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群雄進撃編
第230話 元帥・大村益次郎
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江戸城に設置した大本営に、各地から戦闘開始の電信が続々と届く。
「土佐より出航した日ノ本船団は3つに分かれ、関東方面・蝦夷方面・中国方面へ向かっているとの事!」
「弘前藩と益州の間にある山脈の山間から突如南蛮軍が出現!弘前藩・秋田藩・盛岡藩が降伏し、そのまま会津方面に進撃中との事!」
「海援隊旗艦『ユニオン号』より、薩摩沖に『宋国艦隊』と思われる船団を発見!阿久根付近にて艦隊戦に突入との事!」
「第三軍司令部より、重倉要塞に攻撃を開始!塹壕を掘りながら進むも、敵の反撃も強く膠着状態に陥っている模様!」
上がってくる情報を聞き、机の上に広げた亜人連合国の地図上に置いたコマを動かす参謀たち。
「元帥閣下の想定した動きとなりましたな」
総参謀長・児玉源太郎の言葉に、じっと地図を見る陸軍元帥・大村益次郎。
「はい、韓王が事前に情報をくれておりましたので助かりました」
韓信は宋国に数多の密偵を放っている為、全ての情報が筒抜けなのである。
そして今回の戦争も、宋国経由で敵同盟軍の兵力を把握し、亜人連合国に渡していたのである。
「韓王の情報と、日ノ本の狙いが分かっていれば、ある程度の兵の配置が出来ます」
「日ノ本…自国の政変に我々を利用した事を、滅びるまで後悔させてやりましょう!」
児玉参謀の言葉にも微動だにせず、大村は地図を見ながら考えを話す。
「それでも、我々の兵力不足を補えるほどではありません」
「あとはどれだけうまく戦いながら時を稼げるかが勝負です」
大村の話を静かに聞く参謀たち。
「各地を守る将兵たちに、この国の未来は懸かっています」
「我々の仕事は、必要な戦場へ効率良く『物資と予備兵力』を送り込む事です」
「そして、その分野では天才ともいえる御仁が、韓王のもとより援軍として来て頂いています」
韓から援軍出来ている蕭何に、皆が一斉に注目する。
「補給に関して右に出るものがいないと言われる貴方に来て頂けて、韓王には感謝の言葉もありません」
大村は静かに頭を下げた。
「いえいえ!私の数少ない取り柄ですので、期待を裏切らぬよう努めさせて頂きます」
「それに…新しく韓王の下に来た『好漢』たちも、この戦争に参加いたしますのでご期待ください」
蕭何は大村たちに拱手で返した。
大村は皆に訓示する。
「みなさん、これから大戦の始まりです」
「我々の決断一つ一つが、全ての将兵の命に掛かってきます」
「大変ではありますが、勝利の為に頑張りましょう」
「「「はっ!」」」
珍しく感情的な檄を飛ばす元帥に、児玉以下参謀たちは敬礼し持ち場に戻った。
(明帝、ピット王、私は現状の兵力で出来る限り時間を稼ぎますので…)
大村は目を瞑り、心の中で呟いた。
「土佐より出航した日ノ本船団は3つに分かれ、関東方面・蝦夷方面・中国方面へ向かっているとの事!」
「弘前藩と益州の間にある山脈の山間から突如南蛮軍が出現!弘前藩・秋田藩・盛岡藩が降伏し、そのまま会津方面に進撃中との事!」
「海援隊旗艦『ユニオン号』より、薩摩沖に『宋国艦隊』と思われる船団を発見!阿久根付近にて艦隊戦に突入との事!」
「第三軍司令部より、重倉要塞に攻撃を開始!塹壕を掘りながら進むも、敵の反撃も強く膠着状態に陥っている模様!」
上がってくる情報を聞き、机の上に広げた亜人連合国の地図上に置いたコマを動かす参謀たち。
「元帥閣下の想定した動きとなりましたな」
総参謀長・児玉源太郎の言葉に、じっと地図を見る陸軍元帥・大村益次郎。
「はい、韓王が事前に情報をくれておりましたので助かりました」
韓信は宋国に数多の密偵を放っている為、全ての情報が筒抜けなのである。
そして今回の戦争も、宋国経由で敵同盟軍の兵力を把握し、亜人連合国に渡していたのである。
「韓王の情報と、日ノ本の狙いが分かっていれば、ある程度の兵の配置が出来ます」
「日ノ本…自国の政変に我々を利用した事を、滅びるまで後悔させてやりましょう!」
児玉参謀の言葉にも微動だにせず、大村は地図を見ながら考えを話す。
「それでも、我々の兵力不足を補えるほどではありません」
「あとはどれだけうまく戦いながら時を稼げるかが勝負です」
大村の話を静かに聞く参謀たち。
「各地を守る将兵たちに、この国の未来は懸かっています」
「我々の仕事は、必要な戦場へ効率良く『物資と予備兵力』を送り込む事です」
「そして、その分野では天才ともいえる御仁が、韓王のもとより援軍として来て頂いています」
韓から援軍出来ている蕭何に、皆が一斉に注目する。
「補給に関して右に出るものがいないと言われる貴方に来て頂けて、韓王には感謝の言葉もありません」
大村は静かに頭を下げた。
「いえいえ!私の数少ない取り柄ですので、期待を裏切らぬよう努めさせて頂きます」
「それに…新しく韓王の下に来た『好漢』たちも、この戦争に参加いたしますのでご期待ください」
蕭何は大村たちに拱手で返した。
大村は皆に訓示する。
「みなさん、これから大戦の始まりです」
「我々の決断一つ一つが、全ての将兵の命に掛かってきます」
「大変ではありますが、勝利の為に頑張りましょう」
「「「はっ!」」」
珍しく感情的な檄を飛ばす元帥に、児玉以下参謀たちは敬礼し持ち場に戻った。
(明帝、ピット王、私は現状の兵力で出来る限り時間を稼ぎますので…)
大村は目を瞑り、心の中で呟いた。
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