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群雄進撃編
第228話 宇喜多親子
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土佐湾沖に現れた、日ノ本大船団。
その旗艦である『戦艦・大阪』より小型艇が数隻土佐湾へと入る。
「直家様、亜人連合攻略軍総指揮官『羽柴備前中納言秀家(宇喜多秀家)』様到着致しました!」
報告と共に、高知城の大広間へ宇喜多秀家が入ってくる。
「父上!高知城の奪取お見事でございました!」
宇喜多秀家は、上座に座った城主『宇喜多直家(うきた・なおいえ)』に平伏し、賛辞を贈る。
「おお!秀家も総大将になり、そのような挨拶ができるようになったのだな!」
「おやめください父上!」
直家の言葉に、姿勢を戻し焦りながら答える秀家。
「ま、この手の策略は儂の得意分野じゃし、その通りに動いてくれた風魔衆の力が大きかったのう」
あごひげを触りながら、上座の席を立った直家は、右手に地図を持ち秀家の前に座る。
「それで…此度の軍師殿の作戦はどうなっておるのじゃ?」
秀家の目の前に亜人連合国の地図を広げて、直家は秀家に訊ねる。
秀家は軍師・竹中半兵衛から授けられた策を、直家に話す。
「なるほどのう…」
直家は地図を見てじっと考える。
「秀家よ、お前はこれを見て何か思わぬか?」
直家の言葉に、秀家は地図の配置を見直す。
「もし儂がこの国を盗るとしたら、中央を一気に狙う策を立てるじゃろう」
「しかしこの戦い方では、攻守ともに兵力を消耗する闘い方となる」
「竹中半兵衛ともあろうものが、そこに気付かないわけがあるまいて」
ここまで聞いて、秀家は気付く。
それと同時に直家は問う。
「秀家!」
「はっ!」
「お前は太閤殿下に付くのか?それとも信長公に付くのか?」
「!!」
「ふん!秀吉子飼いのお前に聞くまでもないか…」
「はい!私は太閤殿下と、副関白・秀頼様に忠誠を誓っております!」
秀家の真っすぐな目を見て、直家はそうかと頷く。
「ならば秀家よ、よく覚えておけ!」
「半兵衛の狙いは、亜人連合を盗るのではなく、日ノ本の全てを手に入れる事じゃ!」
「その為に、邪魔な太閤殿下の家臣団と、力を持った外様たちの力を削ぎ取るつもりじゃ!」
「外様はともかく、後々味方になる者たちの兵は減らさぬように采配せよ!」
父の忠告を、秀家は黙って聞く。
「それで…父上はどちらに付かれるのですか?」
秀家の言葉に、直家は笑いだす。
「はっはっは!儂はどっちも好かんし、むしろ儂自身が天下を取りたいものよ!」
「父上、それは…」
父の言葉に、秀家は困った顔をする。
「ふん!冗談じゃ!」
「お前が太閤殿下に付くのなら、儂もお前に付き合ってやろう!」
「父上!」
(それに、そちらに付いた方が、儂の才を高く買ってくれそうじゃしな…)
直家は心の中でニヤリとする。
「ところで、こちらの戦線はどうなっているのですか?」
秀家の言葉に、直家が珍しく困った顔をする。
「実はな、土佐を盗るまでは良かったのじゃが、それ以降の情報収集が全くうまく行っておらぬ」
「!父上や風魔衆がいるのにですか?!」
日ノ本屈指の諜報力を持つ風魔衆がいても、情報が集まらないことに忠家は驚く。
「うむ、奴らのもとにおる隠密集団がかなりの手練れでのう」
「奴らにも情報が渡らぬ代わりに、こちらも情報を得る事が出来ぬのだ…」
「だから今、奴らが見えぬ処でどのような策を練っているのか、こちらも全く分からん!」
直家は開き直ったように答える。
「まあよい!こちらはこちらで何とかするので、お前は出来る限りこの戦争を終わらせることに尽力せよ!」
「はい!父上!」
返事と共に頭を下げる秀家。
「さて、仕事の話はここまでじゃ!」
「今日は宴会の席を設けておるので、お前の副官たちと楽しんでいくがよい!」
「ありがとうございます!」
「それでは、船で待機しております『小西行長(こにし・ゆきなが)』も呼んで参ります」
