神となった俺の世界で、信者たちが国を興す

のりつま

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群雄進撃編

第225話 乃木と伊地知

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御前会議が終わり、亜人連合が戦準備を始めて2カ月が過ぎようとしていた。

土佐攻略の司令官として赴任している乃木希典は、土佐山にある山間の町に『第三軍司令本部』を設置していた。

その山頂付近から、土佐の方を望遠鏡で眺める乃木。

「『伊地知幸介(いちじ・こうすけ)』総参謀長、君ならどう攻略するかね?」
乃木は、児玉にお願いしていたのは、この伊地知参謀を付けてもらう事であった。

彼もまた、数少ない情報での旅順攻略で奮戦したのであるが、風評被害もあり、後世の評価を落としていた。

「はっ!あたいん考えでは、ここから20kmほど先にあっ重倉付近を占領し、そこから土佐湾に駐留すっ、敵艦隊に向けてん砲撃が効果的かち思わるっです!」

「じゃっどん、こん付近の山々は、土佐藩ん代々続っ工事で既に『要塞化』されちょり、一筋縄では落とせん状況です!」

土佐の地形は、街20キロ四方を山と海で囲まれており、湾内を砲撃するには山頂が平地となっている重倉を取り、大砲を配置しなければならない。

歴代の土佐藩主たちも、敵にここを取られると城下が全て砲撃の射程となることが分かっていたため、コンクリートを使った要塞を完成させていたのである。

また山肌は、隠れて攻め込まれないよう、すべての草木が取り払われ、周りを有刺鉄線や陣地を無数に配置していた。

まさか自分たちを守る為の要塞が、自分たちを救出に来る兵団に対しての『一番の難所』になるとは思わなかったであろう。

更に土佐湾付近の制海権は日ノ本に取られており、歩兵で他の方面から攻め込んでも、艦船性能の高い『定遠級』戦艦6隻の艦砲射撃をひたすら受け続ける事になってしまう。

「現在帝から預かっている兵力は、歩兵50,000・砲兵5,000・工作兵20,000・補給・その他非戦闘員25,000の計100,000であります」

「対する日ノ本軍は、重倉要塞に15,000と他の山地陣に30,000以上・今後さらに補充される可能性があるとの事です」

土佐の情報を伊賀衆が必死になって収集しているが、敵の風魔衆によって妨害され、なかなかうまく進んでいない現状である。

敵の要塞を見つめながら、乃木は静かに呟く。

「やはり、今回も情報が少ない中での攻略となりそうじゃな…」

「しかし、大村元帥や児玉は、儂らを信じて攻略を任せてくれた」

呟くように話す乃木に、伊地知は感謝の意を伝える。

「乃木閣下!こん儂に再戦の機会を与えて下さり感謝すっ!」

「必ずや閣下ん恩に報いて見せっ!」

乃木は静かに頷く。

「伊地知よ!此度はこの土佐攻略を必ず成功させて、この国を明るい未来へと導こうぞ!」

「ハッ!」

二人はがっちりと握手する。
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