228 / 317
群雄進撃編
第226話 敵艦隊発見
しおりを挟む
陣へと戻った二人を、参謀長たちが敬礼し出迎える。
「閣下!ラビット国より兵員補強として5,000名が着任いたしました!」
参謀長の後ろで敬礼する二人の兵団長。
「ピット国よりの増援、誠に感謝する!」
敬礼する二人の顔を見た乃木は、次第に驚愕した顔となる。
「まさか…お前たちは勝典(かつすけ)と保典(やすすけ)なのか?!」
「はい父上!久しゅうございます!」
乃木の息子二人は前世の日露戦争で、命を落としていた。
「そうか…お前たちもこの世界に来ておったのだな…」
「父上!前世では親孝行も出来ず、先に逝ってしまったことをお許しください!」
3人は肩を抱き合い号泣する。
少し落ち着くと、勝典がここまでの経緯を話す。
「私たちはアリの兵として転生し、記憶を取り戻した際に、父上がこの地を攻略すると聞き、他の『旅順攻略』戦死者と共にこちらへの転属許可を頂きました」
「なんじゃと!他の者たちは全て、前世の儂の為に亡くなった者たちなのか?」
「いえ、皆その様には思っておりません!」
「部下が死んだ後も、父上が遺族へ挨拶やお金を払っていたことを皆知っており、息子である私たち二人に感謝の言葉をかけて頂きました」
「そうか…皆そう申してくれたのか…」
息子の言葉を聞き、静かに目を瞑る乃木。
「それはそうと閣下!」
「今回はラビット国の官兵衛様から、この支援物資を送るとの手紙を受け取って参りました」
二人は話を変えて、ラビット国からの『支援内容』を記載した手紙を渡す。
「なるほど、どうやら儂の戦い方を、官兵衛様は分かっておいでの様じゃな」
手紙を見つめながら、乃木は呟いた。
その時、通信兵が入電を読み上げる。
『偵察隊より敵艦隊発見の報告!』
『艦艇…100隻以上からなる大船団との事!』
「なんじゃと?!」
「100隻以上!そんな馬鹿な?!」
驚愕する、伊地知以下参謀部。
その報告を黙って聞く乃木。
「どうやら日ノ本は、本気でこん国を獲りに来ちょっようじゃな」
伊地知の言葉を聞き、そのまま椅子へ座った乃木は、目の前に軍刀を立て呟く。
「この戦い、決して負けるわけにいかぬ!」
参謀たちも一斉に頷く。
「伊地知参謀長!作戦の準備を急げ!」
「ハッ!」
伊地知以下、参謀たちは一斉に敬礼する。
「勝典!保典!」
「「ハッ!」」
「お前たちは連れて来た部下の指揮を執り、作戦行動に移れ!!」
二人は即座に敬礼し、司令本部を退出した。
乃木はそのまま席を立ち、司令本部を出て歩き出す。
(静子よ、せっかく帰ってきた二人を、また死なせてしまうかもしれん…)
(木石の儂を、どうか…許してくれ)
乃木は山頂に立ち、長府の自宅に向かって静かに頭を下げた。
「閣下!ラビット国より兵員補強として5,000名が着任いたしました!」
参謀長の後ろで敬礼する二人の兵団長。
「ピット国よりの増援、誠に感謝する!」
敬礼する二人の顔を見た乃木は、次第に驚愕した顔となる。
「まさか…お前たちは勝典(かつすけ)と保典(やすすけ)なのか?!」
「はい父上!久しゅうございます!」
乃木の息子二人は前世の日露戦争で、命を落としていた。
「そうか…お前たちもこの世界に来ておったのだな…」
「父上!前世では親孝行も出来ず、先に逝ってしまったことをお許しください!」
3人は肩を抱き合い号泣する。
少し落ち着くと、勝典がここまでの経緯を話す。
「私たちはアリの兵として転生し、記憶を取り戻した際に、父上がこの地を攻略すると聞き、他の『旅順攻略』戦死者と共にこちらへの転属許可を頂きました」
「なんじゃと!他の者たちは全て、前世の儂の為に亡くなった者たちなのか?」
「いえ、皆その様には思っておりません!」
「部下が死んだ後も、父上が遺族へ挨拶やお金を払っていたことを皆知っており、息子である私たち二人に感謝の言葉をかけて頂きました」
「そうか…皆そう申してくれたのか…」
息子の言葉を聞き、静かに目を瞑る乃木。
「それはそうと閣下!」
「今回はラビット国の官兵衛様から、この支援物資を送るとの手紙を受け取って参りました」
二人は話を変えて、ラビット国からの『支援内容』を記載した手紙を渡す。
「なるほど、どうやら儂の戦い方を、官兵衛様は分かっておいでの様じゃな」
手紙を見つめながら、乃木は呟いた。
その時、通信兵が入電を読み上げる。
『偵察隊より敵艦隊発見の報告!』
『艦艇…100隻以上からなる大船団との事!』
「なんじゃと?!」
「100隻以上!そんな馬鹿な?!」
驚愕する、伊地知以下参謀部。
その報告を黙って聞く乃木。
「どうやら日ノ本は、本気でこん国を獲りに来ちょっようじゃな」
伊地知の言葉を聞き、そのまま椅子へ座った乃木は、目の前に軍刀を立て呟く。
「この戦い、決して負けるわけにいかぬ!」
参謀たちも一斉に頷く。
「伊地知参謀長!作戦の準備を急げ!」
「ハッ!」
伊地知以下、参謀たちは一斉に敬礼する。
「勝典!保典!」
「「ハッ!」」
「お前たちは連れて来た部下の指揮を執り、作戦行動に移れ!!」
二人は即座に敬礼し、司令本部を退出した。
乃木はそのまま席を立ち、司令本部を出て歩き出す。
(静子よ、せっかく帰ってきた二人を、また死なせてしまうかもしれん…)
(木石の儂を、どうか…許してくれ)
乃木は山頂に立ち、長府の自宅に向かって静かに頭を下げた。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
魔道具作ってたら断罪回避できてたわw
かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます!
って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑)
フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
聖獣達に愛された子
颯希
ファンタジー
ある日、漆黒の森の前に子供が捨てられた。
普通の森ならばその子供は死ぬがその森は普通ではなかった。その森は.....
捨て子の生き様を描いています!!
興味を持った人はぜひ読んで見て下さい!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる