬って行った。

久しぶりの陸地に泥のように眠っていた兵たちは、海・陸からの奇襲を受けて、何が何だか分からないうちに次々と倒されていく。

「落ち着け!奇襲は少数だ!」

「混乱せずに、3人一組で敵に当たれ!」

やがて、宋軍の将軍たちが指示を出し始めると、撤退のラッパと共に陸戦隊と薩摩軍は一斉に撤退した。

「追うな!伍長は自分の隊を纏め、上官に報告しろ!」

遠征に参加していた『双槍将・トウヘイ』『小李広・カエイ』は、混乱した兵団を素早くまとめ終える。

沖で大戦果を上げた龍馬は、全艦隊に電信する。

「千屋寅之助・岡田健吉・新宮馬之助に連絡!敵戦艦が動き始めた為、退却する!」

「「「ヨーソロー!」」」

号令と共に、各艦決めていた海路へと離脱する。

同時に、陸戦部隊からも連絡が入る。

「我レ中岡・薩摩軍トノ奇襲成功セリ!」

「多クノ宋兵ヲ斬ッテ退却中」との事!

「おお!中岡と半次郎さん達の夜襲は無事に成功したんやねや!!」

ユニオン号の甲板で歓喜する海援隊の幹部たち。

大戦果を喜ぶかと思われた龍馬だが、心の中ではそうは思っていなかった。

(この戦いの指揮を執って分かったが、これを謀った韓王って人は、一体どれほど先が読めるのじゃ?)

(いや、そもそもピットさんのとこには、こがな御仁が何人もおると聞く!)

(この広い世界では、儂はまだまだ小魚ばあだ!)

(もっともっと力を付けんと!)

「よし!このまま串木野の港に戻り、薩摩に迫る日ノ本艦隊を迎撃するぜよ!」

「「「ヨーソロー!」」」

海からの奇襲が始まって3時間程が立ち、龍馬達は全軍撤退した。
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