秀家は一礼し退出する。
直家は上座に座りなおし、一人考え事を始めた。
その旗艦である『戦艦・大阪』より小型艇が数隻土佐湾へと入る。
「直家様、亜人連合攻略軍総指揮官『羽柴備前中納言秀家(宇喜多秀家)』様到着致しました!」
報告と共に、高知城の大広間へ宇喜多秀家が入ってくる。
「父上!高知城の奪取お見事でございました!」
宇喜多秀家は、上座に座った城主『宇喜多直家(うきた・なおいえ)』に平伏し、賛辞を贈る。
「おお!秀家も総大将になり、そのような挨拶ができるようになったのだな!」
「おやめください父上!」
直家の言葉に、姿勢を戻し焦りながら答える秀家。
「ま、この手の策略は儂の得意分野じゃし、その通りに動いてくれた風魔衆の力が大きかったのう」
あごひげを触りながら、上座の席を立った直家は、右手に地図を持ち秀家の前に座る。
「それで…此度の軍師殿の作戦はどうなっておるのじゃ?」
秀家の目の前に亜人連合国の地図を広げて、直家は秀家に訊ねる。
秀家は軍師・竹中半兵衛から授けられた策を、直家に話す。
「なるほどのう…」
直家は地図を見てじっと考える。
「秀家よ、お前はこれを見て何か思わぬか?」
直家の言葉に、秀家は地図の配置を見直す。
「もし儂がこの国を盗るとしたら、中央を一気に狙う策を立てるじゃろう」
「しかしこの戦い方では、攻守ともに兵力を消耗する闘い方となる」
「竹中半兵衛ともあろうものが、そこに気付かないわけがあるまいて」
ここまで聞いて、秀家は気付く。
それと同時に直家は問う。
「秀家!」
「はっ!」
「お前は太閤殿下に付くのか?それとも信長公に付くのか?」
「!!」
「ふん!秀吉子飼いのお前に聞くまでもないか…」
「はい!私は太閤殿下と、副関白・秀頼様に忠誠を誓っております!」
秀家の真っすぐな目を見て、直家はそうかと頷く。
「ならば秀家よ、よく覚えておけ!」
「半兵衛の狙いは、亜人連合を盗るのではなく、日ノ本の全てを手に入れる事じゃ!」
「その為に、邪魔な太閤殿下の家臣団と、力を持った外様たちの力を削ぎ取るつもりじゃ!」
「外様はともかく、後々味方になる者たちの兵は減らさぬように采配せよ!」
父の忠告を、秀家は黙って聞く。
「それで…父上はどちらに付かれるのですか?」
秀家の言葉に、直家は笑いだす。
「はっはっは!儂はどっちも好かんし、むしろ儂自身が天下を取りたいものよ!」
「父上、それは…」
父の言葉に、秀家は困った顔をする。
「ふん!冗談じゃ!」
「お前が太閤殿下に付くのなら、儂もお前に付き合ってやろう!」
「父上!」
(それに、そちらに付いた方が、儂の才を高く買ってくれそうじゃしな…)
直家は心の中でニヤリとする。
「ところで、こちらの戦線はどうなっているのですか?」
秀家の言葉に、直家が珍しく困った顔をする。
「実はな、土佐を盗るまでは良かったのじゃが、それ以降の情報収集が全くうまく行っておらぬ」
「!父上や風魔衆がいるのにですか?!」
日ノ本屈指の諜報力を持つ風魔衆がいても、情報が集まらないことに忠家は驚く。
「うむ、奴らのもとにおる隠密集団がかなりの手練れでのう」
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「だから今、奴らが見えぬ処でどのような策を練っているのか、こちらも全く分からん!」
直家は開き直ったように答える。
「まあよい!こちらはこちらで何とかするので、お前は出来る限りこの戦争を終わらせることに尽力せよ!」
「はい!父上!」
返事と共に頭を下げる秀家。
「さて、仕事の話はここまでじゃ!」
「今日は宴会の席を設けておるので、お前の副官たちと楽しんでいくがよい!」
「ありがとうございます!」
「それでは、船で待機しております『小西行長(こにし・ゆきなが)』も呼んで参ります」
秀家は一礼し退出する。
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