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群雄進撃編
第233話 阿久根の戦い 2
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夜となり、静まり返る阿久根。
この地は僅かな平野が広がり、その後方に山脈が連なる。
また、この地から薩摩までの距離は直線80㎞ほどあり、進撃するには1月近くを要する位置である。
戦艦・東京の作戦会議室で、軍司令・童貫と水軍都督・リュウムリュウ、4人の魔族将軍たちは地図を見ながら今後の戦略を考える。
「…ここには何もないではないか?!」
「なぜ日ノ本の奴らは、この地を制圧してほしいなど言ってきたのだ?」
不思議そうに答える童貫。
「手紙によると、日ノ本はここから佐賀・熊本の増援を抑えてほしいと書いておりました」
魔族将軍の一人・デービットが胸を張って答える。
「確かに…確かにそう書いてあったのは知っている!」
「しかし!このようなところでは、補給も受けられないではないか!」
童貫の問いに、参謀の『コウブンペイ』は考えを話す。
「これは日ノ本が我々を嵌めたか、手紙が偽物であったと考えるべきでしょう」
「そんな…?!」
そんなことはないと言いたかった童貫だったが、全否定できないほどに、コウブンペイの言葉は的を得ていた。
その時、沖の方から多数の砲音と爆発音が聞こえてくる。
「敵襲か?!」
慌てて外に出て、甲板から見る童貫たちの目の前には、沖側に停泊している巡洋艦と駆逐艦から火柱が上がった姿が見えた。
「エンジン始動!沖合にいる敵艦に向けて反撃せよ!」
司令部から慌てて電信を送るが、敵艦隊の砲撃と共に沖合の艦隊は次々と炎を上げ始める。
「どうしてだ!なぜあいつらは動かない?!」
「まさか…港にいたときのように機関を停止していたのでは?」
「であれば、数時間は船は動かんぞ!」
童貫たちの質問に、艦長は焦りながら答える。
宋国の兵たちは海戦とは殆ど縁がなく、今回も川で戦う『水軍』兵に、艦を売却した『大英海龍国』の技術者たちが2か月程度で指導した即席海軍兵たちである。
今回も、宋国で練習航海を行っている途中に参戦要請を受けた為、殆どの者たちが実戦経験を積む間もなくここまで来てしまっている。
更に、龍馬率いる海援隊は、昼間のうちに敵の艦数・配置・射程・練度などを把握しており、夜襲をかければ戦果を挙げられると判断する。
結果、海援隊の奇襲攻撃を、一方的に受ける形となってしまったのだ。
戦艦東京と東昌は、砲を沖合に向け、敵艦隊がいるであろう方角に向けて砲撃を開始する。
その間上陸した兵8,000は、何もできずに海の方を眺めていた。
突然、地面で大爆発があちこちで発生する。
「てっ敵襲だ!!」
上陸した魔族兵たちは大混乱に陥った。
大爆発が終わると、突撃ラッパと共に軍服を着た兵たちが現れる。
「チェストー!!」
「ぐわっ!!」
暗闇の中で炎が上がり、乾いた銃声と、あちこちで聞こえる掛け声に、魔族兵たちはさらに混乱し、四方八方へと逃げ始めた。
夜襲が開始されて2時間、再度ラッパが鳴り、襲撃した者たちが一斉に引き上げる。
残った魔族軍は追撃を行わず、急ぎ陣地の消火と再編成を行った。
「嵌められた…亜人の奴らに嵌められた!」
甲板から海と陸で燃え上がる艦と陣地を見て、童貫は震えながら呟いた。
「おのれ亜人共!この恨みは必ず晴らさせてもらうからな!」
童貫は怒りに震えながら、燃えさかる自分の艦隊をじっと見つめていた。
この地は僅かな平野が広がり、その後方に山脈が連なる。
また、この地から薩摩までの距離は直線80㎞ほどあり、進撃するには1月近くを要する位置である。
戦艦・東京の作戦会議室で、軍司令・童貫と水軍都督・リュウムリュウ、4人の魔族将軍たちは地図を見ながら今後の戦略を考える。
「…ここには何もないではないか?!」
「なぜ日ノ本の奴らは、この地を制圧してほしいなど言ってきたのだ?」
不思議そうに答える童貫。
「手紙によると、日ノ本はここから佐賀・熊本の増援を抑えてほしいと書いておりました」
魔族将軍の一人・デービットが胸を張って答える。
「確かに…確かにそう書いてあったのは知っている!」
「しかし!このようなところでは、補給も受けられないではないか!」
童貫の問いに、参謀の『コウブンペイ』は考えを話す。
「これは日ノ本が我々を嵌めたか、手紙が偽物であったと考えるべきでしょう」
「そんな…?!」
そんなことはないと言いたかった童貫だったが、全否定できないほどに、コウブンペイの言葉は的を得ていた。
その時、沖の方から多数の砲音と爆発音が聞こえてくる。
「敵襲か?!」
慌てて外に出て、甲板から見る童貫たちの目の前には、沖側に停泊している巡洋艦と駆逐艦から火柱が上がった姿が見えた。
「エンジン始動!沖合にいる敵艦に向けて反撃せよ!」
司令部から慌てて電信を送るが、敵艦隊の砲撃と共に沖合の艦隊は次々と炎を上げ始める。
「どうしてだ!なぜあいつらは動かない?!」
「まさか…港にいたときのように機関を停止していたのでは?」
「であれば、数時間は船は動かんぞ!」
童貫たちの質問に、艦長は焦りながら答える。
宋国の兵たちは海戦とは殆ど縁がなく、今回も川で戦う『水軍』兵に、艦を売却した『大英海龍国』の技術者たちが2か月程度で指導した即席海軍兵たちである。
今回も、宋国で練習航海を行っている途中に参戦要請を受けた為、殆どの者たちが実戦経験を積む間もなくここまで来てしまっている。
更に、龍馬率いる海援隊は、昼間のうちに敵の艦数・配置・射程・練度などを把握しており、夜襲をかければ戦果を挙げられると判断する。
結果、海援隊の奇襲攻撃を、一方的に受ける形となってしまったのだ。
戦艦東京と東昌は、砲を沖合に向け、敵艦隊がいるであろう方角に向けて砲撃を開始する。
その間上陸した兵8,000は、何もできずに海の方を眺めていた。
突然、地面で大爆発があちこちで発生する。
「てっ敵襲だ!!」
上陸した魔族兵たちは大混乱に陥った。
大爆発が終わると、突撃ラッパと共に軍服を着た兵たちが現れる。
「チェストー!!」
「ぐわっ!!」
暗闇の中で炎が上がり、乾いた銃声と、あちこちで聞こえる掛け声に、魔族兵たちはさらに混乱し、四方八方へと逃げ始めた。
夜襲が開始されて2時間、再度ラッパが鳴り、襲撃した者たちが一斉に引き上げる。
残った魔族軍は追撃を行わず、急ぎ陣地の消火と再編成を行った。
「嵌められた…亜人の奴らに嵌められた!」
甲板から海と陸で燃え上がる艦と陣地を見て、童貫は震えながら呟いた。
「おのれ亜人共!この恨みは必ず晴らさせてもらうからな!」
童貫は怒りに震えながら、燃えさかる自分の艦隊をじっと見つめていた。
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