神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第226話 敵艦隊発見

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陣へと戻った二人を、参謀長たちが敬礼し出迎える。

「閣下!ラビット国より兵員補強として5,000名が着任いたしました!」

参謀長の後ろで敬礼する二人の兵団長。

「ピット国よりの増援、誠に感謝する!」

敬礼する二人の顔を見た乃木は、次第に驚愕した顔となる。

「まさか…お前たちは勝典(かつすけ)と保典(やすすけ)なのか?!」

「はい父上!久しゅうございます!」

乃木の息子二人は前世の日露戦争で、命を落としていた。

「そうか…お前たちもこの世界に来ておったのだな…」

「父上!前世では親孝行も出来ず、先に逝ってしまったことをお許しください!」

3人は肩を抱き合い号泣する。

少し落ち着くと、勝典がここまでの経緯を話す。

「私たちはアリの兵として転生し、記憶を取り戻した際に、父上がこの地を攻略すると聞き、他の『旅順攻略』戦死者と共にこちらへの転属許可を頂きました」

「なんじゃと!他の者たちは全て、前世の儂の為に亡くなった者たちなのか?」

「いえ、皆その様には思っておりません!」

「部下が死んだ後も、父上が遺族へ挨拶やお金を払っていたことを皆知っており、息子である私たち二人に感謝の言葉をかけて頂きました」

「そうか…皆そう申してくれたのか…」

息子の言葉を聞き、静かに目を瞑る乃木。

「それはそうと閣下!」

「今回はラビット国の官兵衛様から、この支援物資を送るとの手紙を受け取って参りました」

二人は話を変えて、ラビット国からの『支援内容』を記載した手紙を渡す。

「なるほど、どうやら儂の戦い方を、官兵衛様は分かっておいでの様じゃな」

手紙を見つめながら、乃木は呟いた。

その時、通信兵が入電を読み上げる。

『偵察隊より敵艦隊発見の報告!』

『艦艇…100隻以上からなる大船団との事!』

「なんじゃと?!」

「100隻以上!そんな馬鹿な?!」

驚愕する、伊地知以下参謀部。

その報告を黙って聞く乃木。

「どうやら日ノ本は、本気でこん国を獲りに来ちょっようじゃな」

伊地知の言葉を聞き、そのまま椅子へ座った乃木は、目の前に軍刀を立て呟く。

「この戦い、決して負けるわけにいかぬ!」

参謀たちも一斉に頷く。

「伊地知参謀長!作戦の準備を急げ!」

「ハッ!」

伊地知以下、参謀たちは一斉に敬礼する。

「勝典!保典!」

「「ハッ!」」

「お前たちは連れて来た部下の指揮を執り、作戦行動に移れ!!」

二人は即座に敬礼し、司令本部を退出した。

乃木はそのまま席を立ち、司令本部を出て歩き出す。

(静子よ、せっかく帰ってきた二人を、また死なせてしまうかもしれん…)


(木石の儂を、どうか…許してくれ)

乃木は山頂に立ち、長府の自宅に向かって静かに頭を下げた。
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