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群雄進撃編
第227話 分かり合えぬ兄弟
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敵大艦隊発見の報は、一気に亜人連合全体へと拡がっていく。
「兄上!ここは急いで古都に援軍を送りもんそ!」
島津斉彬は別邸内にある、池の鯉にえさを与えていたのだが、弟の久光が意見を述べに来たのだった。
「藩士たちも皆、ここで敵を待つより、日ノ本ん兵を一人でん討ち取っことを望んじょる!」
出撃を願い出る久光。
(ふむ、こいつは慶喜に切り捨てられて、早く朝廷の信用を取り戻すため焦っておるな…)
斉彬は、急ぐ弟の気持ちを抑える。
「久光、今ん作戦は陸軍と海軍が立てちょり、今あたいん一存で動かすっ兵はひとりもおらん!」
「今は大村元帥が立てた作戦に従い、こん国ん防衛を行わんにゃならん!」
「じゃっどん!」
「やっせん(だめだ)!」
久光は半歩体を出し、出兵を願い出ようとするが、斉彬は首を振るばかり。
「分かりもした!もう結構じゃ!」
そう言って久光は一礼すると、怒って帰ってしまう。
ひとりになった斉彬は思う。
(このままでは、薩摩は2つに割れてしまう…)
斉彬は決意し、『村田新八(むらた・しんぱち』を呼んだ。
「殿!お呼びとあり参上致しもした!」
平伏する村田に、斉彬は命令する。
「新八じゃ!わいは急いで古都へ赴き、西郷に戻って薩摩ん指揮をとれと伝えや!」
「!」
村田は驚いた顔で平伏する。
「わいが言おごたっことは分かっ!」
「じゃっどん、今西郷が戻らんな、薩摩が2つに割れてしめ、こん国が戦に負けてしまう!」
「今こん薩摩には、西郷ん力が必要じゃ!」
斉彬が西郷を信頼する言葉を聞き、村田は心の底から喜んだ。
「ハハッ!」
「いっき薩摩を立ち、吉之助どんに話してみます!」
村田はすぐさま立ちあがり、一礼して別邸を去った。
(頼むぞ新八!お前が西郷を早く連れて帰れるかがカギになる)
斉彬は願うようにして村田を見送り、以後、薩摩武士たちの暴発を止めることに尽力するが、その2週間後には、藩主である久光公自ら兵2,000を率いて上洛してしまう。
更に2週間後には、『宋国艦隊』が、薩摩半島へ砲撃を仕掛けてきたのである。
「兄上!ここは急いで古都に援軍を送りもんそ!」
島津斉彬は別邸内にある、池の鯉にえさを与えていたのだが、弟の久光が意見を述べに来たのだった。
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出撃を願い出る久光。
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「!」
村田は驚いた顔で平伏する。
「わいが言おごたっことは分かっ!」
「じゃっどん、今西郷が戻らんな、薩摩が2つに割れてしめ、こん国が戦に負けてしまう!」
「今こん薩摩には、西郷ん力が必要じゃ!」
斉彬が西郷を信頼する言葉を聞き、村田は心の底から喜んだ。
「ハハッ!」
「いっき薩摩を立ち、吉之助どんに話してみます!」
村田はすぐさま立ちあがり、一礼して別邸を去った。
(頼むぞ新八!お前が西郷を早く連れて帰れるかがカギになる)
斉彬は願うようにして村田を見送り、以後、薩摩武士たちの暴発を止めることに尽力するが、その2週間後には、藩主である久光公自ら兵2,000を率いて上洛してしまう。
更に2週間後には、『宋国艦隊』が、薩摩半島へ砲撃を仕掛けてきたのである。
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